サーバー、ストレージ、バックアップの統合環境をオールHPで構築、
17システムを統合しITインフラのコストとスペースを劇的に削減

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「地域の医療連携に積極的に関わっていく上でも、仮想化共通基盤システムの構築は大きな一歩となりました。院内におけるデータ保護は理想的な形に近づきました。今後の課題はディザスタリカバリ、災害への対策を考慮した遠隔地でのデータ保護です。医療機関の責務として、できるだけ早期に実現したいと考えています」

−独立行政法人 労働者健康福祉機構 千葉労災病院
リハビリテーション科部長 医療情報管理部部長
卒後臨床研修管理室室長 脳神経外科
小沢 義典 氏

 

高性能・高信頼な仮想化共通基盤に17システムを統合

千葉労災病院が仮想化共通基盤を構築し、電子カルテシステム、PACSシステムなど計17のアプリケーションを共通基盤上に移行した。新病棟へのサーバールーム移設を機にIT機器の設置スペースを半減させるとともに、ITベンダーの役割と責任範囲を見直してインフラベンダーを1社に集約。サーバー、ストレージ、バックアップが緊密に連携する仮想化共通基盤上で、高性能かつ高信頼なサービスを実現している。

業種

病院


目的

電子カルテシステム、PACSシステムをはじめとする目的や部門ごとに構築されてきた17システムのITインフラ統合。新病棟へのサーバールーム移設を機に、サーバー/ストレージ/バックアップ機器の設置スペースを半減させるとともに、管理やコスト効率向上の視点からITベンダーの役割と責任範囲を見直す。


アプローチ

アプリケーションとITインフラを切り分け、サーバー/ストレージ/バックアップシステムの担当ベンダーを1社に集約。仮想化共通基盤を構築し、合計17ベンダーによる各種アプリケーションをこの上に統合する。


ITの効果

  • HP CloudSystem Matrix /HP 3PAR StoreServ 7400/HP StoreOnce B6200 Backupを採用し、サーバー、ストレージ、バックアップが緊密に連携する仮想化共通基盤を構築
  • 高性能かつ高信頼な仮想化共通基盤上で17ベンダーによる各種アプリケーションを稼働
  • 17システムのインフラが1つに統合され運用管理負荷が大幅に低減
  • FlexRecovery Softwareにより仮想サーバー環境全体の安全な保護を実現
  • データの使用頻度に応じて3階層のダイナミックなデータ階層管理を実現
  • 全システムのバックアップを統合するとともに、重複排除機能を活用してデータ容量とバックアップ時間を大幅に削減

ビジネスの効果

  • 物理機器の設置スペースを1/2以下に削減
  • ITベンダーの役割と責任範囲を再定義しコストを最適化
  • 将来の新規システム立ち上げや拡張が無停止で可能に
  • システムの高性能化・安定稼働により医療業務の効率性向上に寄与
  • 重複排除機能とリモートコピー機能を利用した災害対策システムも視野に
 

チャレンジ

新病棟へのサーバー移転を機にITインフラを見直し

千葉労災病院は、1965年の開院以来、千葉県の基幹病院として地域医療における重要な役割を担ってきた。20の診療科と400床を擁する総合病院であり、労災医療(勤労者医療)を起点に急性期医療、高度な専門的医療、総合医療(プライマリケア)まで広範な医療サービスを提供している。また、国から指定された臨床研修病院として医師の育成にも尽力している。

リハビリテーション科部長であり医療情報管理部部長を兼務する小沢義典氏は、千葉労災病院の医療業務を支えるIT環境について次のように紹介する。

「2009年にオーダリングシステムを刷新し、検査や処方など医師の指示を担当部署にスピーディに伝達する仕組みを強化しました。さらに、翌年3月には電子カルテシステムを本格的に導入しました。オール電子化に向けた大きな前進です」

紙ベースの診療録から電子カルテへの移行は、病院全体に業務手順の変革を迫ると同時に多大なシステム投資を伴う。それでも千葉労災病院が導入を推し進めたのは、「正確かつ迅速に情報を共有でき、医療の質と安全を向上させることができる」(小沢氏)という確信があったからに他ならない。

「電子カルテシステムの導入により、ネットワークを介して様々な情報を共有できるようになりました。診療記録や検査値、既往歴、アレルギー情報などをどの科でも即座に参照できるため、複数の診療科で受診する患者さんへの対応は非常にスムーズになりました。医療用画像管理システム(PACS)との連携により、X線・CT・MRIなどの画像も電子カルテシステムからの参照が可能です」(小沢氏)

中央放射線部の主任診療放射線技師であり、医療情報管理部の医療情報技師を兼務する多田浩章氏も、次のような効果を指摘する。

「検査を担当する立場からも重要な変化がありました。たとえばMRIによる頭部の検査オーダーがあったとき、担当医師がどんな目的でどこを見たいのか、患者さんがどんな症状を訴えて来院したのかを事前に知ることができます。これは検査精度の向上に大きく貢献できると考えています」

このように、電子化・IT化によって医療サービスと業務効率の向上を図ってきた千葉労災病院だが、2012年に大きな課題に直面したという。

「新病棟の建設とそれに伴うサーバールームの移転です。新しいサーバールームのスペースは従来のおよそ半分。従来のシステムをそのまま移設することは困難でした。情報管理委員会で議論を重ねた結果、仮想化技術を採用して“共通基盤上に全17システムを統合"することを決断しました」(小沢氏)

千葉労災病院 執行役員 制作本部長 小沢義典氏

独立行政法人
労働者健康福祉機構
千葉労災病院
リハビリテーション科部長
医療情報管理部部長
卒後臨床研修管理室室長
脳神経外科
小沢義典氏

 

ソリューション

仮想化共通基盤の構築と17システムの統合

千葉労災病院のIT環境は、2000年代に入って急速に拡充されてきた経緯がある。特に最新のデジタル医療機器・医用画像装置と連携したシステムは、診療科・検査部門に多大なメリットをもたらしてきた。独自性の強いシステムという性格もあり、アプリケーション提供ベンダーがソフトウェアとハードウェアを一括納入して保守サービスまでを提供する方法を採ってきたという。こうした背景が、「導入の目的も時期も異なるサーバーが林立している状況」(小沢氏)を招いたようだ。

「個別に最適化されたシステムは、運用負荷やコストの面からも大きな負担になっていました。私たちは、サーバールームの移転を機に"病院全体の視点からIT環境の最適化を図る"ことを基本方針として確認し、仮想化共通基盤の構想を具体化していきました。その過程で、アプリケーションとITインフラを切り分けて、ハードウェアベンダーを1社に集約するという結論に行きついたのです」と小沢氏は話す。

かねてから小沢氏は、業界標準のプラットフォームと仮想化テクノロジーを組み合わせれば、OSの種類や世代の差異を吸収して複数のシステムを統合できることに着目していた。情報管理委員会は、アプリケーションベンダーへの説明会を実施し理解と協力を求めた。

「各社に対し『診療を止めない、病院機能を止めない』ことを前提にしたシステム移設の手順を説明しました。具体的には、まず新病棟に仮想化共通基盤を構築し、アプリケーションを順次この上で稼働させ、既存システムと並行稼働させながら切り替えていく方法です」(小沢氏)

中には共通基盤化に難色を示すアプリケーションベンダーもあった。「仮想化環境での稼働実績がない」というのがその理由だった。しかし、既存のシステムを物理的に移設する方法はスペースの制約で実現が困難。システムの再接続と稼働検証が必須なため、サービス停止が避けられないという問題もある。移行期限は迫っている。例外を認めるわけにはいかない。

小沢氏を中心とする情報管理委員会のメンバーは、アプリケーションの稼働検証・性能検証を行えるテスト環境を用意するなど様々な手を尽くして解決を図った。そして、「何としても共通基盤化を成功させたい。そのために病院としてあらゆる協力を惜しまない」(小沢氏)と粘り強く説得を続けていった。

千葉労災病院 多田浩章氏

独立行政法人
労働者健康福祉機構
千葉労災病院
中央放射線部
主任診療放射線技師
医療情報管理部
医療情報技師
多田浩章氏

仮想化共通基盤システムを支えるHPプラットフォーム製品

2013年10月、免震構造を備えた新病棟のサーバールームで仮想化共通基盤システムが稼働を開始した。サーバー、ストレージ、バックアップ装置から構成されるハードウェアは42Uの標準ラック3本に統合。インフラ担当ベンダーも1社に集約された。ベンダーの決定から3か月足らずというスピード構築だった。

「従来の半分以下のスペース、という目標は十分に達成されました。各部門に設置されていたシステムも共通基盤上に集約しましたので、スペース効率は1/2を大きく上回っているはずです」と小沢氏は成果を語る。

仮想化共通基盤には17を超えるアプリケーションが集約された。リソースを共有するこの環境において、24時間365日の安定稼働を保証し、医師や技師、看護師の要求に応えるレスポンスを確保しなければならない。ミッションクリティカルなデータの保護という使命も担う。

「私たちの業務はシステムに大きく依存していますので、システムの不調や停止は病院全体の機能停止にまで結びつく可能性があります。高い信頼性、性能、データ保護に十分に配慮したシステム設計としました」(多田氏)

仮想化共通基盤システムを構成する主要機器はHP 製品で統一された。「サーバー、ストレージ、バックアップシステム間の緊密な連携は、パフォーマンスや信頼性、運用管理の上で重要」(多田氏)との判断からだ。

およそ50の仮想マシンを収容するサーバー環境には、クラウド基盤向け製品として実績豊富な「HP CloudSystem Matrix」が採用された。最新のオーケストレーション機能により仮想サーバー環境のセットアップを自動化。アプリケーションベンダー17社は、管理ポータルからログインして自社のシステムが稼働する仮想サーバーにだけアクセスできる。リモートで稼働状況やパフォーマンスを監視するだけでなく、仮想マシンの起動・再起動・シャットダウンといった操作もここから可能だ。また、「FlexRecovery Software」を採用して仮想サーバー環境全体を安全に保護する仕組みも用意されている。

ストレージ基盤に採用されたのは「HP 3PAR StoreServ 7400」である。24時間365日無停止でシステムを運用するユーザー企業から、厚い信頼を寄せられている製品だ。HP 3PAR StoreServは、搭載するディスク全体で自律的にデータの最適配置を行い、負荷を均一に分散させることで高いパフォーマンスを発揮させる。同時接続ユーザーや処理要求の増大によってI/O負荷が高まっても、スループットを維持できる特長が高く評価されている。

「大容量のPACS画像を快適に参照するには、I/O性能の高いストレージが必須です。とはいえ、高価なSSD(半導体ディスク)を潤沢に導入するわけにもいきません」(多田氏)

本システムでは、高速なSSD、高信頼なSAS HDD、安価なニアラインSAS HDDをバランス良く組み合わせることで、コストを抑えながら高速性と大容量を両立させた。さらに、アクセス頻度に応じてデータブロックをSSD−SAS−ニアラインSAS間で自動的に移動させ、よりコスト効率の高い運用を実現している。

「最も高いレスポンスを要求される電子カルテシステムは、優先的に高速なSSDを割り当てました。PACS画像システムもSSD領域を利用しますが、頻繁に参照される画像以外をニアラインSASに自動的に移動させるような運用をしています」(多田氏)

この3階層のデータ階層管理は、HP 3PAR StoreServ の「アダプティブオプティマイゼーション」と呼ばれる機能で実現されている。ストレージシステムのコストを抑えながら、最大の容量効率とパフォーマンスを引き出すことができる実用性の高い機能だ。

 

ベネフィット

医療機関の責務としてのディザスタリカバリへの取り組み

「どんなに小さなシステムでもバックアップは不可欠」と小沢氏が言う通り、千葉労災病院ではデータバックアップに万全を期してきた。従来環境で17システムのバックアップ作業は大きな負担になっていたが、共通基盤の構築とともに一本化され劇的に効率化された。採用されたのは「HP StoreOnce B6200 Backup」である。

「先の震災によりデータ保護の重要性を改めて認識し、安全かつ確実にバックアップを行うための仕組みを慎重に検討しました。新システムでは、バックアップも統合されて包括的に行えるようになり大きな安心を感じています。スケジューリングによって作業が自動化されましたので運用の負荷も大きく軽減されました」(多田氏)

「HP StoreOnce B6200」は業界最高クラスの性能を発揮するディスクバックアップ製品である。冗長化された処理エンジン、バックアップジョブの自律リスタート機能などを備え、24時間365日の安定的なバックアップ&リストアの運用を実現する。対象データを分割して並列処理するためバックアップ時間を大幅に短縮可能で、並列度を高めてもパフォーマンスが落ちないことが大きな特長だ。

「電子カルテ、PACS画像などの診療記録は法令により5年間の保管が義務付けられていますが、実際にはさらに長期間保持しています。バックアップに必要なシステム容量をいかに確保するか、という課題もありました」(多田氏)

HP StoreOnce B6200 は、最先端の"重複排除テクノロジー"によりこの要求に応えた。平均4KBという細かな単位で重複データの検出を行い、PACS画像を含むバックアップデータを1/5に削減することでストレージの容量効率を劇的に向上。さらに、独自のHP StoreOnce Catalystテクノロジーにより、HP Data Protectorバックアップサーバーと連携して送信元で重複排除を実行し、バックアップ時間の大幅な短縮を可能にした。PACS画像に関しては、メディア移送が可能なテープバックアップと組み合わせて最終原本管理を行っている。

「院内におけるデータ保護は理想的な形に近づきました。今後の課題はディザスタリカバリ、災害への対策を考慮した遠隔地でのデータ保護です。仮想化技術を全面的に採用したことと、バックアップデータを集中管理する仕組みが整ったことで技術的な課題はほぼ解決できました。医療機関の責務として、できるだけ早期に実現したいと考えています」と小沢氏は話す。

近い将来、HP StoreOnce B6200の重複排除機能を活かした低帯域でのリモートコピーが、ディザスタリカバリに威力を発揮することになるだろう。

千葉県は、地域医療連携のためのネットワーク構築を急いでいる。千葉労災病院は、地域の病院、診療所を支援する地域医療支援病院のひとつとして、その役割を期待されている。

小沢氏は次のように語って締めくくった。

「地域の医療連携に積極的に関わっていく上でも、仮想化共通基盤システムの構築は大きな一歩となりました。病院もシステムも生き物です。体格や健康状態は常に変化し、問題点も変わっていきます。そうした変化に柔軟に適応でき、医療サービスの向上に貢献できるIT活用を追求していきたいと考えています」

 

会社概要

千葉労災病院

所在地:〒290-0003 市原市辰巳台東2-16

URL:http://www.chibah.rofuku.go.jp/ 

千葉労災病院

お問合わせ窓口

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※ご購入後のお問い合わせは、お手元の保証書内保証規定に記載の電話番号へお問い合わせください。

本件でご紹介のHP製品・サービス・ソリューション

導入ハードウェア

  • HP CloudSystem Matrix
  • HP 3PAR StoreServ 7400
  • HP StoreOnce B6200 Backup

導入ソフトウェア

  • 横河レンタ・リース FlexRecovery Software

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