サービス停止許容時間内に完結する移設方法を構築
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株式会社大和総研 ビジネス・イノベーション システムマネジメント本部 運用統括部 業務管理課 課長代理 中山 真一氏 |
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日本ヒューレット・パッカード 株式会社 サポートデリバリ統括本部 サポートソリューション本部 プロジェクトサービス部 早川 幸伸氏 |
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日本ヒューレット・パッカード 株式会社 サポートデリバリ統括本部 サポートソリューション本部 プロジェクトサービス部 上田 昌好氏 |
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「HPE移設サービス」は、HPEが持つ過去の豊富な経験と実績を元に提供されてきたが、2011年4月に大きくリニューアルされた。亀井氏たちは「HPEが長年蓄積してきた移設業務におけるノウハウを高く評価した」という。
「HPEには、大規模かつミッションクリティカルなシステムを構築・運用してきた実績とともに、データセンターの新設・変更に伴うマルチベンダー環境の移設経験が豊富にありました。また、世界規模で行われたHPE自身のデータセンター統合から得たノウハウや方法論も『HPE移設サービス』に組み込まれていたことにも注目しました」
ミッションクリティカルなシステムでは、移設に伴うトラブルは絶対に許されない。大規模なマルチベンダー環境を確実に安全に移設してきたHPEの人材、ノウハウ、移設手法への期待は大きかった。
「プロジェクトがスタートすると、HPEのスペシャリストが移設計画の策定段階から加わって、検討すべき項目の洗い出しなど実践的なアドバイスを提供してくれました。これは非常に有益でした」と、移設プロジェクトで大和総研BI側のプロジェクトリーダーを務めたシステムマネジメント本部 運用統括部 業務管理課 課長代理の中山真一氏は語る。
中山氏は、HPEのスペシャリストも参加し、共同で策定した各タスクを実行に移していった。最初のステップは、現地調査である。
「正確な移設計画を作成するためには、まず移設対象となるシステムの構成と物量を正確に把握しなければなりません。その意味で、現地調査は非常に重要な作業なのです」とHPE側でプロジェクト管理をサポートした早川幸伸氏は語る。
現地調査は週末や夜間など業務時間を避けて行われた。HPEのスタッフは、サーバー/ストレージ機器群の物理構成をはじめ、電源、ネットワーク、各機器に接続している膨大なケーブルまで数えあげた。事前にシステムの構成情報を入手していたが、拡張や変更がこれに反映されてないことも多い。「現状のシステム構成
を細部まで把握するために、徹底した現地調査を行いフィードバックした」と早川氏は話す。
移設計画の策定にあたっては、HPEから提供されたヒアリングシートを活用して、中山氏が中心となって各システムの開発・運用担当者と調整し、タイムスケジュールや具体的な手順を詰めていった。
「システムオーナーが懸念していたのは、サービスの停止時間をいかに最小にするか、万一トラブルが発生したときにいかに対処するかでした」と中山氏は振り返る。
慎重に議論を重ねた結果、システムの計画停止は週末に限定し「サービス停止許容時間内に完結する移設方法を構築する」という方針が定められた。
「トラブルへの対策としては、移設作業の中で想定されるリスクを徹底的に洗い出しました。さらにトラブルの予防策とともに、万一に備えたコンティンジェンシープランを策定しました」(早川氏)
移設にかかるコストを抑制するためには、機器をどれだけ少ない回数(ショット数)で移送できるかがポイントになる。しかし、サービスを計画停止できる日程や時間帯はシステムによって異なるうえ、リスクを最小限にするための分割移送も考慮しなければならない。
中山氏、早川氏は、限られた時間内に「システム停止⇒ ラックからの取り外し⇒ 移送⇒ 再セットアップ⇒ 再起動」までを完了させるために、シミュレーションを繰り返して緻密な時間工程表を作りあげた。
「様々な要件を調整しながら、最小限の移設単位で移送するためのスケジュールと手順を構築しました。第一フェーズの移設を実施したのは2011年9月のことです」(中山氏) |