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OpenVMS マニュアル


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OpenVMS V7.3-2
ライブラリ

タイトルページ
目次
まえがき
第 1 章:システム構成の概要
第 2 章:ビジネス要件とアプリケーション要件の決定
第 3 章:システムの選択
第 4 章:インターコネクトの選択
第 5 章:ストレージ・サブシステムの選択
第 6 章:SCSI と Fibre Channel ストレージに対するマルチパスの構成
第 7 章:ストレージ・インターコネクトとしての Fibre Channel の構成
第 8 章:可用性を目的とした OpenVMS Cluster の構成
第 9 章:可用性とパフォーマンスを目的とした CI OpenVMS Cluster の構成
第 10 章:スケーラビリティを目的とした OpenVMS Cluster の構成
第 11 章:システム管理の手法
付録 A :インターコネクトとしての SCSI
付録 B :MEMORY CHANNEL 技術概要
付録 C :CI-to-PCI アダプタ (CIPCA) サポート
付録 D :マルチサイト OpenVMS Cluster
索引
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OpenVMS Cluster 構成ガイド


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第 6 章
SCSI と Fibre Channel ストレージに対するマルチパスの構成

この章では,マルチパス SCSI サポートについて説明します。これは,OpenVMS Alpha のバージョン 7.2 以降で利用できます。この SCSI プロトコルは,パラレル SCSI インターコネクトと Fibre Channel インターコネクトの両方で使用します。なお,この章で SCSI とは,パラレル SCSI デバイスまたは Fibre Channel (FC) デバイスを意味します。

注意

SCSI デバイスへのローカル・パスと,同じデバイスへの MSCP サービス対象パスとの間のフェールオーバは,現在サポートされていません。 OpenVMS バージョン 7.3 の MPDEV_REMOTE システム・パラメータのデフォルト設定 (MPDEV_REMOTE = 0) によって,このタイプのフェイルオーバはオフになります。MSCP パスへのフェールオーバがサポートされない場合でも,マルチパス・デバイスは,OpenVMS Cluster システム内の他のシステムの MSCP サービス対象 とすることができます。

サードパーティのディスク・キャッシュ製品,ディスク・シャドウ製品,または類似の製品には,SCSI マルチパス機能を使用できないものがあります。ソフトウェアの製造元でマルチバス機能がサポートされるまで,マルチパスフェールオーバに合わせて構成された SCSI デバイス (HSZ70 コントローラと HSZ80 コントローラにマルチバス・モードで接続された SCSI デバイスなど) では,このようなソフトウェアを使用しないでください。

マルチパス SCSI 機能を使用する上での主な要件と制限事項については, 第 6.2 節 を参照してください。

この章では,Fibre Channel とパラレル SCSI インターコネクトを模式的に表現しています。いずれもノードとストレージ・サブシステムが接続されている水平線で表します。 図 7-1 に示すように,Fibre Channel インターコネクトは,物理的にはスイッチから常に放射状に配線されます。パラレル SCSI は,ハブに対して放射状に配線できます。また,デイジー・チェーン・バスにすることもできます。

ストレージ・サブシステムの複数の SCSI ディスクと SCSI バスの表現も,図では単純化しています。1 つ以上の HSZx コントローラまたは HSGx コントローラが論理ユニットとしてホストに提供する複数のディスクと SCSI バスは,図では 1 つの論理ユニットで表しています。

この章の構成は,以下のとおりです。

  • マルチパス SCSI サポートの概要 ( 第 6.1 節 )

  • 構成要件と制限事項 ( 第 6.2 節 )

  • HSx フェールオーバ・モード ( 第 6.3 節 )

  • パラレル SCSI マルチパス構成 ( 第 6.4 節 )

  • パラレル SCSI マルチパス構成のデバイス命名 ( 第 6.5 節 )

  • Fibre Channel マルチパス構成 ( 第 6.6 節 )

  • マルチパス構成の実装 ( 第 6.7 節 )



6.1 マルチパス SCSI サポートの概要

マルチパス SCSI 構成では,デバイスまでの 1 本のパスに対し,同じデバイスまでの別のパスによるフェールオーバを用意します。同じデバイスに複数のパスがあれば I/O 動作におけるそのデバイスの可用性を強化できます。また複数のパスにより全体的なパフォーマンスも向上します。 図 6-1 は,マルチパス SCSI 構成を示したものです。 1 台のコンピュータから同じ仮想ストレージ・デバイスに 2 本のパスが構成されています。

マルチパス SCSI 構成は,パラレル SCSI と Fibre Channel のどちらにおいても 図 6-1 に示すように,ストレージ・インターコネクトとして使用できます。

1 つのデバイスに複数のパスがあるとき,これをマルチパス・セットといいます。システムがデバイスにパスを構成するとき,名前は同じでパスが異なるデバイスがないか確認します。該当するデバイスがあり,マルチパス・サポートが有効な場合は,システムはマルチパス・セットを形成するか,既存セットに新しいパスを追加します。マルチパス・サポートが無効な場合には, 1 つのデバイスに複数のパスは構成されません。

システムはマルチパス・セットを 1 つのデバイスで表します。システムは,デバイスまでの 1 本のパスを"現在の" パスとして選択し,障害が発生するか,システム・マネージャからシステムに別のパスへの切り替えが要求されるまで,すべての I/O はこのパスで行われます。

マルチパス SCSI サポートには,以下のように 2 種類のフェールオーバがあります。

  • 直接 SCSI から直接 SCSI (直接接続された SCSI パスから直接接続された SCSI パスへ)

  • 直接 SCSI から MSCP サービス対象(直接接続された SCSI パスから MSCP でサービスされているパスへ)

直接 SCSI から直接 SCSI フェールオーバには,マルチポート SCSI デバイスを使用します。直接 SCSI から MSCP サービス対象のフェールオーバには, SCSI バスごとに複数のホストが必要ですが,マルチポート SCSI デバイスは必要ありません。これら 2 種類のフェールオーバは組み合わせることができます。それぞれ単独で使用した場合と組み合わせた場合について以下の項で説明します。

6.1.1 直接 SCSI から直接 SCSI へのフェールオーバ

直接 SCSI から直接 SCSI へのフェールオーバは,マルチポート SCSI デバイスのシステムに使用できます。マルチポート SCSI デバイスの例としては,デュアル HSZ70, HSZ80,HSG80 があります。マルチポート SCSI デバイスは,同じ物理インターコネクト上の複数のポートで構成できるので,ポートのどれかに障害が発生しても,ホストは別のポートからデバイスにアクセスできます。これを 透過的フェールオーバ・モードといい,バージョン 6.2 以降の OpenVMS でサポートしています。

OpenVMS バージョン 7.2 では,新しいフェールオーバ・モードのサポートを導入しました。これは,異なる物理インターコネクト上でマルチポート・デバイスをそのポートとともに構成できる機能です。これを マルチバス・フェールオーバ・モードといいます。

HSx フェールオーバ・モードは, HSx コンソール・コマンドで選択します。透過モードとマルチバス・モードの詳細については, 第 6.3 節 を参照してください。

図 6-1 は,マルチバス・フェールオーバの一般的な構成を表しています。

注意

複数の直接 SCSI パスをデバイスに構成できるのは,接続されているノードのすべてにおいてマルチパス・サポートが有効になっており,HSZ/G がマルチバス・フェールオーバ・モードである場合だけです。

図 6-1 に示す 2 つの論理ディスク・デバイスは, HSx コントローラ・モジュールがシステムに提供する仮想ストレージ・ユニットを表しています。各論理ストレージ・ユニットを,2 つの HSx コントローラ・モジュールの両方で同時に"オンライン"にすることはできません。複数の論理ユニットがあるとき,異なる HSx コントローラに対してはオンラインにできるので,両方の HSx コントローラを同時にアクティブできます。

透過モードでは,他のコントローラの機能停止を HSx コントローラが検出すると論理ユニットはコントローラを切り替えます。

図 6-1 に示すように,マルチバス・モードでは,以下のイベントが発生すると論理ユニットによってコントローラが切り替えられます。

  • 他のコントローラの機能停止を HSx コントローラが検出した。

  • 現在のパス上の障害発生を OpenVMS マルチパス・ソフトウェアが検出し,コントローラ切り替えコマンドを発行した。

  • コントローラ切り替えコマンドを OpenVMS システム・マネージャが発行した。

図 6-1 マルチバス・フェールオーバの構成


図 6-1 の以下の点に着目してください。

  • ホストに 2 つのアダプタがある。

  • 両方のインターコネクトとして,パラレル SCSI (HSZ70 または HSZ80) または Fibre Channel (HSG80) のどちらでも使用できるが,組み合わせることはできない。

  • マルチバス・フェールオーバ・モードに構成された 2 つの HSx コントローラがストレージ・デバイスのキャビネットに組み込まれている。

マルチバス構成は,透過的フェールオーバに対して以下の利点があります。

  • 2 つのホスト・アダプタと 2 つの HSx コントローラ・モジュールの運用により,全体のパフォーマンスが強化される。

  • パス上のホスト・アダプタ,インターコネクト,または HSx コントローラ・モジュールに障害が発生してもストレージにアクセスできるため,可用性が高い。



6.1.2 直接 SCSI から MSCP サービス対象へのフェールオーバ

注意

この項で説明する機能は,OpenVMS バージョン 7.3 リリースではまだサポートされていません。この機能は将来のリリースでサポートされる予定です。

OpenVMS では,SCSI バスを共用する複数のホストをサポートしています。この機能を,マルチホスト SCSI OpenVMS Cluster システムといいます。この構成では, SCSI バスは共用ストレージ・インターコネクトです。クラスタ通信は 2 番目のインターコネクト (LAN,DSSI,CI,または MEMORY CHANNEL) を通じて行われます。

図 6-2 に示すように,マルチホスト SCSI OpenVMS Cluster システムのマルチパス・サポートでは,直接関連付けられた SCSI から MSCP のサービス対象である SCSI ストレージへ,フェールオーバが可能です。

図 6-2 1 つのインターコネクトによる直接 SCSI から MSCP のサービス対象構成


この構成では,次の点に着目してください。

  • 共用ストレージ・インターコネクトに 2 つのホストが接続されている。

  • 2 つのホストは,クラスタ通信用の 2 番目のインターコネクト (LAN,DSSI, CI,または MEMORY CHANNEL) で接続されている。

  • ストレージ・デバイスのポートは 1 つでも複数でもよい。

  • ストレージまでのノード Edgar の SCSI 接続に障害が発生すると,SCSI ストレージはクラスタ・インターコネクトで接続された残りのホストにより,MSCP サービスの対象になる。



6.1.3 両方の種類のマルチパス・フェールオーバを組み合わせた構成

図 6-3 に示すように,マルチホスト SCSI OpenVMS クラスタ・システムでは,クラスタを両方の種類のマルチパス・フェールオーバ (直接 SCSI から直接 SCSI と直接 SCSI から MSCP サービス対象の SCSI)に構成することによりストレージの可用性を強化できます。

注意

直接接続されているストレージから MSCP サービス対象のストレージへのフェールオーバは OpenVMS バージョン 7.3 ではサポートされません。この機能は,将来のリリースでサポートする予定です。

図 6-3 インターコネクトが 2 つの直接 SCSI から MSCP サービス対象構成


この構成では,次の点に着目してください。

  • 両方のノードが両方のストレージ・インターコネクトに直接接続されている。

  • 両方のノードがクラスタ通信用の 2 番目のインターコネクトに接続されている。

  • 各 HSx ストレージ・コントローラが 1 本のインターコネクトにだけ接続されている。

  • 両方の HSx ストレージ・コントローラは同じキャビネットにある。

この構成には,「直接 SCSI フェールオーバ」と「直接から MSCP サービス対象 SCSI へのフェールオーバ」の両方の利点があります。

6.2 構成要件と制限事項

マルチパス SCSI と FC 構成の要件については, 表 6-1 を参照してください。

表 6-1 マルチパス SCSI と FC 構成の要件
構成要素 説明
ホスト・アダプタ パラレル SCSI の場合,KZPBA-CB を使用します。 OpenVMS でマルチパス・フェールオーバをサポートする唯一の SCSI ホストアダプタです。
Alpha コンソール・ファームウェア HSZ70 と HSZ80 を備えたシステムでは,最小更新レベルは,5.3 または 5.4 であり,AlphaServer によって異なります。 HSG80 を備えたシステムでは,最小更新レベルは 5.4 です。
コントローラ・ファームウェア HSZ70 の場合, 最小更新レベルは 7.3 です。 HSZ80 の場合,8.3 です。HSG80 の場合,8.4 です。
コントローラ・モジュール・モード マルチバス・モードに設定します。選択は,HS x コンソールで行います。
全接続 マルチバス・モードで HS x に接続されているすべてのホストには,両方の HS x コントローラ・モジュールまでのパスが必要です。異なるコントローラに排他的に接続されているホストは,コントローラ間で論理ユニットをあちらこちらに切り替え,I/O が実行されるのを防ぐためです。

これを防ぐには,常にホストからコントローラ・モジュールへ全接続されるようにしておきます。コントローラとのホストの接続に障害が発生すると,以下のどれかの操作が実行され,パスの切り替えが無限に繰り返されるのを防ぎます。

  • 接続を迅速に修復する。

  • 他のホストが特定の接続のコントローラに切り替えられるのを防ぐ。そのためには,部分接続のコントローラの原因になるパスへの切り替えを無効にするか ( 第 6.7.10 項 参照),部分的に接続されているコントローラをシャットダウンする。

  • 部分的に接続されたホストを両方のコントローラから切り離す。

割り当てクラス パラレル SCSI の場合,有効な HSZ 割り当てクラスが必要です ( 第 6.5.3 項 参照)。SCSI バスが HSZ コントローラだけで構成され,すべてのコントローラが有効な HSZ 割り当てクラスを持つ場合,そのバスの古い SCSI デバイス命名規則に従う必要はありません。つまり,そのアダプタに同じポート割り当てクラスを割り当てたり,同じノード割り当てクラスと同じ OpenVMS アダプタ・デバイス名を割り当てる必要はありません。

ただし,非 HSZ デバイスがバスにある場合,あるいは HSZ 割り当てクラスなしの HSZ コントローラがある場合,ノードとポート割り当てクラス代入,および共用 SCSI バスのデバイス名の標準ルールは,次のようになります。

AlphaServer 2 x00(A) を除き, HSZ 割り当てクラスによるデバイスからのブートは,KZPBA-CB をサポートするすべての AlphaServers でサポートされています。

割り当てクラスは,FC デバイスには使用しません。

マルチパス FC と SCSI 構成の制限事項については, 表 6-2 を参照してください。

表 6-2 マルチパス FC と SCSI 構成の制限事項
構成要素 説明
サポートされているデバイス コントローラ・モジュール HSZ70, HSZ80,HSG80 に関連付けられている DKDRIVER ディスク・デバイスをサポートします。テープなどの他のデバイス・タイプや GKDRIVER などのクラス・ドライバはサポートしていません。

大きな負荷がかかっている場合,HSZ70 または HSZ80 コントロールでは,ホストによるコントローラの手動または自動切り替えができない場合があります。テストの結果,この問題はめったに起こらないことが判明しています。この問題は,ファームウェア HSOF V7.7 以降のバージョンを使用する HSZ70 では修正済みです。将来のリリースでは HSZ80 についても修正される予定です。この問題は HSG80 コントローラでは 発生しません

複合バージョンと複合アーキテクチャ・クラスタ HSZ や HSG にマルチバス・モードで接続されているホストでは,OpenVMS バージョン 7.2 以上を実行する必要があります。
SCSI から MSCP へのフェールオーバ OpenVMS バージョン 7.3 では, MSCP パスをマルチパス・セットに組み込むことはできません。これは,SYSGEN パラメータ MPDEV_REMOTE を 0 に設定して対応します。これは現在のバージョンのデフォルトの設定です。この制限事項は今後解消される予定です。


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