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ジム・ヘイズが語るHP-UXの歴史と未来・前編

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ジム・ヘイズが語るHP-UXの歴史と未来・前編
ジム・ヘイズが語るHP-UXの歴史と未来・前編
HP-UXとの20年の歩み
90年代初め――ネクストとエコシステムズから学んだこと

90年代後半――Itaniumのチャレンジ

その後ヘイズ氏はHPに戻り、ジェネラルシステムズ部門(GSY)に籍を置く。90年代半ばにはインテル®Itanium®プロセッサーのシステム・アーキテクチャ開発の共同リーダーを務め、またその後にはGSYのシングル・システム高可用性プログラムを率いることとなった。

編集部: あなたは90年代半ばにはHPに戻り、インテルとのItaniumの共同開発チームに参加しました。HPとインテルがItanium開発を決定したおもな理由は何だったのでしょうか? また、インテルやItaniumを選んだことで、HPはどのようなアドバンテージが得られるのでしょうか?
ヘイズ氏: 我々は当時、RISCアーキテクチャの成熟とともに、その後の20年にわたってお客様のニーズに応えられる新しいアーキテクチャが必要であると感じていました。既存のどのアーキテクチャにも、いくつかの限界が生じていたのです。新しいアーキテクチャへと移行することで、RISCやCISCといった従来のアーキテクチャの枠組みにとどまるよりも、プログラムに備わる並列性をより引き出すことができると考えました。HPとインテルが共同で開発を行うことで、インテルのトップクラスの半導体製造技術と、ハイパフォーマンス・コンピューティングやシステムRASに関するHPのノウハウを持ち寄ることができます。

HPにとってItaniumを選ぶメリットは、半導体製造技術のリーダーであるインテルというすばらしいパートナーを得たこと、そして複数OSをサポートする業界標準プロセッサーを手にしたことです。インテルのトップクラスの製造技術とItaniumプロセッサーの生産量の多さは、最終的にはHPとそのお客様にとってコスト構造を引き下げる効果をもたらします。つまりHPやOEMパートナー各社は、業界標準のローコストなサプライ品を用いることによるベネフィットを享受できるのです。
編集部: 開発チームではあなたはどのような役目を担っていたのでしょうか?
ヘイズ氏:

私は製品開発チームの一員として、HPラボとともに「WideWord」と呼ばれるプロジェクトに参加していました。WideWordプロジェクトでは、マイクロプロセッサーの命令レベルの並列性を向上させることが焦点となりました。例えばコードの流れに含まれる並列性をより効果的に引き出すためには、チップ上の専用ハードウェアよりもコンパイラが重要な役目を担います。このWideWordプロジェクトにより開発されたアーキテクチャは、複数の実行ユニットを可能にしたアーキテクチャや大規模なレジスタ・ファイル、そしてプリフェッチヒントや投機実行によるメモリ・レイテンシーの制御といったユニークな特徴を数多く備えていました。いずれも、より多くの処理を並行して実行する上で効果を発揮します。

我々はこのアーキテクチャをインテルに持ち込み、共同開発の可能性について検討しました。インテルもまた同時期に新しいアーキテクチャ拡張の作業を進めていたのです。そこでHPとインテルそれぞれのチームが合流し、Itaniumと呼ばれるアーキテクチャの開発が始まりました。そこでの私の役割は、Itaniumのシステム・アーキテクチャについて、HPのエンジニアたちを主導することです。HPのシステムアーキテクチャ・グループでは、おもにItaniumの特権レベル命令セットや仮想記憶システム、割り込み、トラップ、そして例外モデルといった部分の開発を担当しました。

 
Intel®Itanium®2プロセッサー
現在のIntel® Itanium® 2プロセッサー

編集部: Itaniumのような新しいアーキテクチャの設計ではどのような点が課題となりましたか?
ヘイズ氏: もっとも大きな課題は、新しいアーキテクチャを市場に投入してからひとつの大きな流れを形成するまでに時間を要したことです。Itaniumのアーキテクチャは大変野心的で、そのポテンシャルをフルに引き出せるように実装技術の成熟度を高めるには時間がかかりました。

ItaniumのEPICアーキテクチャには数多くのメリットがあります。例えば、コンパイラの強化を今後も続けていくことで、Itaniumコアの設計上の特徴をさらにうまく活用できるようになります。またItaniumプロセッサーは、EPICアーキテクチャの特性を生かすことで、世代ごとにその性能も上昇しています。Itaniumのアーキテクチャとプロセッサ実装は、今後何年にもわたって大きなポテンシャルを維持できると考えています。

編集部: その後、あなたはシングル・システムHAアーキテクトに任命されました。あなたの開発チームのミッションはどのようなものでしたか?
ヘイズ氏: 我々のミッションは、HPのシステムの信頼性をさらに向上させ、計画ダウンタイムと計画外ダウンタイムの双方を減らすにはどのような方策が必要か明らかにすることでした。すでにHPは優れたシステムを持っていましたが、ハードウェアとソフトウェア両方の側面で、よりよいものを追求したかったのです。そこで我々は、統計分析や計測、実験などのテクニックを駆使した、厳格な高可用性解析を導入しました。これらのテクニックにより、システムダウンタイムの本当の要因を突き止めることができました。

まずは、ハードウェアとソフトウェアにおけるダウンタイムの主要な要素を洗い出しました。続いて、その後のハードウェア設計やOS設計でそれらに対処するためにはどのような方策が必要か明らかにしました。例えばHPでは、メモリサブシステムの耐障害性の改善や、HP-UX全体の信頼性向上のために、さまざまな対策を講じています。このように、より体系化された手順やモデル、ツール、方法論の投入によって、ハードウェアとソフトウェアのトータルな可用性を劇的に改善するための厳格な規範が形づくられてきました。

この当時に始めたこれらの作業が、ItaniumやHP Superdome、そしてHP-UX 11iに至る何年もの製品開発の土台となってきました。この作業は現在でも継続しており、システムの可用性向上に貢献しています。
 
HP Superdomeの耐障害性機能
HP Superdomeの耐障害性機能

インタビュー前半でのヘイズ氏の説明にあるとおり、HP-UXは、UNIXの歴史のごく初期段階からエンタープライズ・コンピューティング市場のリーダーとして強力な基盤を形成していたのが理解できる。HP-UXは、通信分野のようなミッションクリティカル環境を当初からターゲットとしていたのである。そのため、スケーラビリティやパフォーマンス、RASといったコアコンピテンスへの注力が可能となった。

ヘイズ氏は、ネクストコンピュータとエコシステムズで得た経験とともにHPに戻り、Itaniumアーキテクチャ開発とその後の高可用性プログラムにおいて中心的役割を担うこととなった。その当時の同氏の業績が、エンタープライズ・コンピューティング市場においてゆるぎない継続性を持ったHPの戦略の基幹を支えていると言えるだろう。

インタビュー後半では、仮想化やユーティリティ・コンピューティング、アダプティブ・エンタープライズなど、HP-UXの将来のビジョンについてヘイズ氏に話を伺う。
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