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VAX & VMSものがたり


第9章 1チップのVAX

DEC半導体グループの起源

DEC半導体グループの発端は、1970年代の初期におけるPDPファミリーのLSI-11の開発にあります。 DECがチップを設計して、製造は他の企業が行いました。1970年代の末までに、半導体の技術的な進歩により、 チップはより強力になり、製造コストも低下しました。コンピュータ業界で優位性を維持するには、 半導体技術が重要なことは明らかでした。


V-11の開発:最初のVAXチップ

1981年に、先端開発チームが、半導体のチップ上にフルスケールのVAXをデザインする方法を調査しました。 この計画はV-11を、最新の半導体技術であるNチャンネル、NMOSを使用してインプリメントし、 フルスケールのVAX CPUを作ることでした。そのために、インプリメントするには4つの異なるチップが必要でした。

プロジェクトが進むにつれ、マイクロコンピュータシステムというものがV-11を作成した方法とは非常に異なる方法で 作られようとしていたことが明らかになりました。マイクロコンピュータシステムは、 劇的に低価格にする目的で、単一チップをベースにしようとしていました。

DECはVAXのデザインを、シリコンにインプリメントされたミニコンピュータアーキテクチャから、 業界のマイクロプロセッサと競合できる真のマイクロプロセッサに変更できるかという問題を調査しました。 会社は後者を選択しました。

  VAX8600 CPUボードのVAX品質検査
VAX8600 CPUボードのVAX品質検査
  V-11は結局VLSIチップになり、VAX8200と8300として出荷されました。 V-11はMicroVAXチップで置き換えられましたが、設計技術、基本的なアーキテクチャ、 MicroVAXを構成した多くのビルディングブロックをもたらしました。

MicroVAXの設計: 最初のチップベースのVAX

V-11とMicroVAX Iは、ほほ並行して開発されました。VAX-11/750は、ゲートアレイを用い、 LSI半導体技術で設計された最初のDECシステムでした。750の後、MicroVAX Iを設計しましたが、 このマシンは集積回路設計のパイオニアであるCarver Meadeによるコンサルティング支援を得て、 シリコンコンパイラを搭載したDECの最初のプロジェクトの一つとなりました。MicroVAX Iの経験に基づき、 直ちにより強力なMicroVAX IIが開発されました。

V-11は完全なVAXインプリメンテーションとして設計されましたが、MicroVAX IはVAXサブセットとして設計されました。 MicroVAX Iシステムは、Dave Cutlerを長としてシアトルのファシリティで開発されました。 MicroVAX IはV-11よりも非常に簡単な設計で、かつシリコン コンパイラツールを使用したため、 V-11よりも早く完了しました。

DECは半導体会社の一社にチップを製造させることを検討しましたが、作業の複雑さと厳しいスケジュールのため、 社内で製造することになりました。この提案は、設計と製造に関して当時まだあまり経験がなかったチップ部門を 大胆にも信用したことから、急進的と考えられました。


盗める最初のVAXの発表

MicroVAXプロジェクトは、1982年7月に開始され、シリコンはちょうど19ヶ月後の、1984年2月4日に完成しました。 これは業界で例のないものでした。セミコンダクタグループ全体がこの努力に結集され、 製造とデバッグの観点からこのチップが最も優先されました。こうして、 チップは1984年8月までにVMSを動作させ、1984年末にフィールドテスト、 そして1985年5月には出荷することができました。

これまでのVAXシステムとは劇的に異なり、MicroVAX IIは非常な成功をおさめました。 これは、20,000ドル以下の最初のVAXでした。この前例のない低価格と大きさから、 Kenはこれを「盗める最初のVAX」と呼びました。

Jesse Lipcon(シニアーVP、UNIXとOpenVMSシステムビジネスユニット)の話

 

「VAXをチップ上に作るというこの素晴らしいスキームを開発したのは、Bob Supnikでした。 そして、このチップは最終的にMicroVAX IIチップになりました。」

 

軍用にもなったVAXシステム

 

VAXシステムは、その性能、ネットワーク機能、スケーラビリティのため、 軍や国防省の多くのアプリケーションで採用されました。開発者は、コマンド、コントロール、コミュニケーション、 インテリジェンス(C3I)アプリケーション用の軍(DoDプログラムを作成しました。 非常にスケラーブルなVAXとOpenVMSアーキテクチャは、コンピュータルームと後方支援でうまく動作しました。 しかし、VAXテクノロジーを前線の厳しい環境に近いところに持っていくという要求が出てきました。

ニューハンプシャー州のプライム コントラクターである、United Technologies’Norden Systemsが、 VAXアーキテクチャをライセンスして、VAXの軍用バージョンを開発しMIL VAX IIというチップを開発しました。 このシステムの価格は商用VAXシステムの5倍でしたが、民生品よりも断然早く動作しました。 このシステムは、温度、振動、衝撃、塩、霧、埃、爆発環境、湿度などの、軍の環境テストの標準を満たしていました。 MIL VAXは船上や飛行機内および陸地への設置に適していました。

長い間に、その他のVAXが軍用のそれほど厳しくない使用のために、 多くのサードパーティのDoD契約者によって耐久性が高められました。 そして、これらのシステムは過酷な衝撃や振動に耐える必要のあった、船上やモバイル環境で使用されました。

 

MicroVAXの成功の上に

MicroVAX IIの成功により、1980年代のその後の期間、VAXチップファミリーの開発方向が定まりました。 VAX CPUを非常に小さなパッケージにし半導体テクノロジーを使用することで、 DECは劇的な速さで性能を向上しつづけることができました。

MicroVAX IIの発表後、ハードウェアとソフトウェアのエンジニアは協力して、 コマーシャルインストラクションセットから4つのインストラクションを追加しました。 COBOLの設計者は除外された複雑な十進演算インストラクションが不要なコンパイラバージョンを開発しました。

MicroVAX IIプロジェクトは、VMSグループが初めからそのコンセプト全体をサポートしなければ実現しませんでした。 MicroVAXが最初に組み立てられた際、最終的な設計とは異なり、特にその簡素化されたメモリ管理の点で、 VAXアーキテクチャと劇的に異なっていました。しかし、元のVAXのメモリ管理がMicroVAX IIに 再度実装されて機能は完全になりました。

MicroVAX IIはVAX CPUをチップ上に実装したシステムでした。VAXプロセッサすべてにわたる強力なVAXの仮想メモリ、 32ビットコンピューティング パワー、ソフトウェアの機能により、 MicroVAX IIマイクロシステムは業界に例のない機能性と柔軟性を提供しました。


爆発的な販売数

VAXシステムの販売数はこれまでに最大規模になっていました。その時点までに、 非常に成功したVAXはその生涯で2,000ユニットが販売されましたが、 MicroVAXはその最初の年に20,000ユニット販売されました。


VAXstation 2000

VAXstation 2000は、MicroVAX IIよりもサイズが小さくなっていました。MicroVAX IIと同様に、 MicroVAX IIチップを基にして開発されました。MicroVAX IIは小さな、 机脇のキャビネットに実装され多様なPDP-11の周辺機器をサポートしましたが、 VAXstation 2000は靴箱サイズのキャビネットでした。CPU、グラフィックス、ディスプレイ制御装置、 ディスク制御装置、および2つのシリアルポートなどのすべての必須となる機能が、 一つの回路ボード上に実装されました。その周辺機器は、キーボード、モニター、マウス、2台までの固定ディスク、 フロッピーディスク、テープドライブに限定されていました。 これらの制限の見返りに、最低5,000ドルの価格でVAX-11/780に近い性能が得られました。 顧客はこれを、「スティック上の1 MIPS」と呼びました。

その最初の年に、VAXstation 2000は60,000システム販売されました。 これは、能力のある製品の価格を下げるとその市場性を高めるという、価格弾力性原理を証明することになりました。


CVAX

二番目のチップはCVAXと呼ばれましたが、CはCMOSを意味していました。初期のNMOS(Nチャンネル、 金属酸化膜半導体)からCMOS(相補型金属酸化膜半導体)へのテクノロジーの変更は、 市場の絶えることのないパワー強化の要求に基因していました。

この第二世代のVLSI VAXマイクロプロセッサにより、パワーは以前のプロセッサの2.5倍から3.5倍になりました。 これは社内で製造された最初のCMOSプロセッサでした。この高性能は、マクロインストラクションパイプライン、 1Kバイトのオンチップ データキャッシュ、28エントリのオンチップ変換バッファなどの機能からもたらされました。

CVAXチップは、MicroVAXチップよりはるかに複雑でした。エンジニア達は、CPU/フローティングポイント機能をVLSI化し、 別のVLSIでメモリ制御、Qバスインターフェイス、およびTOY(Time of Year)クロックと シリアルラインインターフェイスを構成したサポートチップを開発する必要がありました。 このチップ数と複雑さにより、重大な課題がプロジェクトに加わりました。

CVAXチップは、1978年9月に、MicroVAX3500と3600に採用されました。別のCVAXベースのシステム、 VAX6000プラットフォームが1988年4月に発表されました。


SMPの搭載

CVAXベースのVAX6000シリーズは、対称型マルチプロセッサ、SMPへのDECとしての最初の試みでした。

DECは、SMP実装のためVMSを根本から変更する必要に迫られ、再出発が必要と信じていました。 しかし、エンジニアはより簡単な解決策を見つけました。VMSが割り込みに対してインターロックする場所は、 VMSをマルチプロセッサにするには、より明確なロック構造に入れなければならない事が分かりました。 非常に小規模のチームが、9ヶ月でVMS SMPの作業用のプロトタイプを制作しました。

SMPは、1988年4月にVMSバージョン5.0で発表されました。

Jay Nichois(コンピュータスペシャルシステムエンジニアリング マネージャ)の話

 

「私は、MicroVAXの開始時に4人の重要な技術的に構想力のある人々がいたと常に思っていました。 すなわち、早期のソフトウェア開発用のMicroVAX Iの開発者Dave Cutler、 MicroVAXチップ開発の長でマイクロコードも作成したBob Supnik、MicroVAX IIサーバ開発の長Jesse Lipcon、 そしてMicroVMSのソフトウェア戦略を主導したDick Husvedtです。」

 

VAX6000とプラグインのパワー アップグレード

1988年春にVAX6000システムを発表しましたが、このシステムは設計から市場投入までの時間が最も早く、 最も売れた台数から、会社の歴史の中で最も成功した中型システムでした。

VAX6000の重要な特長は、テクノロジーに基づく迅速なアップグレードの概念でした。DECのこれまでのシステムでは、 プロセッサのボードを代えるだけでパワーを向上させることはできませんでした。 VAX6000はプラグアンドプレイの概念を実現しました。つまり、より高速のプロセッサが使用可能になると、 顧客は古いプロセッサを取り外して、その新しいプロセッサをプラグインでき、元の機器を破棄する必要がありませんでした。 これにより、顧客は必要なパワーを増大させて、ハードウェアとソフトウェアの投資を保護することができました。


Rigel

CVAXチップは直ぐに、三番目の32ビットのマイクロプロセッサのRigelチップで置き換えられました。 エンジニアはこのチップに2つの選択肢を考慮しました。一つは、 最も成功したマシンのVAX8800 Rigelチップを基にすることでした。 もう一つは、リスクは高いけれども、より高性能な複数チップと、 一層のコーディネーションを必要とするより精巧な設計を行うことでした。

最終的に、DECは8800のCPUボードの回路設計を、単一チップのRigelに複製することにしました。

Rigelチップは、1.5マイクロンのCMOSテクノロジーで製造されました。 このリゲルチップは1989年7月に発表されて、VAX6400システムで出荷され、 その後、VAX4000システムで出荷されました。 また、RigelはVAXアーキテクチャのベクトル拡張の最初のインプリメンテーションを実装していました。


Mariah

1990年10月に、DECは、VAX6500で出荷されたMariahチップセットを発表しました。 Rigelチップセットを改良し、Mariahチップセットは1.0マイクロンのCMOSテクノロジーで製造されました。 VAX6500プロセッサは、プロセッサ当たり、VAX-11/780のパワーの約15倍でした。 VAX6500はライトバックキャッシュという新しいキャッシュテクニックを採用しましたが、 これによりシステム バス上のCPUからメモリへのトラフィックが減り、 マルチプロセッサシステムはより効率的に動作することができました。


NVAX

NVAXチップが1991年11月に発表され、四番目のVAXマイクロプロセッサのNVAXが0.75マイクロンのCMOSテクノロジーで製造され、 VAX6600として出荷されました。NVAXはVAX9000のパイプラインの性能を内臓し、当時の最高速のCISCチップでした。 これは、VAX−11/780の50倍のCPU速度でした。

NVAXチップは、今日出荷しているVAXで使用されている現在のテクノロジーです。


非常な速度で進化

DECのチップ開発は、非常に迅速でした。MicroVAXからCVAXへの期間は、2.25年でしたが、 CVAXからRigelへは2年以下でした。そして、RigelからMariahには約1年でした。MariahからNVAXへは15ヶ月でした。


シリコンによるビジネスの成長

VAXチップセットにより、会社の新しい方向での製品開発が出発しました。 最初の1会計年に、VAXチップのビジネスは、10億ドルのビジネスに成長しました。 そして、20億ドルから30億ドルになりました。

MicroVAXが発表されたとき、会社のシステム売り上げの10%未満が マイクロプロセッサチップを基にした製品から上がっていました。1990年までに、 マイクロプロセッサチップはシステム売り上げの90%になりました。 1990年代の初めには、DECのセミコンダクターグループは会社の最大で最も利益の多いビジネスでした。


主要な性能強化

MicroVAXチップにより強化されたVAXシステムは、5世代の設計で性能が、1MIPSから2.5MIPS、7MIPS、 11MIPS、50MIPSに増大しました。このため、VAXシステムは、最高速、高性能なマシーンとして、市場で世界的に有名になりました。

DECではMicroVAXが発表されたときから、競合会社のチップ性能を測定していました。 業界最高速度のマイクロプロセッサを製造するという会社の目標は、CVAXで達成されました。 これは当時の最高速度のチップでした。

Jay Nichols(コンピュータ スペシャルシステムエンジリアリングマネージャ)の話

 

「MicroVAX IIからCVAX、Rigel、NVAXへの異なるチップセットが反映しているように、 アーキテクチャ上の努力の中心はプロセッサの性能向上でしたが、NVAXがその限界でした。」

 
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