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商用UNIXのパーティション技術最新事情

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商用UNIXのパーティション技術最新事情
商用UNIXのパーティション技術最新事情
3種類のパーティション技術
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論理パーティションを比べる


論理パーティションは、ソフト・パーティションとも呼ばれ、サーバのリソース(CPUやメモリ)をソフトウェア的に分割する技術である。1台のサーバ(もしくは物理パーティション)を複数の論理パーティションに分割し、それぞれ個別のOSインスタンスを運用可能だ。またパーティション間でCPUの移動が可能な点も大きな特徴である。

IBMでは、論理パーティションとしてLPAR(Logical PARtition)およびDLPAR(Dynamic Logical PARtition)を提供している。また同社が今年8月にリリースしたeServer p5 モデルおよびAIX 5.3では、SPLPAR(Sub Processor Logical PARtition)が新たに追加された。このSPLPARは、マイクロ・パーティショニングとも呼ばれ、サブプロセッサー単位の分割を実現している。

一方のHP-UXでは、論理パーティションとしてvPars(Virtual Partitions)をサポートしている。vParsは現状ではHP 9000サーバのみ対応しているが、2005年前半にはHP Integrityサーバの対応も予定されている。また2005年後半には、SPLPARと同様のプロセッサー分割を実現する論理パーティション技術Integrity VM(Integrity Virtual Machines)がリリースされる予定だ。

表2は、各社の論理パーティションを比較したものである。

表2:論理パーティションの比較
 

HP

Sun

IBM

論理パーティション

vPars/Integrity VM (未対応) LPAR/DLPAR/SPLPAR

性能オーバーヘッド

殆ど無し (vPars) 15〜40% (SPLPAR)(*4)

プロセッサー性能低下

なし (vPars) あり (SPLPAR)

プロセッサー分割単位

サブプロセット (Integrity VMにより実現) 1/10プロセッサー(SPLPAR)

I/Oの共有

○ (Integrity VM) ○ (SPLPAR)

HA構成サポート

×(*5)

専用管理コンソール

不要 必要
(2005年1月現在/日本ヒューレット・パッカード調べ)

HPのvParsの特徴は、ハードウェアやソフトウェア本来の能力をできるだけ損なわないかたちでパーティション分割を実現している点だ。たとえばvPars利用によるパフォーマンスに対するオーバーヘッドはほとんど発生しない。またクラスタウェアHP ServiceguardによるHA構成や、プロセッサー障害時の動的切り離しなども、vPars非利用時とまったく同様に利用できる。前述のnParsや後述するリソース・パーティションとも自由に組み合わせることができる。

これに対し、IBMのSPLPARのメリットは、プロセッサー分割を可能にする現時点で唯一のソリューションであることだ。つまり、1つのCPUの能力を1/10単位で分配できるため、より多くのパーティション分割が可能になる。たとえばvParsの場合は各パーティションに最低1個のCPUを占有させる必要があるため、サーバのCPU数を超える数のパーティションを設けることはできない。一方SPLPARでは、サーバ1台で10個や20個といったパーティション分割も理論上は可能である。

もっとも、SPLPARの導入には注意が必要である。なぜなら、現時点ではそのオーバーヘッドがかなり高いからだ。IBMが公開している調査会社ITGのレポートでは、SPLPAR利用時の性能オーバーヘッドが最大で40%に達すると報告されている(*4:p50)。またIBMのドキュメントでは(*6:p42)、キャッシュ依存性のあるアプリケーションにおいて、eServer p5 モデルのパフォーマンスの大黒柱であるSMT(Simultaneous Multi Threading)技術との併用を推奨しないとしている。つまり、上述したオーバーヘッドに上乗せするかたちで、SMTによる約30%の性能向上が帳消しとなる可能性があるのだ。これでは「パーティション数に比例してスループットが低下する」という本末転倒な状況になりかねない。その点で、SPLPARの現実的な適用範囲は限定されるであろう。

さて、SunではvParsやSLPARに相当するパーティション技術としてSolaris 10のSolaris Containerを紹介しているが、その実体はSolaris Zonesが実装する「ゾーン」と呼ばれるパーティションである。このゾーンは1つのOSインスタンスを共有するため、ゾーンごとにOSバージョンやパッチレベルを変えることはできない。カーネル・パニックもすべてのゾーンに波及する。よってSolaris Containerは実質上リソース・パーティションであり、本稿で論じるところの論理パーティションとはいえないのである。


リソース・パーティションを比べる


リソース・パーティションは、1つのOSが管理するリソースを分割し、個々のアプリケーションに分配する技術である。すべてのアプリケーションは1つのOSインスタンスを共有するため、論理パーティションと比較するとパーティション間の隔離性は低く、OSバージョンやパッチレベルをパーティションごとに変えることはできない。その一方で、たとえばプロセッサーやメモリの利用率を%単位で指定するなど、論理パーティションより粒度の細かな分割が可能になる。

SunのSolaris Containerは、ゾーンに対するリソース管理をつかさどるSolaris Resource Manager(SRM)を備えている。HPでは、このSRMに相当するものとして、Process Resource Manager(PRM)およびWorkload Manager(HP WLM)を有償で提供している。またIBMでは、Workload Manager(IBM WLM)とPartition Load Manager(PLM)を用意している。

表3は、各社のリソース・パーティション機能を比較したものである。

表3:リソース・パーティションの比較
 

HP

Sun

IBM

リソース・パーティション

PRM/WLM/SRP Solaris Container
Solaris Zones/SRM
WLM/PLM

管理対象リソース

プロセッサー、メモリ、ネットワーク、ディスク プロセッサー、メモリ、ネットワーク プロセッサー、メモリ、ネットワーク、ディスク

使用率設定

サービスレベル管理の自動化

× ×

論理パーティション連携

-

セキュリティ・コンパートメント

×
(2005年1月現在/日本ヒューレット・パッカード調べ)

HPのPRMとSunのSRM、そしてIBMのWLMは、いずれもリソースの使用率を設定して分割する機能を備えている。たとえばHPのPRMでは、Fair Share Scheduler (FSS) と呼ばれる専用のスケジューラによってプロセッサー・リソースの分配を実現している。このFSSでは、標準の優先度ベースのスケジューラでは実現できないCPUパワーの正確な分配が可能だ。たとえばアプリケーションごとにプロセッサー使用率の最大値、最小値をあらかじめ設定しておけば、FSSはそれを厳密に維持するスケジューリングを行う。

またHPが2005年2月にリリースするSecure Resource Partitions(SRP)では、HP-UXのTrusted OS版であるVirtualVault譲りのセキュリティ・コンパートメント機能が導入される。これにより、個々のリソース・パーティションがあたかも個別のOS上で動作しているような、厳格なプロセス間隔離が実現される予定だ。


セキュリティ・コンパートメントによる隔離


Solaris Containerのゾーンは、上述したとおりSolaris Zonesによるリソース・パーティションである。これはセキュリティ強化版Solaris「Trusted Solaris」のセキュリティ・コンパートメント機能をベースに実装されており、ゾーンを隔てたアプリケーションの存在を認識できない仕組みを実現している。これにより、同じOSインスタンス内で動作するパーティションであっても、それぞれの隔離性を高めようという考えだ。

HPも、こうしたセキュリティ・コンパートメントによるリソース・パーティション強化を進めている。同社が2005年上期にリリースするSecure Resource Partitions(SRP)では、HP-UXのTrusted OS版であるVirtualVault譲りのセキュリティ・コンパートメント機能がリソース・パーティションに導入される。これにより、PRMによるリソース・パーティション間の隔離性がさらに向上するはずだ。

以上、本稿では商用UNIXベンダー各社が提供するパーティション技術の違いを概観した。よりスケーラブルで可用性に優れたITシステム構築に向けて、ソリューション選択の参考にしていただければ幸いである。


*4: VALUE PROPOSITION FOR IBM eSERVER p5 Cost/Benefit Case for POWER5 Micro-Partitioning, International Technology Group
*5: Advanced POWER Virtualization on IBM @ server p5 Servers: Introduction and Basic Configuration, IBM Corporation
*6: Partitioning Implementations For IBM Eserver p5 servers, IBM Corporation
  ※2005年1月31日時点での公開情報

関連リンク

 
Virtual Server Environment for HP-UX
HP-UX WorkLoad Manager(WLM)
HP-UX Processor Sets(pset)
HP Process Resource Manager
HP-UX Virtual Partition
 
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