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OpenVMS マニュアル


HP OpenVMS
OpenVMS Cluster 構成ガイド


目次 索引

付録B MEMORY CHANNEL 技術概要

この付録では,高度なパフォーマンスを実現するクラスタ・インターコネクト・テクノロジとして MEMORY CHANNEL を説明します。MEMORY CHANNEL は OpenVMS Alpha バージョン 7.1 で導入されたテクノロジであり,複数の構成をサポートします。

この付録の構成は,以下のとおりです。

項目 内容
製品概要 MEMORY CHANNEL 製品とその長所,ハードウェアの構成要素,構成に関する専門的な概要説明です。
技術概要 MEMORY CHANNEL のはたらきについて,技術的な内容を詳細に取り上げます。



B.1 製品概要

MEMORY CHANNEL は,PCI ベースの Alpha システム向けの高度なパフォーマンスを実現するクラスタ・インターコネクト・テクノロジです。待ち時間の短縮,広い帯域幅,直接メモリ・アクセスという利点があるため, MEMORY CHANNEL は,OpenVMS Cluster の独特の機能を補い,また,拡張して,1 つの仮想システムとして機能します。

MEMORY CHANNEL は,CI,DSSI,FDDI,Ethernet といった既存のインターコネクトにおけるノード間のクラスタ・トラフィック (ロック管理通信など) の負荷を軽減し,ストレージやネットワークのトラフィック処理の実効性を強化します。MEMORY CHANNEL は,スループットを大幅に増強する一方で,従来の I/O 処理の待ち時間を大幅に短縮します。

MEMORY CHANNEL は,ノード間で大量のデータを移動するアプリケーションに活かすことができます。リアルタイム処理やトランザクション処理など,高速データ通信が必要なアプリケーションのソリューションとして最適です。さらに,MEMORY CHANNEL により,高度なパフォーマンス・データベースや,大量の OpenVMS Lock Manager トラフィックが生成されるアプリケーションでも,スループットを改善できます。

B.1.1 MEMORY CHANNEL の特長

MEMORY CHANNEL テクノロジには,以下のような特長があります。

  • コスト・パフォーマンスが高い
    MEMORY CHANNEL は,CI 帯域幅の数倍の 100 MB/s インターコネクトを,最小限の遅延時間とともに提供します。MEMORY CHANNEL アーキテクチャは,業界標準の PCI バスを前提に設計されています。

  • 既存のアプリケーションを変更する必要がない
    MEMORY CHANNEL は,既存のクラスタ・ソフトウェアとシームレスに運用できるので,既存のソフトウェアを変更する必要がありません。PMDRIVER と MCDRIVER の 2 つの新しい MEMORY CHANNEL ドライバは,既存のポート・ドライバと同じ方式で, OpenVMS Cluster の Systems Communication Services レイヤと統合します。クラスタ・ソフトウェアの上位層にはまったく影響ありません。

  • CI,DSSI,SCSI クラスタの LAN の負荷を軽減
    ストレージを MEMORY CHANNEL に直結させることはできません。
    MEMORY CHANNEL は,CI や DSSI を代替するものではありませんが,これらのインターコネクトと併用すれば,そのノード間トラフィックを代替して実行できます。これにより,CI や DSSI をストレージ・トラフィック専用にでき,クラスタ全体の通信の最適化が可能です。
    SCSI インターコネクトや LAN インターコネクトを持つクラスタで使用すると,LAN のノード間通信を MEMORY CHANNEL が代替して実行し,LAN で処理できる TCP/IP トラフィックや DECnet トラフィックを増やすことができます。

  • 障害隔離動作を提供
    システム障害が発生しても,MEMORY CHANNEL ノードは OpenVMS Cluster のノードと同様に対応します。障害が発生したノードは,再びクラスタに復帰するまで,クラスタの他の要素によって代替されます。



B.1.2 MEMORY CHANNEL バージョン 2.0 の特長

OpenVMS バージョン 7.1 で導入した当初,MEMORY CHANNEL は 10 フィートのラジアル・トポロジにより,最大で 4 ノードをサポートしていました。また,1 組の送受信側単位の通信しかできませんでした。MEMORY CHANNEL バージョン 1.5 では,8 ノード,新アダプタ (CCMAA-BA),全メッセージのタイム・スタンプ,堅牢なパフォーマンスをサポートしています。

MEMORY CHANNEL バージョン 2.0 では,以下の機能を提供します。

  • 新しいアダプタ (CCMAB-AA) と新しいハブ (CCMHB-AA と CCMHB-BA) のサポート

  • 4 組の送受信ペア間で同時通信をサポート

  • 最長 3 km のラジアル・トポロジに対応できる長いケーブル長のサポート



B.1.3 ハードウェアの構成要素

MEMORY CHANNEL クラスタはハブで相互に結合します。ハブは,システムを結合するデスクトップ PC の大きさのユニットです。ハブとシステムの PCI アダプタは,リンク・ケーブルで接続します。 図 B-1 は,MEMORY CHANNEL のサポート用にノードに必要な 3 つのハードウェア構成要素です。

  • PCI 対 MEMORY CHANNEL アダプタ

  • リンク・ケーブル

  • MEMORY CHANNEL ハブ内のポート (2 つの PCI アダプタだけをケーブルで接続した 2 ノード構成を除く)

図 B-1 MEMORY CHANNEL ハードウェアの構成要素


図 B-1 に示す PCI アダプタのメモリ・マッピング・ロジックでは, MEMORY CHANNEL クラスタ内のシステム同士の通信が可能です。

図 B-2 は,ハブが中央にある 4 ノード MEMORY CHANNEL クラスタです。

図 B-2 4 ノード MEMORY CHANNEL クラスタ


2 ノードしかないクラスタでMEMORY CHANNEL ハブは不要です。 図 B-3 に示すような 2 ノード構成では,同じアダプタとケーブルを使用し,PCI アダプタの 1 つが仮想ハブとして機能します。アダプタとケーブルは,構成を拡張してもそのまま使用できます。

図 B-3 仮想ハブ MEMORY CHANNEL クラスタ




3 ノード以上の構成では,中央ハブが MEMORY CHANNEL に必要です。MEMORY CHANNEL ハブには,電源を供給してアクティブな電子構成要素を組み込みます。電源のシャットダウンや構成要素の障害でハブに障害が発生すると,MEMORY CHANNEL インターコネクトの動作は停止します。この種の障害は,CI,DSSI,ほとんどの LAN 構成など,この方式以外のクラスタ・インターコネクトでは発生しません。

MEMORY CHANNEL 構成を使用し,また高可用も求める場合は,以下の構成で二次バックアップ・インターコネクトを採用することをお勧めします。

  • 一般には,二次インターコネクトは,LAN (Ethernet または FDDI) でクラスタを実装すれば簡単に構成できます。FDDI と 100 Mb/s Ethernet を使用すれば,MEMORY CHANNEL に障害が発生しても十分なパフォーマンスをインターコネクトに確保できます。(LAN によるクラスタの実装の詳細については,『OpenVMS Cluster システム』および『OpenVMS Cluster 構成ガイド』を参照してください。)

  • CI インターコネクトと DSSI インターコネクトは,MEMORY CHANNEL のバックアップとして自動的に機能します。

  • MEMORY CHANNEL インターコネクトが 2 本ある構成では,高いパフォーマンスを実現でき,また MEMORY CHANNEL インターコネクトの 1 本に障害が発生しても処理を続行できます。



B.1.5 ソフトウェアの要件

MEMORY CHANNEL を使用する場合,メモリや診断ツールは一定の要件に従って選択してください。

MEMORY CHANNEL は,通常の操作でもメモリを使用します。MEMORY CHANNEL クラスタの各システムには,メモリが少なくとも 128 MB 必要です。

大きな非ページ化プール・メモリを組み込んだシステムでは,MEMORY CHANNEL が初期化を終了できないことがあります。その場合,コンソールには以下のメッセージが繰り返し表示されます。

Hub timeout - reinitializing adapter 

この場合は,SYSGEN パラメータ NPAGEVIR の値を調べます。値が 1 GB を超える場合,約半分まで値を下げてください。その後システムをリブートすると,MEMORY CHANNEL による初期化が終了します。

B.1.6 構成

図 B-4 は,ストレージに SCSI インターコネクトを使用する MEMORY CHANNEL の基本クラスタです。この構成には,MEMORY CHANNEL インターコネクトの高いパフォーマンス,そして SCSI インターコネクトの経済性という 2 つの利点があります。

図 B-4 MEMORY CHANNEL ベース・クラスタと SCSI ベース・クラスタ


図 B-4 に示す構成では,MEMORY CHANNEL インターコネクトがノード間通信を処理し,SCSI バスがストレージ通信を処理します。

MEMORY CHANNEL を現在のシステムに追加して統合することもできます。 図 B-5 は,CI ベース・クラスタと SCSI ベース・クラスタの混成アーキテクチャに MEMORY CHANNEL を追加した例です。この例で,BI 方式の VAX システムと XMI 方式の VAX システムは,同じ CI クラスタで PCI 方式の Alpha MEMORY CHANNEL システムに統合されています。

図 B-5 MEMORY CHANNEL の CI 方式と SCSI 方式のクラスタ


MEMORY CHANNEL インターコネクトは,ストレージやブートには使用していないので,ブート・デバイスには他のインターコネクトでアクセスします。たとえば 図 B-5 の場合,全ノードが CI でブート・デバイスに直結されているので,ブート・デバイス用には, CI 方式のディスクのどれかを選択するとよいでしょう。

図 B-6 にあるように,MEMORY CHANNEL は既存の DSSI クラスタに統合することもできます。

図 B-6 MEMORY CHANNEL DSSI 方式のクラスタ


図 B-6 にある,3 つの MEMORY CHANNEL システムと VAX システムからは, HSD コントローラに接続された SCSI ストレージの他,DSSI インターコネクトに直結されたストレージをアクセスできます。この構成で,MEMORY CHANNEL は Alpha ノード間通信を処理し,DSSI はストレージ間通信を処理します。

MEMORY CHANNEL は, 表 B-1 に示すプラットフォームと構成をサポートしています。

表 B-1 MEMORY CHANNEL 構成のサポート
要件 説明
構成 MEMORY CHANNEL は,以下の構成をサポートしています。

  • MEMORY CHANNEL ハブごとに最高で 8 ノード。

  • 2 ハブ構成の場合,ノード当たり 2 PCI アダプタ。それぞれ異なるハブに接続のこと。

  • 2 ノード構成の場合,ハブは不要。

ケーブル MEMORY CHANNEL は,以下のケーブルをサポートしています。

  • 最長 10-m (32.8 ft) ラジアル・トポロジの銅ケーブル。

  • 最長 30-m (98.4 ft) ラジアル・トポロジの HP 製の光ファイバ・ケーブル。最長 3-km (1.8 マイル) ラジアル・トポロジの他のベンダの光ファイバ・ケーブル。

ホスト・システム MEMORY CHANNEL は,以下のシステムをサポートしています。

  • AlphaServer 8400

  • AlphaServer 8200

  • AlphaServer 4100

  • AlphaServer 2100A

  • AlphaServer 1200

  • AlphaServer 800

  注意
MEMORY CHANNEL バージョン 1.5 ハブと MEMORY CHANNEL バージョン 2.0 ハブのどちらを組み込んだ OpenVMS Cluster システムでもコンピュータを構成できますが,アダプタとケーブルのバージョン番号をハブのバージョン番号に合わせないと MEMORY CHANNEL が正しく機能しません。

つまり,MEMORY CHANNEL バージョン 1.5 アダプタは MEMORY CHANNEL バージョン 1.5 ハブと MEMORY CHANNEL バージョン 1.5 ケーブルに,また,MEMORY CHANNEL バージョン 2.0 アダプタは, MEMORY CHANNEL バージョン 2.0 ハブと MEMORY CHANNEL バージョン 2.0 ケーブルに使用してください。



B.2 技術概要

この節では,MEMORY CHANNEL の働きについて,その技術的な内容を詳しく取り上げます。

MEMORY CHANNEL は,遠距離に分散するシステムを,最高 8 組まで相互接続できる "SMP バスの延長"型と言えます。ただし,複数の CPU が同じ物理メモリに直接アクセスできる SMP 環境と MEMORY CHANNEL は同じものではありません。つまり,ノード同士が MEMORY CHANNEL グローバル・アドレス領域を共用している場合でも, MEMORY CHANNEL では,ノードごとに専用の物理メモリが必要です。

SMP システムと従来のパケット方式のネットワークでは,両者の間にコスト・パフォーマンスの面でかなりの開きがありますが,MEMORY CHANNEL はちょうどその中間的な存在です。 表 B-2 は,SMP,MEMORY CHANNEL,通常のネットワークのそれぞれの特性を比較した表です。

表 B-2 SMP,MEMORY CHANNEL,通常のネットワークの比較
特性 SMP MEMORY CHANNEL 通常のネットワーキング
帯域幅 (MB/s) 1000+ 100+ 10+
待ち時間 (ms/最も単純なメッセージ) 0.5 5 未満 約 300
オーバヘッド (ms/最も単純なメッセージ) 0.5 5 未満 約 250
ハードウェア通信モデル 共用メモリ メモリ・マップ メッセージ伝達
ハードウェア通信プリミティブ メモリに保存 メモリに保存 ネットワーク・パケット
ブロードキャストのハードウェア・サポート n/a ときどき
同期のハードウェア・サポート 不可
ノード・ホット・スワップのハードウェア・サポート 不可
ソフトウェア通信モデル 共用メモリ ファースト・メッセージ,共用メモリ メッセージ
エラー通信モデル 回復不能 回復可能 回復可能
直接ユーザ・モード通信をサポート 不可
典型的な物理インターコネクト・テクノロジ バックブレーン・エッチ パラレル銅ケーブル シリアル光ファイバ
物理インターコネクトのエラー率 非常に少ない
頻度: 1 未満/年
非常に少ない
頻度: 1 未満/年
少ない:
1 日に数回
ハードウェア・インターコネクト方式 特殊目的のコネクタとロジック 標準 I/O バス・アダプタ (PCI) 標準 I/O バス・アダプタ (PCI その他)
ノード間距離 (m) 0.3 ハブ構成で 20 (銅) または 60 (光ファイバ),
2 ノード構成で 10 (銅) または 30 (光ファイバ)
50〜1000
ノード数 1 8 数百
プロセッサ数 6〜12 SMP システムでは CPU の最大数の 8 倍 数千
障害モデル 全体障害 部分障害 部分障害



B.2.2 OpenVMS Cluster アーキテクチャの MEMORY CHANNEL

図 B-7 にあるように,MEMORY CHANNEL の機能は,System Communication Services レイヤの直下に OpenVMS Cluster アーキテクチャで実装されています。このデザインでは,OpenVMS Cluster ソフトウェアの上位レイヤが変更されないので,既存のアプリケーションを変更する必要はありません。

図 B-7 OpenVMS Cluster アーキテクチャと MEMORY CHANNEL


MEMORY CHANNEL ソフトウェアは,2 つの新しいドライバからなります。

ドライバ 説明
PMDRIVER クラスタ・ポート・ドライバをエミュレート。
MCDRIVER MEMORY CHANNEL ハードウェアに MEMORY CHANNEL サービスとインタフェースを提供。


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