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OpenVMS マニュアル


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OpenVMS V8.3
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目次
まえがき
第 1 章:DEC XTPU の概要
第 2 章:DEC XTPU のデータ・タイプ
第 3 章:DEC XTPU 言語のレキシカル要素
第 4 章:DEC XTPU 組込みプロシージャ
第 5 章:DEC XTPU の起動
第 6 章:呼び出し可能なDEC XTPU
付録 A :DEC XTPUにおける端末装置のサポートと制限事項
付録 B :DEC XTPU メッセージ
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DEC XTPU リファレンス・マニュアル


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第 1 章
DEC XTPU の概要

この章では,DEC XTPU(DEC eXtended Text Processing Utility)に関して,以下の項目について解説します。



1.1 DEC XTPU とは何か

DEC XTPU とは英語版の DEC Text Processing Utility (DECTPU) を拡張し,複数のコードセットを処理する機能を追加した,プログラミング可能なテキスト処理ユーティリティです。 DEC XTPU は,テキスト処理インタフェースを開発するアプリケーション・プログラマ,およびシステム・プログラマを援助するためのツールとして設計されています。たとえば,プログラマはDEC XTPU を用いて,特別な環境のエディタを作ることができます。このDEC XTPUユーティリティにはコンパイラ,インタプリタ,高級手続き言語,およびDEC XTPU で書かれたインタフェースが含まれています。

DEC XTPU はスクリーン向きエディタのための一般的な機能の他に,以下の特殊機能も備えています。

  • 複数のバッファ

  • 複数のウィンドウ

  • DEC XTPU の内部および DCL レベルでの複数のサブプロセス

  • バッチ・モードでのテキスト処理

  • テキストの挿入モードまたは置換モード

  • フリー・カーソル移動またはバウンド・カーソル移動

  • 学習シーケンス

  • パターン照合

  • キー定義

  • 手続き言語

  • 呼び出し可能なインタフェース

DEC XTPU のレイヤ上に構築されたエディタや他のアプリケーション・プログラムは,ユーザと DEC XTPU 間のインタフェースになります。ユーザは日本語 EVE を使うか,または独自のアプリケーション・プログラムを作ることによって, DEC XTPU を利用できます。

すなわち,DEC XTPU は日本語のテキスト処理アプリケーションを構築するための基礎となるものであると考えることができます。日本語 EVE という編集インターフェイスは, DEC XTPU の上にレイヤ構造として作成されたインタフェースの例であり, DEC XTPU 言語で書かれています。

1.2 日本語 EVE とは何か

日本語 EVE は,簡単に学習し,使用することができる日本語エディタです。一般的な編集機能は日本語 EVE キーパッドの1つのキーを押すことにより利用できるので,これまでエディタを使ったことがない人でも,基本的な編集操作なら,すみやかに実行することができます。

また,テキスト・エディタの使用経験の豊富なユーザにとっても,日本語 EVE は強力で効率のよいエディタです。高度な編集機能は,日本語 EVE コマンド・ラインにコマンドを入力することにより実行できます。このコマンドを使用すれば, DEC XTPU の多くの特殊な機能を使用することができます。日本語 EVE インタフェースについての詳しい説明は,『日本語EVE ユーザーズ・ガイド』および『日本語EVE リファレンス・マニュアル』を参照してください。

1.3 DEC XTPU 言語

DEC XTPU は,強力なテキスト処理作業を行う高級手続き型プログラミング言語です。 DEC XTPU 言語は DEC XTPU のもっとも基本的な構成要素であると考えることができます。 DEC XTPU の機能をアクセスするには,DEC XTPU 言語でプログラムを作成し, DEC XTPU ユーティリティを使ってそのプログラムをコンパイルし,実行しなければなりません。 1 つの DEC XTPU ステートメントだけしか含まない単純なプログラムから,日本語 EVE インタフェースのセクション・ファイルのように複雑なプログラムまで,いろいろなプログラムをDEC XTPU 言語で作成することができます。

DEC XTPU 言語はブロック構造になっているため,簡単に学習でき,また使用できます。 DEC XTPU 言語には多くのデータ・タイプ,関係演算子,エラー処理機能,繰り返しや CASE 文,重要な機能を実行するための広範囲にわたる組込みプロシージャなどがあります。コメントはコメント文字(!)によって示すことができるので,プロシージャに関する内部的な記述を,プロシージャに含めることができます。また,ユーザ作成デバッグ・プログラムを用いてプロシージャをデバッグすることもできます。

1.3.1 DEC XTPU のデータ・タイプ

DEC XTPU 言語には多くのデータ・タイプが含まれています。データ・タイプは変数の内容の意味を解釈するために使用されます。他の多くの言語と異なって, DEC XTPU 言語にはデータ・タイプを変数に割り当てるための宣言ステートメントはありません。 DEC XTPU の変数のデータ・タイプは,代入ステートメントで代入されたときのデータ・タイプであると解釈されます。たとえば,次のステートメントは,文字列データ・タイプを this_var という変数に代入します。


this_var := 'This can be a string of your choice'; 

次のステートメントは,ウィンドウ・データ・タイプを変数 lower_case に代入します。ウィンドウはスクリーンの1行目から始まる15行を使用し,ステータス・ラインは OFF(表示されない)です。


x := CREATE_WINDOW(1, 15, OFF) 

多くのDEC XTPU データ・タイプ(たとえば学習タイプやパターン)は,通常のプログラミング言語で使用されているデータ・タイプと異なっています。 DEC XTPU のデータ・タイプは 表 1-1 に示すとおりです。

表 1-1 DEC XTPU データ・タイプ
データ・タイプ 説明
ARRAY 要素の集まり
BUFFER テキスト・レコードの集まり− BUFFER は編集作業ができる範囲を示します。
INTEGER 整数−有効な値は,-2,147,483,648 から 2,147,483,647 です。
KEYWORD DEC XTPU コンパイラにとって特別の意味がある予約語
LEARN DEC XTPU キーストロークの集まり
MARKER バッファ内の文字位置
PATTERN 一連の文字−パターン演算子とパターン組込みプロシージャは結果としてこのデータ・タイプを通知します。PATTERN はバッファ内の特定のテキストを見つけるために,SEARCH 組込みプロシージャで使用されます。
PROCESS VMS サブプロセス
PROGRAM 実行可能なDEC XTPU ステートメントのコンパイルされた形式
RANGE 2つのマーカの間に存在するすべてのテキスト(2つのマーカも含む)
STRING 文字列
UNSPECIFIED 変数宣言を持つコードがコンパイルされた後のグローバル変数の初期状態
WINDOW スクリーンを分割した領域−ウィンドウは,テキスト・バッファのうちスクリーン上に現れている領域です。

DEC XTPU データ・タイプについての詳しい説明は,『Guide to the DEC Text Processing Utility』および本書の 第 2 章 "DEC XTPUのデータ・タイプ" を参照してください。

1.3.2 DEC XTPU 言語の宣言文

DEC XTPU 言語の宣言文は 表 1-2 に示すとおりです。

表 1-2 DEC XTPU 言語の宣言文
モジュール宣言 MODULE−IDENT−ENDMODULE
プロシージャ宣言 PROCEDURE−ENDPROCEDURE
定数宣言 CONSTANT
グローバル変数宣言 VARIABLE
ローカル変数宣言 LOCAL

DEC XTPU 言語の宣言文についての詳しい説明は,『Guide to the DEC Text Processing Utility』および本書の 第 3 章 を参照してください。

1.3.3 DEC XTPU 言語ステートメント

DEC XTPU 言語ステートメントは 表 1-3 に示すとおりです。

表 1-3 DEC XTPU言語ステートメント
代入ステートメント :=
繰返しステートメント LOOP−EXITIF−ENDLOOP
条件ステートメント IF−THEN−ELSE−ENDIF
ケース・ステートメント CASE−ENDCASE
エラー・ステートメント ON_ERROR−ENDON_ERROR

DEC XTPU 言語ステートメントについての詳しい説明は,『Guide to the DEC Text Processing Utility』および本書の 第 3 章 を参照してください。



1.3.4 DEC XTPU 組込みプロシージャ

DEC XTPU 言語には多くの組込みプロシージャが含まれており,スクリーン管理やキー定義,テキスト操作,およびプログラム実行などの機能を提供します。

独自のプロシージャを作成するときには,組込みプロシージャを使うことができます。また日本語 EVE から組込みプロシージャを使うこともできます。 DEC XTPU 組込みプロシージャについての詳しい説明は,『DEC Text Processing Utility Reference Manual』および本書の 第 4 章 を参照してください。

1.3.5 ユーザ作成プロシージャ

DEC XTPU 組込みプロシージャの呼び出しと DEC XTPU 言語ステートメントを用いて,独自のプロシージャを作成することができます。 DEC XTPU のプロシージャは,値を返すことができます。また再帰的なプロシージャを作成することもできます。プロシージャを作成し,コンパイルしておけば,プロシージャ名を使ってそのプロシージャを呼び出すことができます。

プロシージャを作成するときには,以下のガイドラインに従ってください。

  • プロシージャは PROCEDURE ではじめてください。その後にはプロシージャ名がきます。

  • プロシージャは ENDPROCEDURE で終了してください。

  • 各ステートメントやプロシージャ呼び出しの後に,ステートメントや呼び出しが続くときには,セミコロン(;)を置いてください。

例 1-1 は,現在の文字位置を現在のバッファの先頭に移動するプロシージャの例です。 DEC XTPU 言語ステートメント(PROCEDURE-ENDPROCEDURE)と組込みプロシージャ (POSITION, BEGINNING_OF, CURRENT_BUFFER, MESSAGE, GET_INFO) が使用されています。

例 1-1 ユーザ作成プロシージャの例

 
! This procedure moves the editing 
! position to the top of the buffer 
 
PROCEDURE user_top 
 
  POSITION (BEGINNING_OF(CURRENT_BUFFER)); 
  MESSAGE ("現在のバッファは " + GET_INFO (CURRENT_BUFFER, "name") + " です");
ENDPROCEDURE 
 

このプロシージャをコンパイルしておけば, user_top という名前を使ってこのプロシージャを呼び出すことができます。

1.4 DEC XTPU がサポートするハードウェア

DEC XTPU は,日本語 OpenVMS がサポートするすべてのハードウェアで実行することができます。

DEC XTPU は日本語端末 VT280 シリーズ (DEC 漢字 1983 年版) および VT382 でスクリーン編集機能をサポートします。日本語端末 VT280 シリーズ (DEC 漢字 1978 年版) は, DEC 漢字 1983 年版で変更になった文字が表示されない,という制限のもとでサポートされます。

DEC XTPU のサポートする日本語端末に関する制限事項については, 付録 A を参照してください。



1.5 DEC XTPU の起動

DCL レベルでDEC XTPU を起動するには,EDIT/XTPU コマンドを入力し,ファイルの名前を指定します。


$ EDIT/XTPU text_file.lis

このコマンドは text_file.lis というファイルを編集のためにオープンします。追加ファイルは,編集セッションで DEC XTPU の内部から READ_FILE 組込みプロシージャを使って指定することができます。

上記のコマンドで DEC XTPU を起動する場合には,省略時の編集インタフェースが使用されます (/NOSECTION を指定しなかった場合) 。 DEC XTPU の省略時の編集インタフェースは日本語 EVE です。使用されるインタフェース名(ここでは日本語 EVE (JEVE)) をコマンドとして, DEC XTPUを起動することができるように,次に示すようなシンボルを定義することをお勧めします。


$ JEVE  :== EDIT/XTPU 



1.5.1 DEC XTPU コマンドの修飾子

DEC XTPU コマンドには修飾子を指定することができます。 DEC XTPU 修飾子は中断されたセッションからの回復や, DEC XTPU をアクセスするために使用されるインターフェイスを与える初期化ファイルなどのアイテムを制御します。 DEC XTPU に対する修飾子は 表 1-4 に示すとおりです。

表 1-4 DEC XTPU コマンドの修飾子
修飾子 省略時の値
/CODESET= codeset_keyword /CODESET=ISO_LATIN1
/[NO]COMMAND[= filespec] /COMMAND=XTPU$COMMAND
/[NO]CREATE /CREATE
/[NO]DEBUG[= filespec] /NODEBUG
/[NO]DISPLAY[= keyword] /DISPLAY=CHARACTER_CELL
/[NO]INITIALIZATION[= filespec] /NOINITIALIZATION
/INTERFACE[= Keyword] /INTERFACE=CHARACTER_CELL
/[NO]JOURNAL[= filespec] /[NO]JOURNAL
/[NO]KANJI_DICTIONARY[= filespec] /KANJI_DICTIONARY
/[NO]MODIFY /MODIFY
/[NO]OUTPUT[= filespec] /OUTPUT= input_file.type
/[NO]READ_ONLY /NOREAD_ONLY
/[NO]RECOVER /NORECOVER
/[NO]SECTION[= filespec] /SECTION=XTPU$SECTION
/START_POSITION=( line,column) /START_POSITION=(1,1)
/[NO]WORK=[ filespec] /NOWORK
/[NO]WRITE /WRITE

DEC XTPU コマンドの修飾子についての詳しい説明は, 第 5 章 を参照してください。

1.5.2 初期化ファイル

初期化ファイルには,コマンド・ファイルセクション・ファイルそして イニシャライゼーション・ファイルの3つのファイルがあります。コマンド・ファイルとセクション・ファイルを用いると,日本語 EVE エディタあるいはアプリケーションをカスタマイズできます。イニシャライゼーション・ファイルは,日本語 EVE やその他のアプリケーションを,それら特有のコマンド,設定,およびキー定義を使ってカスタマイズするのに使用されます。

コマンド・ファイル

ファイル・タイプ .TPU
DEC XTPU修飾子 /COMMAND= filespec
省略時のファイル 現在のディレクトリのXTPU$COMMAND.TPU

コマンド・ファイルには,DEC XTPU言語で書かれたソース・コードが入っています。

省略時設定は,/COMMAND=XTPU$COMMANDです。論理名 XTPU$COMMAND に任意のファイルを定義して使うこともできます。 /NOCOMMAND修飾子が指定されない限り, DEC XTPUはコマンド・ファイルを読み込もうとします。

/COMMAND 修飾子についての詳しい説明は『Guide to the DEC Text Processing Utility』および本書の 第 5.5.2 項 を参照してください。

セクション・ファイル

ファイル・タイプ .XTPU$SECTION
DEC XTPU修飾子 /SECTION= filespec
省略時のファイル SYS$LIBRARYディレクトリの
JEVE$SECTION_V3.XTPU$SECTION

セクション・ファイルは DEC XTPU ソース・コードをコンパイルした形式のバイナリ・ファイルです。

省略時設定は,/SECTION=XTPU$SECTION です。日本語 OpenVMS では,起動時に XTPU$SECTIONという論理名が JEVE$SECTION_V3 に定義されます。このため,DCLレベルで EDIT/XTPU コマンドを入力すると,日本語 EVE エディタが起動されます。日本語EVEを使用しないときには,別のセクション・ファイルを指定するか, /NOSECTION 修飾子を指定しなければなりません。

注意

/NOSECTION 修飾子を指定して DEC XTPU を起動した場合には, DEC XTPU に対するインタフェースを与えるためのバイナリ・ファイルの読み取りは実行されません。この場合には, [Return] や <X|キーさえも定義されていない状態になります。新しいセクション・ファイルを作成しているときに,既存のセクション・ファイルからプロシージャや変数,あるいは定義を含みたくない場合には,/NOSECTION修飾子を使用します。

/SECTION 修飾子についての詳しい説明は『Guide to the DEC Text Processing Utility』および本書の 第 5.5.14 項 を参照してください。

イニシャライゼーション・ファイル

ファイル・タイプ .EVE
DEC XTPU修飾子 /INITIALIZATION= filespec
省略時のファイル 現在のディレクトリまたはSYS$LOGINディレクトリの
JEVE$INIT_V3.EVE

イニシャライゼーション・ファイルには, DEC XTPUを使用して書かれたアプリケーションのためのコマンドが入っています。たとえば,日本語 EVE のイニシャライゼーション・ファイルには,キー定義やマージンの設定を含めることができます。

省略時の設定は,/INITIALIZATION です。論理名 JEVE$INIT_V3 に任意のファイルを定義して使うこともできます。イニシャライゼーション・ファイルはとても簡単に作成できますが,セクション・ファイルやコマンド・ファイルを使用したときよりも,起動に時間がかかります。 /NOINITIALIZATION 修飾子が指定されない限り, DEC XTPU はイニシャラゼーション・ファイルを読み込もうとします。

/INITIALIZATION 修飾子についての詳しい説明は『Guide to the DEC Text Processing Utility』および本書の 第 5.5.6 項 を,また,イニシャライゼーション・ファイルの作成については日本語EVE ユーザーズ・ガイドの "イニシャライゼーション・ファイルの作成" を参照してください。


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