オープンソースという選択
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ヤマハモーター
ソリューション株式会社
事業マネジメントセクタ
アーキテクチャ統括部
統括部長
古嵜智志 氏 |
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作業は、アプリケーションフレームワークの検討、構築から始まった。2008年には、その上で稼働するアプリケーションの開発がスタート。この時点では稼働環境は商用製品を想定していたが、2009年に当初の目的に照らして稼働環境の再検討を行なったという。その結果、システム基盤として、オープンソースソフトウェアを全面採用するという方針が打ち出された。ヤマハモーターソリューション事業マネジメントセクタアーキテクチャ統括部部長古嵜智志氏に、オープンソース採用の目的をお聞きしよう。
「第一に自由度の確保です。商用製品の保守切れという問題から脱却したかったのです」
標準システムを展開しようとしても、保守期限が来ればその前にバージョンアップ作業をせざるを得ない。結果として計画は遅れ、グローバル展開は阻害される。このような状況は極力避けたかったと、古嵜部長は語る。
「もう一つは、ライセンス費用の削減です」
小さな拠点でも使えるためには、システムコストは極力抑える必要がある。さらに、リーマン・ショック以降は、ITシステムにはさらなるコスト削減が求められていた。ライセンス費用の削減は大きなテーマだったのである。
検討の結果、OSはRed Hat Enterprise Linux (RHEL) 、データベース管理システムはPostgreSQL、さらにJ2EEベースのアプリケーションサーバーとして実績のあるJBossの採用が決まった。
基幹業務に適用する上で、信頼性はどのように確保していったのだろうか。
「開発・検証過程で、ヤマハ発動機の実際の利用状況に基づいて問題を洗い出し、潰し込んでいきました。さらに、導入時の設定や運用時の対応において実績とノウハウを持ったパートナーの協力を仰いだのです」
選ばれたのは、HPEのテクノロジーコンサルティングチームだった。ミッションクリティカルな企業システムにおけるオープンソース導入の実績とグローバルな技術展開が評価されたという。
HPEのコンサルティングチームは、まずオープンソース標準化コンサルティングサービスを提供した。とくに重要なのはソフトウェア設定である。HPEは、豊富な経験に基づき、安定性と性能を両立させる最適な設定を提示した。これにより、各拠点に標準システムを展開するときも、高信頼の環境を構築できるようになったという。
運用時の技術支援も頼りになった。通常時は、新しいリリースやセキュリティアラート、バグの報告などをきめ細かにチェックして、適応のための助言をする。万一の障害時には、様々な要因を分析し、スピーディーで適切な技術支援でサービス復旧を強力にサポートするのである。
2009年11月からのHPEの参加によってWebサーバー、アプリケーションサーバーのソフトウェア標準構成が決定され、標準システムへの移行が始まった。全世界に広がる拠点の中で、最初に標準システムが適応されたのは、東南アジア各国の拠点業務システムだった。
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