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OpenVMS マニュアル


HP OpenVMS
OpenVMS Cluster システム


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第3章 OpenVMS Cluster インターコネクトの構成

この章では,さまざまな種類の OpenVMS Cluster 構成の概要を示し,相互接続 (インターコネクト) の方法についても説明します。

サポートされる OpenVMS Cluster 構成の正確な情報については,以下を参照してください。

  • 『 OpenVMS Cluster Software Software Product Description 』 (SPD 29.78.xx)

  • 『OpenVMS Cluster 構成ガイド』



3.1 概要

OpenVMS Cluster の各ノードは,他のすべてのノードと直接接続されていなければなりません。各サイトでは,以下の 1 つあるいは複数のインターコネクトを使用できます。

  • LAN

    • Ethernet (Fast Ethernet, Gigabit Ethernet, 10 Gigabit Ethernet)

  • インターネット・プロトコル (IP)

    • Ethernet (Fast Ethernet, Gigabit Ethernet, 10 Gigabit Ethernet)

  • MEMORY CHANNEL (Alpha のみ)

  • SMCI (Shared memory CI) (Alpha のみ)
    『OpenVMS Alpha パーティショニングおよび Galaxy ガイド』で説明するように OpenVMS Galaxy 構成で使用します。

  • SCSI
    ノードとストレージ間のインターコネクトでのみサポートされます。限定された構成でノード間 (SCS) 通信のための 2 番目のインターコネクトが必要です。

  • Fibre Channel
    ノードとストレージ間のインターコネクトでのみサポートされます。ノード間 (SCS) 通信のための 2 番目のインターコネクトが必要です。

  • SAS (Integrity のみ)
    ノードとストレージ間のインターコネクトでのみサポートされます。限定された構成でノード間 (SCS) 通信のための 2 番目のインターコネクトが必要です。

必要な処理と使用できるハードウェア・リソースによって,個々の OpenVMS Cluster システムの構成方法が決定されます。構成に関するこの章の説明は,これらの物理インターコネクトをもとに行っています。

ブリッジあるいはスイッチを使用して, OpenVMS Integrity サーバ・ノードの Fast Ethernet/Gigabit Ethernet NIC を WDM/DWDM,Gigabit Ethernet,Fibre Channel などの WAN プルバイダが提供するサイト間インターコネクトに接続することができます。

  注意
一般に SCSI クラスタと呼ばれる SCSI インターコネクトでのマルチホスト共有ストレージはサポートされません。また OpenVMS Alpha システムでは,新しい SCSI アダプタのサポートも提供されません。ただし,業界標準の Fibre Channel でのマルチホスト共有ストレージはサポートされます。

OpenVMS Alpha システムにローカル接続されたストレージ (FC あるいは SCSI ストレージ) および OpenVMS Integrity サーバ・システムにローカル接続されたストレージ (Fibre Channel,SAS,あるいは SCSI ストレージ)は,クラスタ内の他のメンバからアクセスすることができます。



すべてのイーサネット・インターコネクトは,業界標準のローカル・エリア・ネットワーク (LAN) であり,広範囲にわたるネットワーク・ユーザが一般的に利用しています。 OpenVMS Cluster システムが LAN で接続されている場合,クラスタ通信は,CI ポート機能をエミュレートするポート・ドライバ (PEDRIVER) によって実行されます。

3.2.1 設計

OpenVMS Cluster ソフトウェアは,DECnet,TCP/IP, SCS プロトコルで,イーサネットとインターコネクトを同時に使用するように設計されています。この機能は,LAN データ・リンク・ソフトウェアがハードウェア・ポートを制御できるようにすることで実現されています。このソフトウェアは,クラスタ・プロトコルが単に共用ハードウェア・リソースの別のユーザになるように,マルチプレキシング機能を提供します。この概念については, 図 2-1 を参照してください。

LAN 経由での OpenVMS Cluster 通信を可能にするためのソフトウェアである PEdriver は,Fast Path のサポートも提供します。 PEdriver の機能には以下のような利点があります。

  • SMP 性能の拡張性を改善します。

  • SCS/IOLOCK8 スピンロックのコンテンションを低減します。 PEdriver は,プライベート・ポート・メインライン・スピンロックを使用して内部操作の同期を取ります。

  • セカンダリ CPU でクラスタ通信を処理させることが可能で,その結果,プライマリ CPU を開放することができます。

  • 単一の CPU でクラスタ通信を処理させることができます。

  • DSA に対して Fast Path で効率化したコードパスを提供しデータ操作をブロック化することにより,CPU コストを低減します。 

詳細は『HP OpenVMS I/O User's Reference Manual』,『HP OpenVMS システム管理者マニュアル』および『HP OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』を参照してください。

3.2.2 クラスタ・グループ番号とクラスタ・パスワード

1 つの LAN で複数の LAN ベースの OpenVMS Cluster システムをサポートできます。各 OpenVMS Cluster は,固有のクラスタ・グループ番号とクラスタ・パスワードによって識別され,安全に保護されます。クラスタ・グループ番号とクラスタ・パスワードの詳細については, 第 2 章 を参照してください。

3.2.3 サーバ

LAN でインターコネクトされた OpenVMS Cluster コンピュータは一般に,サーバまたはサテライトとして構成されます。以下の表ではサーバについて説明しています。

サーバの種類 説明
MOP サーバ MOP (Maintenance Operations Protocol) を使用して, OpenVMS ブート・ドライバをサテライトにロードする。
ディスク・サーバ ローカルに接続されているディスクを,LAN を介してサテライトから利用できるようにするには,MSCP サーバ・ソフトウェアを使用する。
テープ・サーバ ローカルに接続されているテープを,LAN を介してサテライト・ノードから利用できるようにするには,TMSCP サーバ・ソフトウェアを使用する。
ブート・サーバ MOP サーバとディスク・サーバの組み合わせであり, 1 つ以上の Alpha システム・ディスクをサービスする。ブート・サーバとディスク・サーバを使用することで,ユーザおよびアプリケーション・データ・ディスクはクラスタ全体から利用できるようになる。これらのサーバは, OpenVMS Cluster 内で最も強力なコンピュータでなければならず,クラスタ内でもっとも帯域幅の広い LAN アダプタを使用しなければならない。ブート・サーバは常に MSCP サーバ・ソフトウェアを実行しなければならない。



3.2.4 サテライト

サテライトとは,ローカル・システム・ディスクを搭載していないコンピュータです。一般に,サテライトはクラスタ・リソースを使用しますが,ディスク・サービス,テープ・サービス,バッチ処理の機能を提供することもできます。サテライトにローカル・ディスクが搭載されている場合,ページングとスワップのためにこれらのローカル・ディスクを使用することで,性能を向上できます。

サテライトは,システム・ディスクをサービスするローカルのブート・サーバ (または MOP サーバとディスク・サーバ) からブートされます。サテライトのブートでの MOP サーバおよびディスク・サーバの機能については, 第 3.2.5 項 を参照してください。

3.2.5 サテライトのブート(Alpha)

サテライトがオペレーティング・システムのロードを要求すると,適切な OpenVMS Alpha オペレーティング・システムの MOP サーバがブートストラップ・イメージをサテライトに送信します。その後,サテライトはディスク・サーバからオペレーティング・システムの残りの部分をロードし,クラスタに参加できるようになります。ブート時の一連の動作については, 表 3-1 を参照してください。

表 3-1 サテライト・ブート・プロセス
手順 動作 説明
1 サテライトが MOP サービスを要求する。 これは,サテライトがネットワークに送信する最初のブート要求である。 MOP サービスが有効に設定されていて,データベースに特定のサテライト・ノードの LAN アドレスが格納されているノードはすべて,そのサテライトの MOP サーバになることができる。
2 MOP サーバが Alpha システムをロードする。 MOP サーバは,必要なパラメータと SYS$SYSTEM:APB.EXE プログラムのダウンライン・ローディングにより Alpha サテライト・ブート要求に応答する。 Alpha コンピュータの場合は,以下のパラメータが含まれる。

  • システム・ディスク名

  • サテライトのルート番号

3 サテライトがシステム・ディスクおよびルートから追加パラメータを検索する。 サテライトは, SCSSYSTEMID,SCSNODE,NISCS_CONV_BOOT などの OpenVMS Cluster システム・パラメータを検索する。また,クラスタ・グループ・コードとパスワードも検索する。
4 サテライトがロード・プログラムを実行する。 このプログラムは,サテライト・システム・ディスクのディスク・サーバに対して SCS 接続を確立し, SYSBOOT.EXE プログラムをロードする。

Alpha コンピュータに対してサテライト・ブート・サービスを構成し開始する方法については, 第 4.5 節 を参照してください。

3.2.6 サテライト・ブート (Integrity サーバ)

Integrity サーバに対するサテライト・ブート・サービスの構成と起動については, 第 4.5 節 で詳しく説明します。

3.2.7 複数の LAN アダプタの構成

複数アダプタ LAN のサポートは, PEDRIVER (LAN 用のポート・ドライバ) によりローカルとリモートのクラスタ・ノード間で複数のチャネルを確立するこくとにより可能になります。 チャネルとは,一対の LAN アダプタで表される 2 ノード間のネットワーク・パスです。

複数の LAN アダプタを持つ OpenVMS Cluster システムは,以下のような特性を持ちます。

  • ブート時に,すべての Ethernet アダプタはローカルエリア OpenVMS Cluster 用に自動的に構成されます。

  • PEDRIVER は自動的に検知し,各 LAN アダプタの組み合わせごとにそのローカル・ノードと各リモート・クラスタ・ノードとの間に新しいチャネルを作成します。

  • チャネルの存在は継続的に監視されます。

  • 多くの場合,あるチャネルで障害が発生しても,ノード間で機能しているチャネルが少なくとも 1 つ残っている限りそれらのノード間の (仮想サーキット) 通信は妨げられません。



OpenVMS Cluster システムで複数の LAN アダプタを構成するには以下の要件を満たす必要があります。

  • MOP サーバと所定のサテライトのシステム・ディスク・サーバは同じ拡張 LAN セグメントに接続されていなければなりません (LAN は,2 つ以上のローカル LAN 間でトラフィックを管理するブリッジを使用することで拡張できます)。

  • すべてのノードは,他のすべてのノードに対する直接パスを持っている必要があります。直接パスは,ブリッジされた LAN セグメントでも,ブリッジされていない LAN セグメントでも構いません。

規則: LAN アドレスの重複を避けるためには,各ノードに対し,拡張 LAN ごとに 1 つのアダプタのみで DECnet for OpenVMS (Phase IV) および MOP サービス (Alpha あるいは VAX) を実行できます。

複数の LAN アダプタを持つ OpenVMS Cluster システムの構成に対しては,以下のようなガイドラインが適用されます。このガイドラインに従ってシステムを構成する場合,サーバ・ノード (ディスク,テープ,ロック・トラフィックをサービスするノード) は通常,追加の LAN アダプタによって提供される付加的な帯域幅を使用することができ,これによりクラスタ全体の性能が増加します。ただし,この性能の増加は,クラスタの構成とそこでサポートされるアプリケーションに依存します。

複数の LAN アダプタを使用した構成では,以下のガイドラインに従う必要があります。

  • 各 LAN アダプタはそれぞれ別の LAN セグメントに接続します。 LAN セグメントはブリッジされたものでも,ブリッジされていないものでも構いません。こうすることにより,より高い性能が期待でき,クラスタにおける可用性を高めることができます。この LAN セグメントは Ethernet セグメントでも構いません。

  • サテライトは LAN セグメント間で均等に分散させます。こうすることにより,クラスタの負荷をすべての LAN セグメント間でより均等に分散させることができます。

  • LAN の障害が発生した場合にサテライト・ブートが妨げられないように, MOP サービスを提供するシステムは LAN セグメント間に分散させるべきです。性能と可用性のために,システムは複数の LAN セグメントにブリッジさせるべきです。

  • 各ノードでサポートする LAN アダプタの数については, OpenVMS Cluster ソフトウェアの SPD を参照してください。



3.2.8 例

図 3-1 は,1 台のサーバ・ノードと 1 つのシステム・ディスクを持ち,LAN でインターコネクトされた OpenVMS Cluster システムを示しています。

図 3-1 1 つのサーバ・ノードとシステム・ディスクを持つ OpenVMS LAN クラスタ・システム


図 3-1 で,サーバ・ノード (およびそのシステム・ディスク) で障害が発生すると,クラスタ全体がダウンします。サーバ・ノードで障害が発生すると,サテライト・ノードは,システム・ディスクも含めて,どの共用ディスクにもアクセスできなくなります。一部のサテライト・ノードには,ローカルにディスクが接続されていることに注意してください。これらのディスクの一部をシステム・ディスクに変換すれば,サテライト・ノードは独自のローカル・システム・ディスクからブートできます。

3.2.9 LAN デバイスの Fast Path

ストリームライン I/O 処理を支援し新しい AlphaServer における SMP 性能の拡張性を向上させるために, OpenVMS Version 7.3-2 で LAN デバイスの Fast Path 機能に対して以下のような機能拡張が行なわれています。

  • SCS/IOLOCK8 スピンロックに対するコンテンションの低減。 LAN ドライバは,可能な場合は, LAN ポート固有のスピンロックを使用して同期を取ります

  • プライマリ CPU の負荷の低減。 LAN ドライバはセカンダリ CPU に割り当てられ,セカンダリ CPU で I/O 処理が行なわれます。これによりプライマリ CPU の負荷が低減され,プロセッサ間のキャッシュ・コンテンションが低減されます。

この機能は,LAN ドライバが持つ Fast Path 機能を強化します。強化される機能としては,さらなる最適化,リソースの事前割り当て,メインライン・コードに対する最適化コード・パスの提供などがあります。

詳細は『HP OpenVMS I/O User's Reference Manual』を参照してください。

3.2.10 LAN ブリッジのフェールオーバ・プロセス

次の表は,ブリッジ・パラメータの設定がフェールオーバ・プロセスにどのように影響するかを示しています。

オプション 説明
LISTEN_TIME の値を小さくすると,ブリッジはトポロジの変化をより迅速に検出できる。 LISTEN_TIME パラメータの値を小さくする場合は,ブリッジ固有のガイドラインに従って, HELLO_INTERVAL ブリッジ・パラメータの値も小さくしなければならない。しかし, HELLO_INTERVAL パラメータの値を小さくすると,ネットワーク・トラフィックが増大するので,注意が必要である。
FORWARDING_DELAY の値を小さくすると,ブリッジは他の LAN セグメントに不要にパケットを転送するようになる可能性がある。 ブリッジ・ソフトウェアがブリッジの両端の LAN アドレスを判断するまで,不要な転送によって,両方の LAN セグメントでトラフィックが一時的に増大する可能性がある。

注意: 1 つの LAN ブリッジのパラメータを変更する場合,そのパラメータはすべてのブリッジで変更する必要があり,新しいルート・ブリッジを選択しても,パラメータの値が変化しないようにしなければなりません。ブリッジが使用する実際のパラメータ値は,ルート・ブリッジで指定されている値です。


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