日本-日本語

製品  >  ソフトウェア  >  OpenVMS  >  マニュアル

OpenVMS マニュアル


HP OpenVMS
OpenVMS Cluster 構成ガイド


目次 索引

第2章 ビジネス要件とアプリケーション要件の決定

この章では,OpenVMS Cluster のビジネス要件とアプリケーション要件の決定方法について説明します。

2.1 ビジネス要件の決定

ビジネス要件の種類は,OpenVMS Cluster の構成に関係します。 OpenVMS Cluster システムに関する代表的なビジネス要件には以下のものがあります。

  • 予算

  • 可用性

  • スケーラビリティと将来の成長率

  • 物理的な位置の要件

  • セキュリティ

これらの要件には,スケーラビリティと物理的な位置といったように互いに競合するものがあります。たとえば,OpenVMS Cluster のシステムを拡張したくても設置場所の広さや位置という制約があります。このような状況では,何を最優先し,何を妥協するかを決める必要があります。

2.1.1 予算

ビジネス上の多くの決定事項と同じく,多くの選択肢がコストで決まります。要件の優先順位が決まれば,ビジネス上で最大のニーズがある分野に予算を振り向ける判断ができます。

予算の決定にあたっては,購入コストの他,以下のような初期システム・コストを計画に入れてください。

  • サービスと更新

  • 電力消費

  • 冷却

  • システム管理



2.1.2 可用性

コンピューティング・システムがどのような可用性であるかを決めます。通常の組織には, 表 2-1 に示すように, 3 つ (場合によってはそれらは重複します) の大きなカテゴリのいずれかが当てはまります。

表 2-1 可用性の要件
可用性の要件 説明
一般の用途 システムやアプリケーションを利用できずに待機していても,ほとんど,あるいはまったく影響がないビジネスの機能向けです。
24 × 365 年間を通して主要期間または業務時間帯のほとんどにおいて,連続したコンピューティング・サービスを必要とするビジネス機能向けです。最小限のダウン・タイムのみ許容可能です。
耐障害性 可用性の要件が最も厳しく要求されるビジネス機能向けです。このようなビジネスには,地震,洪水,停電などの災害への対策が要求されます。

関連項目: 可用性についての説明は,本書の 第 8 章 を参照してください。

2.1.3 スケーラビリティと将来の成長率

スケーラビリティとは,任意のシステム,ストレージ,インターコネクト・ディメンションにおいて OpenVMS Cluster を拡張できる一方で,当初の構成機器をフルに活用できる能力です。ノード・レベルのスケーラビリティは,ノードのハードウェアとソフトウェアをアップグレードしたり,追加できる能力を指します。OpenVMS Cluster レベルのスケーラビリティとは,処理能力,インターコネクト,ストレージを,ノード全般に渡って強化することで OpenVMS Cluster システム全体のキャパシティを強化できる能力を指します。

HP では,それぞれ異なる処理特性,ストレージ特性,インターコネクト特性を持つフレレンジの Alpha システムおよび Integrity システムを提供しています。適切なレベルにおける投資とは,現在のビジネス要件に対してある程度の余裕を持って対応できるキャパシティを伴った投資を指します。キャパシティの余地は将来の成長率に対応するためですが,現在のニーズに対して余裕がない設計では, OpenVMS Cluster のスケーラビリティに制限が生じるだけでなく,場合によっては縮小しなければならないこともあります。

将来の成長率を考慮して設計すれば,ほとんどの初期投資を活用できるだけでなく,当初の機器を再利用でき,後で無駄なアップグレードを実施しなくてすみます。

関連項目: スケーラビリティの要件の解析については, 第 9 章 を参照してください。

2.1.4 物理的な位置の要件

物理的な制約は OpenVMS Cluster の構成方法を考える上で重要です。狭いコンピュータ室やオフィス向けのクラスタの設計は,建物全体や数マイルに渡って展開されるクラスタの設計とはまったく異なります。電源や空調の要件も設計を構成する上で影響を及ぼす問題です。

クラスタを設計するときは,将来の物理的な拡張,電源や冷却要件の強化を考慮に入れておきます。

関連項目: 複数の拡張ローカル・エリア・ネットワーク (LAN) の構成については, 第 8.6 節第 9.4.8 項 を参照してください。

地理的に異なる場所で IP を使用してクラスタを構築する方法については, 付録 C.2 節 を参照してください。

2.1.5 セキュリティ

安全な環境とは,権限がないユーザによるシステム・アクセスを物理的または電子的に制限できる環境を指します。通常のビジネスでは,パフォーマンスの低下がほとんど,あるいはまったくない状態で環境を安全化できます。ただし,セキュリティを最優先すると,利便性,コスト,パフォーマンス面で妥協が必要になることがあります。

関連項目: 詳細については,『OpenVMS システム・セキュリティ・ガイド』を参照してください。

2.2 アプリケーション要件の決定

アプリケーションには処理パワー,メモリ,ストレージ,I/O リソースが必要です。アプリケーション要件の決定により,アプリケーションのニーズに合った OpenVMS Cluster システムを設計できます。アプリケーション要件を決定するには, 表 2-2 の手順に従ってください。

表 2-2 アプリケーション要件の決定
手順 説明
1 現在実行している,または実行しようとするアプリケーションのリストを作成します。
2 アプリケーションごとに,プロセッサ要件,メモリ要件,I/O 要件を記述します (詳細については,各アプリケーションのマニュアルを参照してください。)

プロセッサ・パワーは,アプリケーションが実行する計算の数に比例します。またノード間やノードとストレージ間のデータ転送に備えて十分なプロセッサ・パワーが必要です。

アプリケーションとその他の OpenVMS Cluster 機能に十分なメモリ容量が必要です。メモリ容量に余裕があればすぐれたシステム・パフォーマンスを実現できます。最初はメモリにコストをかけることをお勧めします。

I/O パフォーマンス要件は,アプリケーションによって異なります。ノード,インターコネクト,アダプタなどのコンポーネントを選択するときは,各コンポーネント固有の速度をよく検討して最速のコンポーネントを選択し,ボトルネックの発生を防ぎます。

3 すべてのアプリケーションの CPU 要件,メモリ要件,I/O 要件を合算します。この合計値にさらにユーザ要件や周辺機器などの特別要件を加えます。
4 すべてのアプリケーション要件が決まったら,CPU リソース,メモリ・リソース,I/O リソースによる要件が,上記の要件を 20% 上回っていることを確認します。



2.2.1 メモリの追加

OpenVMS Cluster でシステムを実行するには,スタンドアロンの場合より約 5% 多いメモリが必要になります。この追加メモリは,共用クラスタ・リソース・ベースのサポートに充てられます。共用クラスタ・リソース・ベースは,スタンドアロン構成よりも大きくなります。

メモリを追加すれば,OpenVMS Cluster のノードで,スタンドアロン・システムの場合と同数のユーザやアプリケーションをサポートできます。クラスタ構成の拡張とともに,ノードごとにシステム作業に必要なメモリ容量も増えます。ノードごとのメモリ容量の増加は,クラスタ内で共用されるデータ・レベルとリソース管理の分散状態によって異なるので一定のルールを適用することはできません。ノードが使用頻度の高いリソースのリソース・マネージャの場合,メモリを追加すれば,そのリソースのクラスタ・ユーザのパフォーマンスを強化できます。

関連項目: メモリの要件についてはソフトウェア仕様書を参照してください。

2.2.2 プロセッサ・リソース,メモリ・リソース,I/O リソースの分散

アプリケーションのパフォーマンスは,プロセッサ・リソース,メモリ・リソース, I/O リソースをいかにうまくバランスさせるかによって異なります。アプリケーションによって,これらのリソースの優先順位も異なります。アプリケーション要件をよく検討し,その要件に合わせてこれらのリソースのバランスを図ってください。 表 2-3 は,アプリケーション・タイプ別のリソース要件をまとめたものです。

表 2-3 アプリケーション・タイプ別のリソース要件
アプリケーション・タイプ 必要要件
一般タイムシェアリング プログラム開発,ドキュメント作成,オフィス・オートメーション プロセッサと I/O に集中
データベースの検索と更新およびレポートの表示 トランザクション処理,資金移動,オンライン発注エントリまたは予約システム I/O とメモリの集約型
シミュレーション,モデリング,計算 コンピュータ支援設計,製造,イメージ処理,グラフィックス・アプリケーション プロセッサとメモリの集約型



2.2.3 システム管理ツールとユーティリティ

OpenVMS オペレーティング・システムは,OpenVMS Cluster 構成におけるビジネス要件とアプリケーション要件の決定に必要な多くのユーティリティやツールをサポートしています。 表 2-4 は,これらの製品の内容をまとめたものです。Disaster Tolerant Cluster Service (DTCS) を除くすべての製品は, OpenVMS オペレーティング・システムに組み込まれ,各環境に合わせてカスタマイズされます。DTCS の詳細については,弊社のサービス担当者に問い合わせるか,次のDTCS の Web サイトを参照してください。

http://h71000.www7.hp.com/availability/ 

表 2-4 HP のシステム管理ツール
ツール 機能
Accounting ユーティリティ リソースの使用状況を追跡します。
AUTOGEN コマンド・プロシージャ 使用状況に応じてシステム・パラメータの設定を最適化します。
Availability Manager HP Availability Manager は,拡張 LAN あるいは WAN 上で 1 つ以上の OpenVMS Integrity システムまたは OpenVMS Alpha システムを監視するためのシステム管理ツールです。情報を集めようとしているノードは同じ拡張 LAN 上にあり, WAN アナライザとともに収集ノードと通信するインタフェースが必要となります。 Availability Manager は,同時に複数の OpenVMS ノードからシステム・データ,プロセス・データを収集し,データを分析しネイティブの Java GUI で出力を表示します。
HP Insight Management Agents for OpenVMS OpenVMS システム上のデバイスを参照できます。 Insight Manager を Microsoft Windows サーバにインストールすると,すべてのプラットフォームを単一の Windows サーバから管理できます。
HP WBEM Services for OpenVMS WBEM (Web-Based Enterprise Management) を使用すると,管理アプリケーションによって,必要な場所で必要なときに,システム情報を取り出し,システム操作を要求できるようになります。これによりユーザは,複数のプラットフォームおよびオペレーティング・システム間でシステムを一貫性を持って管理することができ,インフラストラクチャを最適化する統合ソリューションによって,操作効率を大幅に改善することができます。
Disaster Tolerant Cluster Services (DTCS) 様々な場所に存在するディザスタ・トレラント・クラスタを構成および管理するための,ツールおよびカスタマイズされたサービスです。
Monitor ユーティリティ 基本パフォーマンス・データを提供します。
OpenVMS Data Collector および Performance Analyzer (ECP Data Collector と ECP Performance Analyzer) これらの ECP 製品を使用するために,追加のコストは必要ありません。ECP Data Collector では,パフォーマンス・データの収集,保管,レポート,およびファイル表示が実行できます。 ECP Performance Analyzer は,ボトルネックを特定し,問題の修復方法を示すことで,OpenVMS Cluster システムのパフォーマンス分析とキャパシティ計画を支援します。Data Collector に組み込まれている API により,収集したデータに直接アクセスできます。
Performance Data Collector for OpenVMS (TDC V2) OpenVMS Version 7.3-2 またはそれ以降が動作している AlphaServer システムのパフォーマンス・データを収集するために使用されます。デフォルトでは,TDC は定期的にデータを収集し,ファイルに格納します。その後,ユーザ・アプリケーションはファイルからデータを取り出すことができます。
Show Cluster ユーティリティ OpenVMS Cluster 構成における処理とパフォーマンスを監視します。
Systems Communications Architecture Control Program (SCACP) LAN クラスタ通信を監視および管理できます。

Availability Manager,Performance Data Collector for OpenVMS (TDC V2),および OpenVMS Management Station の詳細については,次の URL を参照してください。

http://h71000.www7.hp.com/openvms/system_management.html 

Accounting ユーティリティ,AUTOGEN コマンド・プロシージャ, Monitor ユーティリティ,Show Cluster ユーティリティ,および System Communications Architecture Control Program (SCACP) の詳細については,『OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』を参照してください。


目次 索引

プライバシー ご利用条件・免責事項