沖縄クロス・ヘッドが新たなデータセンターサービスに向け革新的な調達モデルを採用

“サービスはすぐにでも開始したい、しかし、いつ使われるかわからないハードウェアの在庫を抱えるリスクは回避したい、この背反する要求に応えられるのは『HPE フレキシブルキャパシティ』だけでしょう”
- 沖縄クロス・ヘッド株式会社 技術統括 IOTソリューション部 部長
上田 桂子 氏
沖縄クロス・ヘッドが、革新的な「次世代IoTセンターサービス」を開始した。ハウジングサービスに独自開発のリモートコンソール「Webコントローラー」を実装し、クラウドライクな遠隔管理を実現。ユーザーによる運用管理の利便性を劇的に改善し、データセンターのビジネスモデルを革新しようとしている。このサービスを支えるのがHPEのデータセンターソリューションであり、中でもサービス基盤の調達に大きな貢献を果たしたのが「HPE フレキシブルキャパシティ」である。
業界
- クラウドサービス、データセンターサービス
目的
- ベアメタルのハウジングサービスに、クラウドライクな操作性を融合した「次世代IoTセンターサービス」の事業化。
アプローチ
- インテリジェントラックを採用したハウジングサービスに、独自開発のリモートコンソールを組み合わせ、顧客企業が遠隔地から安全に操作できるオンプレミス環境を実現する。
ITの効果
- ハードウェアの調達に「HPE フレキシブルキャパシティ」を採用し初期投資を抑えたITインフラ整備を実現
- 新サービスのスモールスタートとビジネス要求に合わせた即時のITリソース増強に対応
- HPE インテリジェントラックの情報収集機能を活用し、ユーザーによる遠隔操作をサポート
ビジネスの効果
- 2016年10月にサービスをリリースしハウジングサービスを開始
- 2017年4月に「Webコントローラー」をリリース予定
- 月毎のリソース使用量に応じた課金モデルにより、事業収益とコストのバランスを最適化
- 建屋や立地という物理的制約から解放されたデータセンターの新たなビジネスモデルを実現
- 主要機器をHPE製品で標準化し、自営保守を実施することで迅速かつ高品質なサポート・サービスを提供
チャレンジ
クラウドのように使えるオンプレミス環境
沖縄クロス・ヘッドは沖縄県を代表するIT企業のひとつ。2006年の創業以来、ネットワークサービスを中心としたITインフラをメインにビジネスを展開してきた。沖縄と香港の回線をダイレクトに結ぶ接続サービス「沖縄GIX」のシステム構築・運営や、沖縄県内のデータセンターと主要拠点を高速光回線で結ぶリングネットワーク「沖縄県クラウドネットワーク」の運営、さらにはデータセンターにおける運用監視サービスなど、確かな技術と対応力で高く評価されている。
また、近年は自社で運営・管理するインフラ上にさまざまな独自開発のサービスを乗せる、パッケージソリューションにも力を入れている。充実したIaaS / PaaS / SaaS のメニューを備えるクラウドサービス「CUMO(キューモ)」や、クラウドで共有可能なファイルサーバーと2重のバックアップを組み合わせたデータ保護ソリューション「nas2cloud(ナスツークラウド)」など、ユニークなラインアップを揃え、中堅・中小企業の多様なITニーズに応えている。
その沖縄クロス・ヘッドが「次世代IoTセンターサービス」という新たなデータセンターサービスを開始した。国内初の公設データセンターとして整備された宜野座村ITオペレーションパーク内に自社でラックを保有し、データセンターinデータセンターとして提供するそのサービスは、リモートコンソールからの遠隔操作により、オンプレミス環境をクラウドのように利用できるというものだ。技術統括 兼 プロダクト統括部 部長の今井良氏は次のように説明する。
「IoT時代の本格化に伴い、データセンターのニーズも拡大していくと予想されます。これをビジネスチャンスととらえ投入するサービスです。これまでのデータセンターでは運用開始時のラッキングやセッティングをはじめ、ハードウェアの入れ替え、障害発生時など、お客様がその場に来て対応していただく必要がありました。そのようなお客様の負荷をリモートコンソールによって解消し、足を運ばずにご利用いただけるデータセンター、オンプレミス環境ならではの確かさや手堅さをクラウドのように柔軟にご利用いただけるサービスとして開発しました」(今井氏)
また、技術統括 IOTソリューション部 部長の上田桂子氏も「これまでインフラの運用やその上に乗るソリューションを提供してきました。創業10年目を迎え、私たち自身がインフラを持ち、沖縄クロス・ヘッドならではの付加価値を備えたサービスを提供するとしたら、どのようなものになるのか――そんな発想が起点にありました」と話す。

沖縄クロス・ヘッド株式会社
技術統括 兼 プロダクト統括部
部長
今井 良 氏

沖縄クロス・ヘッド株式会社
技術統括
IOTソリューション部
部長
上田 桂子 氏
ソリューション
完成度の高い独自のユーザーインターフェース
今井氏は、「次世代IoTセンターサービス」を投入した狙いを次のように話す。
「クラウドや仮想化の普及により、サーバーのリモート操作に対するお客様の意識は大きく変わりました。また、リソースオーバーヘッドがある以上、ハードウェアのポテンシャルをフルに使いきることはできないというクラウドのデメリットを気にされるお客様の、オンプレミス環境への回帰というトレンドも見逃せません」(今井氏)
サーバーのリモート操作のために「Webコントローラー」と呼ばれる独自開発のユーザーインターフェース(UI)が用意される点が、次世代IoTセンターサービスの特長のひとつ。目下開発中であり、スマートフォン対応、多言語対応でリリースされるというこのUIの重要性について、今井氏は民泊サービスを例に挙げる。
「空き部屋を集め宿泊希望者にマッチングするだけの単純なビジネスモデルが、専用アプリを経由することで、あたかも巨大なホテルビジネスのように見えます。これはアプリの使用感、リッチなUIが大きく寄与していると考えます。私たちが開発している『Webコントローラー』も、単に外部からサーバーを操作できるだけでなく、アプリ単体としても勝負できるほどのユーザーエクスペリエンスを提供できるものに仕上げる予定です」(今井氏)
「UIがお客様だけでなく沖縄クロス・ヘッド自身にもたらすメリットも大きい」と話すのは、保守サービスを担うIOTソリューション部 プロダクトサポート第2グループ リーダー藤森徹氏だ。
「サーバー障害発生時に、お客様から契約外の作業を依頼され、それが別のトラブルの要因になることは少なくありません。とはいえ、お困りのお客様に『それは契約外』とも言えません。UIを介して『作業分担範囲はここまで』ということをお客様と共有できれば、そうしたジレンマも解消されます」(藤森氏)
また、沖縄クロス・ヘッドでは自営保守にも力を入れ、従来からデータセンターに常駐して運営を担っていた部隊が、オンサイトで保守サービスを担当する体制を整えている。これによるトラブル対応のスピードアップも「次世代IoTセンターサービス」の強みとして打ち出していくという。

沖縄クロス・ヘッド株式会社
技術統括
IOTソリューション部
プロダクトサポート第2グループ
リーダー
藤森 徹 氏

ITリソースをサービスとして利用
沖縄クロス・ヘッドが提供する「次世代IoTセンターサービス」には、HPEのデータセンターソリューションが数多く活用されている。
「サーバーのさまざまな情報を収集できる『HPE インテリジェントラック』や、物理サーバーを遠隔からコントロールするためのAPIなど、HPEのソリューションを広範に採用しています。中でも、サービス基盤となるハードウェア調達に関して、HPEは革新的なモデルを提示してくれました。これが『次世代IoTセンターサービス』の実現を大きく前進させてくれました」(今井氏)
今井氏の言う革新的なハードウェア調達モデルとは「HPE フレキシブルキャパシティ」によるものだ。これはサーバーやストレージ、ネットワークなどのITリソースを月次の利用量に応じた料金で利用できるソリューションである。一般的なリース契約と異なるのは、実際の使用料に基づいて料金が発生する変動課金型サービスという点にある。
課金モデルは月額固定制と従量課金制※から選択でき、専用ポータルサイトや利用量を計測するメータリングツールの利用も標準で提供される。ハードウェアはHPEが資産として保有し、大規模な初期投資を伴うことなくITインフラの整備が可能だ。利用料は月額払いとなり、事業収益とコストのバランスを最適化できる。
※基本料金が設定されております。HPEネットワーク、保守サービス、HPEソフトウェアは月額固定となります。
さらに、「HPE フレキシブルキャパシティ」では、契約時に策定したリソースの一定割合を予備リソースとしてあらかじめ配備する。これによりビジネスの急激な伸長によるリソース要求にも即座に対応可能になる。もちろん、予備リソースは実際の利用が発生するまでは課金対象にはならない。予備リソースが消費されると、HPEがハードウェアを増設・充当する。
他にも、常に最新のハードウェアが提供されること、調達窓口が一元化できること、HPEデータセンターケアの保守サービスが標準提供されることなど、メリットは多い。
「私たちのようなサービス事業者にとって、『HPE フレキシブルキャパシティ』はまさに福音といえるソリューションです。サービスはすぐにでも開始したい、しかし、いつ使われるかわからないハードウェアの在庫を抱えるリスクは回避したい、この背反する要求に応えられるのは『HPE フレキシブルキャパシティ』だけでしょう」(上田氏)
沖縄クロス・ヘッドでは「次世代IoTセンターサービス」の開始にあたり、管理用サーバーやネットワーク機器をこのサービスで調達した。今後、ユーザー企業に提供するサーバーやストレージ製品についても、「HPE フレキシブルキャパシティ」を適用していく考えだという。
今井氏は次のように強調する。
「私たち自身が実感したスモールスタートできるメリットを、そのままお客様にも享受していただけることで、『次世代IoTセンターサービス』の競争力はより高いものになりました。『HPE フレキシブルキャパシティ』は、私たちのビジネスチャレンジを成功に導くキーソリューションと言えるでしょう」
“次世代IoTセンターサービスは、回線、運用、IaaSなど、いわばパーツ単位でビジネスをしてきたこれまでの10年の集大成として、さらにこの先10年のビジネスを支える戦略サービスとして育てていきたいと考えています” 部長 今井 良 氏 |
ベネフィット
これからの10年を支えるインフラサービスに
2016年10月、第1フェーズとしてハウジングサービスからスタートした次世代IoTセンターサービス。第2フェーズとして2017年4月の「Webコントローラー」のリリースを目指しており、そのタイミングでサービスを本格展開していく予定だ。
「これまで、私たちを含む地場のデータセンターは『地域密着』を謳ってきました。裏を返せば、データセンター周辺の地域しか商圏にできなかったということでもあります。その点、『次世代IoTセンターサービス』は建屋や立地という物理的な制約から解放された、新たなデータセンターのビジネスモデルを体現したものといえるでしょう」と今井氏は意気込みを語る。
将来的には、他の地域や海外のデータセンターとも連携し、同じ仕組みを乗せてサービス規模を拡大していくことも考えているという。営業部 部長代理の上地権太氏は次のように話す。
「海外、特に沖縄から近いアジア圏でのビジネスを志向されている企業で、現地のデータセンターにデータを置くことを躊躇されているようなお客様に有効なソリューションになるのではと考えています。同時に、日本進出を考えているアジアの企業にもアピールしていきたいですね」(上地氏)
「HPE フレキシブルキャパシティ」は、HPEがビジネス展開している国・地域の全域で利用できる。海外のデータセンターを利用する場合には、その地のHPEが提供する保守サービスが受けられ、その際も日本のHPEの担当者がサービスを統括する体制が組まれている。これは、沖縄クロス・ヘッドの「次世代IoTセンターサービス」の拡販を大きく後押しする要素といえるだろう。
今後は、「HPE データセンターケア インフラストラクチャオートメーション」などのテクノロジーサービスを活用し、設定作業の自動化などサービスメニューの拡充も視野に入れているという。
最後に今井氏は次のように語って締めくくった。
「次世代IoTセンターサービスは、回線、運用、IaaSなど、いわばパーツ単位でビジネスをしてきたこれまでの10年の集大成として、さらにこの先10年のビジネスを支える戦略サービスとして育てていきたいと考えています。HPEにはこれまで同様の支援を期待しています」

沖縄クロス・ヘッド株式会社
営業部
部長代理
上地 権太 氏
沖縄クロス・ヘッド株式会社
設立
2006年6月
本社所在地
沖縄県那覇市旭町1番地9 カフーナ旭橋B街区ビル 3階
資本金
51百万円
主な事業内容
ネットワークシステムのコンサルティング・設計・構築・保守
24h・365dフルマネージド運用監視サービス
クラウドによる各種ソフトウェアサービス(SaaS)、システムインフラ(IaaS)の提供
GIX(沖縄−香港直結高速回線インフラ)サービス

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