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HP OpenVMS: Volume Shadowing for OpenVMS 説明書

第1章 Volume Shadowing for OpenVMS の紹介

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OpenVMSドキュメント・ライブラリ

目次
まえがき
第1章:Volume Shadowingの紹介
第2章:システムに高度な可用性を構成する
第3章:ボリューム・シャドウイングを使うための準備
第4章:DCLコマンドによるシャドウセットの作成と管理
第5章:システムサービスによるシャドウセットの作成と管理
第6章:シャドウセットの整合性の保証
第7章:ミニコピーによるデータのバックアップ
第8章:シャドウ化されたシステムでのシステム管理作業
第9章:ボリュームシャドウイングの性能
付録A:メッセージ
用語集
索引
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この章では,Volume Shadowing for OpenVMS を紹介し, ボリューム・シャドウイング (ディスク・ミラーリングと呼ばれることもあります) でどのようにしてデータの高可用性が達成されるかを説明します。

1.1 概要

Volume Shadowing for OpenVMS は,データを複数のディスクに複製することで, アプリケーションやエンド・ユーザに対してデータの高可用性を提供します。 同じデータが複数のディスク・ボリュームに記録されるので,1 つのディスクに障害が発生しても残りのディスクで入出力要求のサービスを継続することができます。

Volume Shadowing for OpenVMS では, RAID 1 (redundant arrays of independent disks) テクノロジを実装しているため, 1 台のディスク・デバイスに故障が発生してもシステムやアプリケーションの操作を中断させることはありません。 複数のディスクにデータの複製が存在するため, 媒体劣化や通信パスの故障,あるいはコントローラやデバイスの故障など, ストレージ・サブシステムの単一障害でシステム・ダウンが発生することはありません。

OpenVMS に対してディスク・クラス・デバイスと指定されたエンティティはシャドウ・セット内で使用できます。 システム・ディスクを含む 1~3 台の同じサイズのディスク・ボリュームをマウントしてシャドウ・セットを構成することができます。 OpenVMS Alpha バージョン 7.3–2 からは,ディスク・ボリュームの物理ブロックの数が異なっていてもシャドウ・セットを構成できます (1.3.2 項 「サポートされるデバイス」 参照)。 シャドウ・セット内の各々のディスクは,シャドウ・セットの メンバ です。 Volume Shadowing for OpenVMSでは,シャドウ・セットのディスクを論理的に 1 つに結合し,仮想ユニット (図 1-1 「仮想ユニット」 を参照)と呼ばれる 1 つの仮想デバイスとして扱います。 そのため,仮想ユニットとして扱われるシャドウ・セット内の複数のメンバは, アプリケーションやユーザからは, 高度に可用性のある 1 つのディスクとして見えます。

本書ではディスクとデバイスという用語は,ディスク・ボリュームを指すために同じ意味で使われることに注意してください。 ディスク・ボリュームは新しいファイル構造が構成されて使えるようになったディスクのことです。

図 1-1 仮想ユニット

仮想ユニット

図 1-2 「シャドウ・セットの構成要素」 では,Volume Shadowing for OpenVMS が, 仮想ユニットを通じて 3 つの別々のシャドウ・セット・メンバに, データを書き込む様子を示しています。

図 1-2 シャドウ・セットの構成要素

シャドウ・セットの構成要素

ボリューム・シャドウイングの別の利点は,データの修復に役立つことです。 たとえば,1 つのシャドウ・セット・メンバのデータが読めなくなったときには, シャドウイング・ソフトウェアによって他のシャドウ・セット・メンバからデータを読むことができます。正しいデータがプロセスに返される前に, 最初に読めなかったメンバに書き込みが行われます。

注意:

ボリューム・シャドウイングにより,ディスクを使うアプリケーションやシステムの双方に対し,ディスク・ボリュームの単一障害でシステムがダウンするというハードウェア上の問題が回避されることに注意してください。 ただしボリューム・シャドウイングでは,ファイルを間違って削除したり, ソフトウェアの誤動作でディスク・ファイルが壊れるといったソフトウェアに起因する障害に対する保護は行えません。 ボリューム・シャドウイングを行ったとしても,通常のバックアップやジャーナリングは必要です。

Volume Shadowing for OpenVMS は,ときにはフェーズ II シャドウイングとかホスト・ベースのシャドウイングと呼ばれます。 フェーズ I シャドウイング (コントローラ・ベースのシャドウイング) は OpenVMS バージョン 6.2 から廃止されました。

アプリケーションやユーザは,非シャドウイング I/O 操作と同じコマンドや,プログラム言語の構文およびセマンティクスを使用して,シャドウ・セットのデータの読み書きを行います。 システム管理者は,非シャドウイング・ディスクと同じコマンドやユーティリティを使用して,シャドウ・セットの管理と監視を行います。 相違点は,個々のディスクに対してではなく,仮想ユニットを介してアクセスすることだけです。

1.2 ボリューム・シャドウイングの機能と操作

シャドウ・セットを作成し,各々のメンバのデータの整合性を確保するために使われる代表的なボリューム・シャドウイング操作は,マウント,コピー, 補助付きコピー,ミニコピー (OpenVMS バージョン 7.3 から導入),マージ, ミニマージです。 これらの操作を行っている間も, システムは読み込み書き込みの要求を処理し続けることができるため, 高可用性が確保できます。

マージとミニマージ以外のすべてのボリューム・シャドウイング操作は, システム管理者の管理の下で行われます。マージとミニマージは, シャドウ・セット・メンバのデータ整合性に影響を与えるハードウェアやソフトウェア障害が発生したときに, ボリューム・シャドウイング・ソフトウェアによって自動的に開始されます。

システム管理者は SHADOWING システム・パラメータによってボリューム・シャドウイング機能を有効にします。 システム管理者は SHADOW_MAX_COPY システム・パラメータによって, 特定のノードで並列実行されるマージ操作とコピー操作の数を制御できます。 ボリューム・シャドウイングで使われるこれらのシステム・パラメータや他のシステム・パラメータについては, 3.3 項 「ボリューム・シャドウイングのパラメータ」3.4 項 「書き込みビットマップのシステム・パラメータ」 で説明します。

Volume Shadowing for OpenVMS を直接起動することはできません。 その代わりに DCL コマンドの MOUNT と DISMOUNT で起動します。 MOUNT コマンドはボリューム・シャドウイング・ソフトウェアと連携してシャドウ・セットを作成します。 DISMOUNT コマンドはボリューム・シャドウイング・ソフトウェアと連携して, シャドウ・セット・メンバを削除し,シャドウ・セット全体を解除します。

HSJ や HSC のコントローラが構成時に存在している場合, ミニマージと補助付きコピーの操作をサポートするソフトウェアが組み込まれます。

OpenVMS は,$MOUNT,$DISMOU,$GETDVI というシステム・サービスで, シャドウ・セットを作成し管理するプログラミング・インタフェースも備えています。 このプログラミング・インタフェースについては 第5章 「システム・サービスによるシャドウ・セットの作成と管理」 で 説明します。

表 1-1 「ボリューム・シャドウイングの主な機能,操作名,および関連するソフトウェア」 にはボリューム・シャドウイングの主な機能と, それに対応する操作と操作に必要なソフトウェアを示します。 これらの操作の詳細は,第4章 「DCL コマンドによるシャドウ・セットの作成と管理」第6章 「シャドウ・セットの整合性の保証」第7章 「ミニコピーによるデータのバックアップ (Alpha)」 で説明します。

表 1-1 ボリューム・シャドウイングの主な機能,操作名,および関連するソフトウェア

機能

操作

使用するソフトウェア

シングル・メンバのシャドウ・セットを作成する

マウント

SHADOWING システム・パラメータが設定されている MOUNT/SHADOW コマンド

マルチ・メンバのシャドウ・セットを作成する

マウントとコピー

SHADOWING システム・パラメータが設定されている MOUNT/SHADOW コマンド。 2 番目または 3 番目のメンバが追加されるときに,シャドウイング・ソフトウェアはコピー操作を自動的に開始します。

シャドウ・セットからメンバを削除する

デバイスのディスマウント

DISMOUNT コマンド

シャドウ・セットを解除する

(仮想ユニット名を指定して) シャドウ・セットをディスマウントする

DISMOUNT コマンド

ハードウェア障害が発生したときに, すべてのシャドウ・セット・メンバが同一のデータを保持していることを保証する

マージまたはミニマージ

シャドウイング・ソフトウェアは, ハードウェア障害やソフトウェア障害を検出すると,この操作を自動的に行います。 構成に HSJ または HSC のコントローラが存在する場合は, ミニマージが実行されます。

ディスマウントされたシャドウ・セット・メンバをシャドウ・セットに戻す

コピー,補助付きコピー,またはミニコピー

MOUNT コマンドとシャドウイング・ソフトウェア。 これらによりコピー (適切に構成されているときはミニコピー) が起動されます。

 

1.3 ハードウェア環境

Volume Shadowing for OpenVMS は,特別なハードウェアを必要としません。 ミニコピーを除くすべてのシャドウイング機能は, OpenVMS オペレーティング・システムを実行している Alpha および VAX コンピュータで実行できます。ミニコピー操作は, OpenVMS Alpha システム上でのみ実行可能です。ただし,OpenVMS VAX システムを, この機能を使用する OpenVMS Cluster システムのメンバにすることは可能です。

ボリューム・シャドウイングを実行するためには, 少なくとも以下のハードウェアが必要です。

  • 1 台の CPU

  • 1 台のマス・ストレージ・コントローラ

  • 以下の種類のディスク・ドライブのいずれか 1 台

    • DSA (Digital Storage Architecture)

    • SCSI (Small Computer Systems Interface)

    • Fibre Channel

以下の項では,ハードウェア・サポートの概要を説明します。 詳細は,HP Volume Shadowing for OpenVMS の『Software Product Description』(SPD 27.29.xx) を参照してください。

1.3.1 メモリ要件

OpenVMS バージョン 7.3 からは,Volume Shadowing for OpenVMS を実行するためには,以下の追加メモリが必要になりました。

  • OpenVMS Alpha システムでは,ノードごとに 24 KB のメモリが必要

    OpenVMS VAX システムでは,SHADOW_MAX_UNIT システム・パラメータのデフォルト設定のために,ノードごとに 5 KB のメモリが必要です。 このメモリは,デフォルト設定を変更しない限り,Volume Shadowing for OpenVMS を実行しない場合でも必要です。

    このメモリが利用できない場合は,ノードをブートすることができません。

  • 各ノードのシャドウ・セットごとに,4.5 KB のメモリが必要

    このメモリは書き込みビットマップが作成可能になる前に必要になります。 このメモリが利用できないと,マウントが失敗します (つまり, シャドウ・セットがノードにマウントされません)。 MOUNT コマンドが失敗した場合,次のメッセージが表示されます。

    %MOUNT-F-INSFMEM, insufficient dynamic memory
    
  • シャドウ・セット・メンバのストレージ 1 GB ごとに,ノードにマウントされるシャドウ・セットの書き込みビットマップのために,ノードごとに 2.0 KB のメモリが必要です。 (各々のシャドウ・セットは最大 6 つの書き込みビットマップを持つことができます。) メモリの必要量を計算するときは, メンバごとに 50 GB の 2 メンバのシャドウ・セットの場合は,100 GB ではなく, 50 GB とすることに注意してください。

    たとえば,メンバごとに 200 GB のストレージがあるシャドウ・セットでは, クラスタ内の各々のノードの書き込みビットマップには,420 KB のメモリが必要になります。 このメモリが利用できないノードでビットマップ書き込み要求が発生しても,書き込みビットマップは作成されません。

    マスタ書き込みビットマップが作成されても,次にシャドウ・セットがマウントされる別のノードに十分なメモリが存在しない場合には,ローカル書き込みビットマップは作成されません。 WBM_OPCOM_LVL システム・パラメータに 1 (これがデフォルト) または 2 が設定されていると,次の OPCOM メッセージが表示されます。

    Unable to allocate local bitmap - running in degraded mode.
    

    ローカル・ビットマップを持たないノードからの書き込み要求は, 最初にシャドウ・セットがマウントされたノードに登録されます。

これらの必要メモリ量は,累積する必要があります。たとえば,10 個のシャドウ・セットがマウントされているシステムで, 各々のシャドウ・セットに 50 GB のメンバ・ディスクがある場合, 追加で 1,119 KB のメモリが必要ですが,この計算は以下のとおりです。

  • 24 KB: ノードごと (ボリューム・シャドウイングの使用に関係なく)

  • 45 KB: (10 シャドウ・セット x 4.5 KB/システムにマウントされている装置)

  • 1000 KB: (50 x 2.0 KB/ディスクの 1 GB x 10 シャドウ・セット)

  • 1069 KB: 必要メモリ量の合計

1.3.2 サポートされるデバイス

シャドウ・セットを構成する物理ディスクの要件は以下のとおりです。

  • OpenVMS Alpha バージョン 7.3–2 からは,異なるサイズのデバイスをシャドウ・セットの形成に使用できるようになりました。 この機能は,DDS (dissimilar device shadowing) と呼ばれます。 DDS を使用するには,メンバのサイズが異なるシャドウ・セットをマウントしているすべてのシステムが,OpenVMS Alpha バージョン 7.3–2 を実行していなければなりません。

    OpenVMS Alpha バージョン 7.3–2 より前は,Volume Shadowing for OpenVMS では,シャドウ・セット内のすべてのメンバが同じサイズ (つまり,各メンバのブロック数が完全に同じ) でなければなりませんでした。 ディスク技術が急速に進歩しているため,この要件は現実的でなくなってきました。 大きなデバイスで使用されないスペースが生ずることより,異なるサイズのデバイスを使用できるという柔軟性の方が重要になっています。

    運用上は,異なるサイズのデバイスをシャドウイングできるということは,既存のシャドウ・セットに,より大きなディスク・デバイスを追加できるということを意味します。 シャドウ・セットは,オリジナルのシャドウ・セットのファイル・システム・サイズを維持します。 より大きなディスクを追加した後は,小さいディスクを削除すると,シャドウ・セットのジオメトリ (シリンダ,トラック,およびセクションの数) が,残っている最小のディスクのジオメトリに変わります。 ただし,論理ボリューム・サイズ (つまり,ファイル・システム・サイズ) は変わりません。

    シャドウ・セットのすべてのメンバの MAXBLOCK サイズは,シャドウ・セットのストレージ制御ブロック SCB$L_VOLSIZE に格納されている論理ボリューム・サイズ以上でなければなりません。 マウントされているすべてのメンバは,この値を持ちます。 小さいボリュームが不要になった場合,またはシャドウ・セットのファイル・システム・サイズを大きくする必要がある場合は,OpenVMS Alpha バージョン 7.3–2 で導入された 動的ボリューム拡張 (DVE) 機能を使用できます。 DDS 機能と DVE 機能の両方を使用すると,論理ボリュームをオフラインにすることなく,論理ボリュームを連続的に拡大することができます。 DVE の詳細は,1.5 項 「動的ボリューム拡張」を参照してください。

    各々のディスクのブロック数は, SHOW DEVICE /FULL コマンドで調べることができます。ブロック数は, Total blocks nnnnnnnn のように表示されます。

  • ディスクは,Files-11 の ODS-2 (On-Disk Structure Level 2) または ODS-5 (On-Disk Structure Level 5) のデータ・ディスクである必要があります。 Files-11 構造では,オペレーティング・システムがデータを容易に検索できるように, データをボリュームに格納する準備が行われます。ボリューム・シャドウイングは, ユーザやアプリケーションから Files-11 インタフェースを通じて入出力要求を受け取ると,個々のシャドウ・セット・メンバにデータをシャドウ化します。

  • ディスクとコントローラは次のタイプのいずれかでなければなりません。

    • StorageWorks Fibre Channel

    • StorageWorks SCSI

    • MSCP (mass storage control protocol) 準拠

  • ディスク・ボリュームはハードウェアによる書き込み保護を行ってはなりません。 ハードウェアによる書き込み保護を有効にしていると, ボリューム・シャドウイング・ソフトウェアでボリュームの整合性を維持することができません。

  • READL コマンドと WRITEL コマンドをサポートしていない SCSI ディスクでは, シャドウイング・データの (ディスク不良ブロック・エラーの) 修復が行えないので, サポートが制限されます。このようなディスクがあると, 修復できないエラーが発生した場合に,シャドウ・セットからメンバが削除されることがあります。 SCSI ディスクが READL コマンドと WRITEL コマンドをサポートしているかどうかを調べる方法は, 4.10.5.1 項 「SDA による他社製 SCSI デバイスの情報取得」 を参照してください。

1.4 サポートしている構成

Volume Shadowing for OpenVMS は,広範囲のシステム構成でデータの高可用性を提供します。 1 ノードのシステムから大規模な OpenVMS Cluster システムまでサポートしているので, データの高可用性を最も必要とするところに使用することができます。

シャドウ・セット・メンバの位置については, OpenVMS オペレーティング・システムや OpenVMS Cluster システムの SPD で定義されている正しいディスク構成であれば,制限がありません。

  • OpenVMS オペレーティング・システムの場合は,SPD 25.01.xx

  • OpenVMS Cluster ソフトウェアの場合は,SPD 29.78.xx

ディスク・ボリュームが,アクティブなシャドウ・セットのメンバとして既にマウントされている場合,そのディスク・ボリュームを別のノードのスタンドアロン・ディスクとしてマウントすることはできません。

1.4.1 シャドウ・セットの最大数

スタンドアロン・システムや OpenVMS Cluster システムの 2, または 3 メンバのシャドウ・セットでは,最大 500 台のディスクをマウントできます。スタンドアロン・システムや OpenVMS Cluster システムの 1 メンバのシャドウ・セットでは,最大 10,000 台のディスクをマウントできます。 ディスマウントされたシャドウ・セット,使われていないシャドウ・セット, 書き込みビットマップが割り当てられていないシャドウ・セットも, この総数には含まれます。これらの制限は,コントローラやディスクのタイプには無関係です。 シャドウ・セットはパブリック・ボリュームとしてもプライベート・ボリュームとしてもマウントすることができます。

OpenVMS バージョン 7.3 からは,SHADOW_MAX_UNIT システム・パラメータを使用して,1 つのノード内に存在できるシャドウ・セットの最大数を指定できるようになりました。 SHADOW_MAX_UNIT についての詳細は,3.3 項 「ボリューム・シャドウイングのパラメータ」および3.3.1 項 「ボリューム・シャドウイング・パラメータを使う上でのガイドライン」を参照してください。

1.4.2 システム・ディスクのシャドウイング

データ・ディスクと同じようにシステム・ディスクもシャドウイングすることができます。 したがって,シャドウイングされたディスクからブートするシステムでは, システム・ディスクの単一障害でシステムダウンになることはありません。 システム・ディスクのシャドウイングは,複数のコンピュータがブートする共通システム・ディスクを持つ OpenVMS Cluster システムでは,特に重要です。 ボリューム・シャドウイングでは OpenVMS の分散ロック・マネージャを使うため, ロックが有効になる前にクォーラム・ディスクにアクセスしなければなりません。 クォーラム・ディスクのシャドウイングはできないことに注意してください。

Alpha システムと VAX システムは,シャドウイングされたデータ・ディスクを共有することはできますが,システム・ディスクは別にする必要があります。 Alpha システムに 1 つと,VAX システムに 1 つです。

1.4.2.1 ミニコピーが使われた場合の,シャドウ化されたシステム・ディスクのダンプ・ファイルの取得

システムが OpenVMS Alpha バージョン 7.2–2 またはバージョン 7.3 を実行しており,メンバをシャドウ・セットに戻すためにミニコピー操作を使う場合,システム・ディスク・シャドウ・セットからダンプ・ファイル (SYSDUMP.DMP) にアクセスするための追加の手順を実行する必要があります。 この項ではこの追加の手順について説明します。

OpenVMS Alpha バージョン 7.3–1 からは,SDA (System Dump Analyzer) に導入された /SHADOW_MEMBER 修飾子により,この手順は不要になりました。 SDA (以下の手順 2 で使用) は,ダンプ・ファイルを解析する OpenVMS ユーティリティであり,『OpenVMS System Analysis Tools Manual』でその詳細が説明されています。

基本的なファイル・システムがクラッシュ・ダンプを書き込んだ場合, その書き込みは書き込みビットマップのデータ構造に記録されていません。 そのため,以下の手順が必要になります。

  1. システム障害が発生した時点のコンソール出力を調べ, どのデバイスにシステム・ダンプ・ファイルがあるか調べます。

    コンソールには,クラッシュ・ダンプが書き込まれたデバイスが表示されます。 デバイスのシャドウ・セット・メンバにはクラッシュ・ダンプ・ファイルのフル・コピーだけが含まれています。

  2. 次のコマンドを実行して,ダンプが書き込まれたメンバに小さな値を割り当てます。

    $ SET DEVICE/READ_COST=nnn $allo_class$ddcu
    

    ダンプが書き込まれたメンバへの読み込みコストを小さな値に設定すると, SDA または SDA の COPY コマンドによって行われる読み込みがすべてそのメンバに 対して行われます。/READ_COST に 1 を設定することをお勧めします。

  3. システム・ダンプの解析またはコピーを終了したら, シャドウ・セット・メンバの読み込みコストの値を以前の値に戻す必要があります。 以前の値とは,ボリューム・シャドウイング・ソフトウェアによって自動的に割り当てられたデフォルトの設定でも, 以前にユーザが割り当てた値でも構いません。 読み込みコストを以前の値に戻さない場合は, すべての 読み込み入出力が READ_COST を 1 に設定したメンバに対して行われるので, 読み込み性能が不必要に低下することになります。

    シャドウ・セット・メンバの READ_COST の設定をデフォルトの値に戻すには, 次のコマンドを実行します。

    $ SET DEVICE /READ_COST=0 DSAnnnn
    

1.4.3 バージョンが混在した OpenVMS Cluster システムでのミニコピーの使用

バージョンが混在した OpenVMS Cluster システムでミニコピー機能を使う場合は, クラスタ内の すべてのノード で,この機能を含むバージョンの OpenVMS を使う必要があります。 ミニコピーをサポートするのは,OpenVMS Alpha バージョン 7.2-2, OpenVMS Alpha バージョン 7.3,OpenVMS Alpha バージョン 7.3–1 です。 OpenVMS VAX バージョン 7.3 は,限られたサポートを提供します。

1.4.4 アーキテクチャが混在した OpenVMS Cluster システムでのミニコピーの使用

アーキテクチャが混在した OpenVMS Cluster システムでミニコピー機能を使う場合は, すべての VAX システムの SHADOW_MAX_COPY システム・パラメータを 0 に設定することをお勧めします。 この設定を行うことによって,Alpha 上でミニコピーを行おうとしたときに,VAX 上で実行されてしまうのを防ぐことができます。 アーキテクチャが混在したクラスタでは,稀に,シャドウ・セットにメンバを追加するタスクが VAX システムに割り当てられることがあります。 VAX システムではミニコピーを実行できないので,代わりにフル・コピーが実行されます。 SHADOW_MAX_COPY についての詳細は,3.3 項 「ボリューム・シャドウイングのパラメータ」 を参照してください。

1.4.5 シャドウ・セット,バウンド・ボリューム・セット,およびストライプ・セット

シャドウ・セットは,バウンド・ボリューム・セットやストライプ・セットの構成要素とすることができます。 バウンド・ボリューム・セットは, MOUNT コマンドで /BIND 修飾子を指定することによって, ボリューム・セットにバインドされた 1 つまたは複数のディスク・ボリュームで構成されます。 1.6 項 「OpenVMS Cluster システムにまたがるシャドウイング・ディスク」 では, 複数の OpenVMS Cluster システムにまたがるシャドウイングについて説明しています。 9.5 項 「ストライピング (RAID) の実装」 では,ストライピングについての詳細を説明し,RAID (redundant arrays of independent disks) テクノロジとボリューム・シャドウイングの関係を説明しています。

1.5 動的ボリューム拡張

動的ボリューム拡張 (DVE) の基本は,余分なビットマップ・スペースを,そのボリュームで使用する予定の最大サイズまで一度に割り当てることです。 現在の上限は,1 TB です。 余分なビットマップ・スペースを一度に割り当てる処理は,ディスク初期化時に INITIALIZE/LIMIT コマンドで実行するか,マウントされたボリューム上で SET VOLUME/LIMIT コマンドにより実行します。 余分なビットマップ・スペースを割り当てることにより,その後,デバイスをマウントしている間に,SET VOLUME volume-name/SIZE=xxx コマンドを使用して論理ボリューム・サイズを拡張できます (論理ボリューム・サイズは,ファイル・システムに割り当てられているディスク・スペースの量です)。 たとえば,1 TB のストレージ用にディスクを準備して (1 TB のビットマップ・スペースを割り当てます),現時点では 18 GB だけを使用することもできます。 翌年には 36 GB まで大きくするなど,最大 1 TB になるまで拡張できます。 ディスク上のストレージの最大サイズを割り当てることにより,アプリケーションを停止したり,ディスクをディスマウントすることなく,ボリュームのサイズを大きくすることができます。

SET VOLUME/LIMIT コマンドを使用して余分なビットマップ・スペースを割り当てるには,ディスクをプライベートにマウントしなければなりません。 ただし,一旦割り当てると,ディスクを共有可能 (MOUNT/SHARE) でマウントしている間に,ボリュームを拡張できます。

物理ボリュームに拡張用のスペースがあってもなくても,追加のビットマップ・スペースを割り当てることができます。 余裕を持たせたビットマップ・サイズを割り当てるためのコマンドと,ボリューム・サイズを拡張するためのコマンドは,OpenVMS Alpha バージョン 7.3–2 で利用できます。 DVE を使用するボリュームは,OpenVMS バージョン 7.2 またはそれ以降を実行している AlphaServer または VAX システムで使用できます。 次のコマンドは,新しいボリューム上に,余裕を持たせたビットマップ・サイズを割り当てます。

$ INITIALIZE/LIMIT $1$DGAnnn: ! Allocates 1 TB bitmap

次のコマンドは,マウント済みのボリューム上に,余裕を持たせたビットマップ・サイズを割り当てます。

$ SET VOLUME/LIMIT $1$DGAnnn

これらのコマンドのデフォルトの /LIMIT サイズは 1 TB です。 このサイズは,現在 OpenVMS でサポートされている最大サイズでもあります。 特殊な状況では,これより小さいサイズを指定することもできます。

追加の物理ストレージが利用可能になった場合 (シャドウ・セットに大きなデバイスを追加して小さいメンバを削除するか,ストレージ・サブシステム上のサイズを大きくした場合),次のコマンドを入力して,ボリューム・サイズを大きくすることができます。

$ SET VOLUME $1$DGAnnn/SIZE=xxxx

このコマンド構文では,xxxx はブロック数です。

注意:

シャドウ・セットのボリュームを,メンバの物理サイズよりも大きく拡張した場合,小さなメンバをシャドウ・セットに戻して追加することはできなくなります。

1.5.1 INITIALIZE コマンドでの /SIZE 修飾子の使用

/SIZE 修飾子を使用すると,ボリュームの現在の物理サイズよりも小さいファイル・システムを作成できます。 36 GB のディスクがあり,将来 18 GB のディスクの追加を予定している場合は,次のコマンドでディスクを初期化します。

$ INIT/SIZE=36000000 $1$DGAnnn

1.5.2 各ボリュームの拡張限界値を大きくする場合

システムに新しいボリュームを追加する場合,ディスクを INITIALIZE/LIMIT で初期化するときに,ボリュームの拡張限界値を大きくします。 使用中のボリュームの拡張限界値を大きくするには,次の都合のよいメンテナンス時に SET VOLUME/LIMIT コマンドを使用して拡張限界値を大きくするようにしてください。

/LIMIT 修飾子を INITILIZE コマンドまたは SET VOLUME コマンドで使用すると,BITMAP.SYS ファイルが数百ブロック大きくなります。 これにより,将来,柔軟性が高くなります。 (INITIALIZE/LIMIT を使用した場合,デフォルトのクラスタ・サイズ (/CLUSTER_SIZE 用) は 8 です。 この値により,ビットマップが占めるスペースの量が決まります。) ストレージの必要量が予想外に増えた場合,デバイスがマウントされた状態のまま,後でボリュームを拡張することができます (SET VOLUME volume-name/SIZE=xxxx コマンドを使用します)。

1.6 OpenVMS Cluster システムにまたがるシャドウイング・ディスク

ホスト・ベースでボリューム・シャドウイングを実装すると, 複数の物理コントローラに接続されたディスクを OpenVMS Cluster システムでシャドウイングすることができます。 シャドウ・セットのすべてのメンバが同じコントローラに接続されていなければならないという制限はありません。 コントローラが独立していると,コントローラの接続関係や OpenVMS Cluster システムでの位置とは無関係にシャドウ・セットの管理を行うことができ,データ可用性の強化や柔軟な構成が可能になります。

クラスタ全体のシャドウイングでは,メンバは OpenVMS Cluster システムのどこに位置することも可能で,サポートされている OpenVMS Cluster インターコネクトのいずれを経由しても MSCP サーバのサービスを受けることができます。 OpenVMS Cluster インターコネクトには,CI (computer interconnect),Ethernet (10/100 と Gigabit),ATM,DSSI (Digital Storage Systems Interconnect),および FDDI (Fiber Distributed Data Interface) などがあります。 たとえば,FDDI と WAN サービスを使っている OpenVMS Cluster システムでは, 数百 km 離すことが可能で,それによってシステムの可用性や耐災害性が向上します。

図 1-3 「MSCP サーバを経由してアクセスされるシャドウ・セット」 は,複数のノードに存在するローカル・アダプタに,シャドウ・セット・メンバが接続された状況を示しています。 この図の中で,ディスク・ボリュームは,2 つのノード ATABOY と ATAGRL の各々にローカルに接続されています。 MSCP サーバは Ethernet を経由したシャドウ・セット・メンバへのアクセスを可能にします。 ディスク・ボリュームは, 異なるノードにローカルに接続されていますが,同じシャドウ・セットに属しています。 1 つのノードにローカルに接続されているメンバでも, MSCP サーバを経由することで,リモート・ノードからアクセスすることができます。

図 1-3 MSCP サーバを経由してアクセスされるシャドウ・セット

MSCP サーバを経由してアクセスされるシャドウ・セット

シャドウイング・ソフトウェアはシャドウ・セットを各ノードに分散させて保持し, シャドウ・セットを OpenVMS Cluster システムにマウントします。 OpenVMS Cluster 環境では,各ノードはシャドウ・セットを独立に作成し, 維持します。各ノードにあるシャドウイング・ソフトウェアは, 仮想ユニット名で表現される各々のシャドウ・セットを, それぞれの物理ユニットにマップします。シャドウ・セットは他のノードにはサービスされません。 シャドウ・セットを複数のノードからアクセスする必要がある場合は,各々のノードに同じシャドウ・セットを作成します。 シャドウイング・ソフトウェアは,複数のノードにマウントされたシャドウ・セットに対し,クラスタ単位のメンバ構成の一貫性を維持します。

OpenVMS Cluster システムにマウントされたシャドウ・セットを, クラスタ内のあるノードでマウントしたりディスマウントしても, システム内の別のノードで実行しているアプリケーションやユーザに対しては, 何の影響もありません。たとえば,OpenVMS Cluster システムの 1 つのノードからシャドウ・セットをディスマウントしても,それをマウントしている別のノードでのシャドウ・セット操作を継続させることができます。

1.7 インストレーション

Volume Shadowing for OpenVMS は SIP (System Integrated Product) なので, オペレーティング・システムをインストールするときに同時にインストールされます。 Volume Shadowing には OpenVMS のベース・オペレーティング・システム・ライセンスとは別に独自のライセンスが必要です。ボリューム・シャドウイング・ソフトウェアを使うためには, このライセンスをインストールしなくてはなりません。シャドウ化されたシステム・ディスクからブートされるすべてのノードにシャドウイングのライセンスが必要で,有効になっていなくてはなりません。 ご使用の OpenVMS のアップグレード/インストレーション・マニュアルの説明を参照してください。

Volume Shadowing for OpenVMS のライセンスの詳細は, 3.2 項 「Volume Shadowing for OpenVMS のライセンス登録」 を参照してください。

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