明電舎が、複数拠点のシステム保守を統合し全社IT環境の最適化を推進

“ハードウェアとシステムは専門家であるHPEにお任せすることで、私たちはいかにサービスを停めずに稼働させるのか、さらにはどのようなシステムの将来像、全体像を描くのか、そこに集中できる環境が整備できたと考えています”
- 株式会社明電舎 情報システム部 基幹情報部 副部長 小出 光浩 氏
明電舎がIT環境をトータルでサポートする保守サービス「HPEデータセンターケア」を採用し、ITインフラ保守を大幅に効率化した。基幹システムをはじめ、全社を支えるITサービスの365日24時間無停止運用をより強固に、確実なものとする体制を整えている。
業界
- 製造業(電気機器)
目的
- ビジネスの成長とともに拡大し、高度化・複雑化するITインフラの運用管理効率化。システムを安定稼働させるとともに、障害対応に要する時間を削減してビジネスへの影響を最小化する。
アプローチ
- 全国4拠点のシステム保守サポートを統合し、全社的なシステム最適化を目指す。保守対応窓口の一元化とともに、プロアクティブ保守(事前予防)とリアクティブ保守(事後対応)を同時に強化。
ITの効果
- 「HPEデータセンターケア」により保守サポートの対象範囲を拡大
- 東京と西日本に加え、沼津と太田の製造拠点の保守サポートを統合
- HPE担当チームが構成情報・障害履歴等を共有し、プロアクティブ/リアクティブの両面からシステムの安定稼働に寄与
- 保守対応窓口を一本化し、問題解決までの時間を短縮化
ビジネスの効果
- 24時間365日の無停止運用によるITサービス提供を継続
- 限られた人的リソースでITインフラの拡大に対応可能に
- 「HPEライフサイクルイベントサービス」により継続的なIT環境の最適化を推進
チャレンジ
高度化、複雑化するシステムにHPE保守サービスで対応
明電舎は我が国重電5社の一角を占める重電機器メーカーだ。2017年には創業120周年を迎える。重電機器やシステムはもちろん、水処理システムや産業システム機器などに強みを持つ。また、2016年春に開業した北海道新幹線においても、青函トンネル内に設置されたものを含め、さまざまな変電設備を供給するなど、日本で、そして世界で社会インフラを支えている。
その明電舎では、HPE保守サービスの中でも、もっとも高度かつ広範な保守サポートを提供する包括的サービス「HPEデータセンターケア」を採用した。長きにわたるHPEとのパートナーシップを通じて、HPE保守サービスの価値と意義を認め、IT環境全体の運用とその最適化に活用しているのだ。
その端緒となったのは、2005年4月、東京本社の基幹系システムにHPEの保守サービス「プロアクティブ24」を導入したことにある。情報システム部 基幹情報部 副部長の小出光浩氏は、当時のことを次のように振り返る。
「情報システム部として、ITサービスを24時間365日停めないというのは大前提です。ただ、年を追うごとにハードウェアやシステムが拡大し、高度化・複雑化していることに課題意識がありました」(小出氏)
「プロアクティブ24」はハードウェア保守、ソフトウェア保守サービスに加え、プロアクティブサービスを組み込んだ総合的な保守サービスパッケージだ。担当エンジニアがファームウェアアップデートの推奨レポートや、システムのヘルスチェックレポートなどの情報を定期的に提供。障害発生リスクを事前に把握し、深刻な障害発生を回避できることがポイントだ。
「最初はちょっと試してみようという気持ち」(小出氏)で導入された「プロアクティブ24」だが、次第に“なくてはならないサービス”として認知されるようになる。
「ハードウェアである以上、どうしても不調は発生します。その際に4時間以内訪問、24時間対応と迅速に問題を解決できました。メンテナンスに関するご協力で問題発生を未然に防止できた事案もあり、HPE保守サービスへの信頼は高まっていきました」と情報システム部 基幹情報部 活用サポート課 主任の関谷円氏は話す。

株式会社明電舎
情報システム部
基幹情報部
副部長
小出 光浩 氏

株式会社明電舎
情報システム部
基幹情報部
活用サポート課
主任
関谷 円 氏

株式会社明電舎
生産情報部
活用サポート課
専門課長
鈴木 祐樹 氏
ソリューション
クリティカルサービスの導入からHPEデータセンターケアへの移行
次の転機は2011年に訪れた。3月に発生した東日本大震災を受け、災害発生時の事業継続性を担保するために、災害対策(DR)サイト構築が決定したのだ。トップダウンの最優先課題として対策を検討した小出氏らは、メインサイトを西日本のデータセンターに移管し、東京拠点のマシンルームをより安全な場所に移設した上でバックアップサイトとして運用することを決めた。
「当時、HPEのハードウェア上では基幹システムだけでなく、会計や人事など、カンパニー系の主要なシステムも稼働していました。そこにDRサイトも加わったことでハードウェアも増加しました。ミッションクリティカル度は以前にも増して高まっていたのです」(関谷氏)
そこで明電舎は、より高度なサポート内容を備えるHPEの「クリティカルサービス」を採用した。
「クリティカルサービス」は、ミッションクリティカルなシステムの可用性向上を提供するサービス。対応エンジニアチームにより、年4回のパッチ管理支援やファームウェア管理支援・実装とともに、問題の予兆を事前に検知してシステム停止を未然に防ぐプロアクティブサービスを提供する。障害発生時には24時間365日対応、6時間以内のハードウェア修復を実施するなど、HPEのパッケージ型保守サービスの中ではもっともハイレベルな内容となっている。
「クリティカルサービス」は東京・西日本のハードウェアおよそ50台に適用された。これにより、明電舎の保守サービスの水準はさらに向上し、システム拡大に対する運用管理負荷の抑制にも成功した。そして次なる課題となったのが、この恩恵を東京、西日本以外の拠点にも拡充することだった。
「明電舎では東京、西日本の拠点のほか、静岡県沼津市と群馬県太田市に主要な製造拠点を設置しており、それぞれに生産管理系を含めた基幹システムが稼働しています。災害対策の一環でこの沼津―太田間の冗長化も視野に入れ、全社レベルでの保守サービス統合に踏み切ったのです」(小出氏)
この課題に対する最適解としてHPEが提示したのが「HPEデータセンターケア」である。

ベネフィット
IT環境全体を一括してサポートするHPEデータセンターケア
「HPEデータセンターケア」導入以前の沼津拠点、太田拠点の状況を、生産情報部 活用サポート課 専門課長の鈴木祐樹氏は次のように語る。鈴木氏は沼津拠点に勤務しつつ、両拠点のシステムを担当している。
「シリアルナンバーやサービスIDなどの機器を特定する複数の情報と、機器本体を紐付けるために多大な工数を要していました。また、物理的に離れた太田拠点でストレージのディスク1本に障害が発生した場合でも、さまざまな情報を太田のスタッフと共有する必要があるなど、問題解決の初動に時間がかかっていました」(鈴木氏)
さらに当時、小出氏が持っていた課題意識とは次のようなものだったという。
「拡大する一方のITに対して人的リソースの不足は明らかでした。それぞれが多忙な中、密な情報共有が難しい状況も発生しつつありました。その時に、拠点を跨いで保守サービスを統合できる『HPEデータセンターケア』のメリットは非常に大きいと判断しました」(小出氏)
「HPEデータセンターケア」はお客様固有のニーズと課題を理解する「担当アカウントサポートチーム」による対応、24時間365日の単一電話番号によるコール受付、システム単位で柔軟なカスタマイズが可能なサポートメニューにより、プロアクティブ、リアクティブの両面からお客様のIT環境全体を一括でサポートするカスタマイズ型サービスである点が大きな特長だ。
「担当アカウントサポートチーム」は保守担当のサポートエンジニア、製品を知り尽くしたデータセンターハードウェアスペシャリストなどに加え、技術支援・構築を行うテクニカルエンジニアを含めた各分野のエキスパートによって編成される。
明電舎担当チームで保守を担当するHPEのサポートエンジニア、折田達氏は次のように説明する。
「『HPEデータセンターケア』では保守担当エンジニアがサポート業務中に発見した改善点や課題を、窓口となる営業スタッフやテクニカルエンジニアらチーム全体で速やかに共有し、お客様のIT環境全体を俯瞰した上で最適な対策を実行できる体制を組んでいます。またシステムのどのような課題にも経験豊富なエンジニアをアサインしての対応が可能です。この点は明電舎様にもご評価いただいているだけでなく、スキル向上やナレッジ蓄積のスムーズ化など、チームの総合力向上につながっていると考えます」
「クリティカルサービス」の対象となっていた約50台に加え、「HPEデータセンターケア」では、さらに143台ものハードウェアが対象として追加されている。導入後、運用管理や保守の業務負荷はどのように変わったのか、具体例を鈴木氏に聞こう。
「HPEがすべてのシステムの構成情報や障害履歴、ハードウェアの詳細な情報を把握しているので、こちらはノード名を告げるだけでどの機器なのかを特定していただける。管理サイドとしては劇的な負荷軽減です。太田のシステムも管理する立場として、心理的な負担も軽減しました」(鈴木氏)
“サービス無停止を前提に、システム安定化に尽力するHPEチームの高度なプロ意識に触れることで、私たちのサービス提供に対する意識や、仕事の進め方もいい方向に変わってきているという感触があります。今後も明電舎インフラチームの一員として、システムを支えてくれることを期待しています” 小出 光浩 氏 |
また「HPEデータセンターケア」の意義と導入効果について、小出氏は次のように分析する。
「ハードウェアとシステムは専門家であるHPEにお任せすることで、私たちはいかにサービスを停めずに稼働させるのか、さらにはどのようなシステムの将来像、全体像を描くのか、そこに集中できる環境が整備できたと考えています」(小出氏)

日本ヒューレット・パッカード株式会社
(Hewlett Packard Enterprise : HPE)
サポートデリバリ統括本部
アカウント・ソリューションサポート本部
第二アカウントサポート部
折田 達 氏

日本ヒューレット・パッカード株式会社
(Hewlett Packard Enterprise : HPE)
サポートデリバリ統括本部
アカウント・ソリューションサポート本部
テクノロジーサービス部
金澤 佳一 氏
ライフサイクル視点からの運用支援でシステムを常に最適な状態に維持
HPEでは明電舎に対し、システムのライフサイクルのさまざまな局面でコンサルティングと技術支援を実施する「HPEライフサイクルイベントサービス」も提供している。システムの導入・構築・移設などをサービス範囲とし、IT環境全般の継続的な全体最適化に貢献する。明電舎の例では、サーバーリプレイスや仮想化統合、さらには東京―西日本間におけるDRサイト構築プロジェクトなどが本サービスの成果だ。
DRサイト構築プロジェクトに携わったHPEのテクニカルエンジニア、金澤佳一氏は次のように話す。
「ただ構築をするというだけでなく、折田をはじめとする保守サイドと協調し情報共有することで、ハードウェア老朽化や保守切れ、更新の必要性などについて、明電舎様の現況や今後のプランに合わせた適切なタイミングで、具体性のあるご提案を実施しています」
これに対して関谷氏も「定期レビューミーティングの際に『切り替え推奨度の高いサーバー』や『メモリー増設などで他への転用が可能なサーバー』のような、システム安定化につながるきめ細かな提案を受けています。これはIT投資最適化の重要な情報源でもあります」と大きな信頼を寄せている。
最後に小出氏は次のように語って締めくくった。
「現在、明電舎ではシステムにトラブルが発生した場合、ユーザーに対して1時間毎の進捗報告を必須としています。サービス無停止を前提に、システム安定化に尽力するHPEチームの高度なプロ意識に触れることで、私たちのサービス提供に対する意識や、仕事の進め方もいい方向に変わってきているという感触があります。今後も明電舎インフラチームの一員として、システムを支えてくれることを期待しています」
株式会社明電舎
設立
1897年(明治30年)
本社所在地
〒141-6029 東京都品川区大崎二丁目1番1号 ThinkPark Tower
資本金
170億7000万円(平成27年3月31日現在)
従業員数
連結 8,173名 単独 3,696名(平成27年3月31日現在)

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