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ジム・ヘイズが語るHP-UXの歴史と未来・前編

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ジム・ヘイズが語るHP-UXの歴史と未来・前編
HP-UXがリリースされてから20年が過ぎた。その20年間の歴史を通じてHPが継続的に推し進めてきた技術革新によって、HP-UXは今やエンタープライズ・コンピューティング市場を代表するプラットフォームの地位を築いている。今回は、初期のHP-UX開発のいきさつや、現在までHP-UXがどのような進化や成長を遂げてきたか認識を新たにすべく、HPのバイス・プレジデントであるジム・ヘイズ氏にインタビューを行った。ヘイズ氏は、HP エンタープライズ・ストレージ&サーバ(ESS)ビジネス・ユニットのビジネス・クリティカル・サーバ(BCS)部門において、インフラストラクチャ・ソリューション&エンタープライズUNIX部門を率いる責任者である。
ジム・ヘイズが語るHP-UXの歴史と未来・前編
HP-UXとの20年の歩み
90年代初め――ネクストとエコシステムズから学んだこと

2006年3月
テクニカルライター 吉川和巳

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ジム・ヘイズ氏略歴

  ジム・ヘイズ氏は、HP エンタープライズ・ストレージ&サーバ(ESS)ビジネス・ユニットのビジネス・クリティカル・サーバ(BCS)部門において、インフラストラクチャ・ソリューション&エンタープライズUNIX部門を率いる。HP-UXオペレーティング・システムをはじめ、ネットワーキングやI/O技術の開発責任者であり、ビジネス・クリティカル分野の顧客に向けてオペレーティング環境の統合化や品質管理、製品提供を統括している。またヘイズ氏は、管理性やビジネス継続性、仮想化、ユーティリティ・コンピューティング、コンパイラ、そしてJava各種ツールに関連するインフラ製品およびソリューションの開発を取り纏めている。ヘイズ氏はコンピュータ・システムのビジネス分野で23年以上の経験を持ち、とくにソフトウェアおよびシステム・アーキテクチャを専門としている。バンダービルト大学でコンピュータ科学と数学の学士号を取得している。  

HP-UXとの20年の歩み

80年代――HP-UXの誕生

1982年にHPに入社したジム・ヘイズ氏は、当時のHP1000シリーズを扱う部門であるデータ・システム部門に参加した。その後、同氏はHP最初のPA-RISCベース・システムの開発を担当したSpectrum UNIXチームに異動。80年代後半にはHPのUNIXカーネルラボにてHP-UXのリード・アーキテクトを務めた。インタビューの手始めとして、この時代におけるHP-UX誕生のいきさつから話を伺った。

編集部: HP-UXが市場にリリースされてから20周年を迎えました。80年代当初、HP-UX開発チームはどのような思想や戦略に基づいて開発を進めたのでしょうか?
ヘイズ氏: HP-UXのもっとも初期の時代、HPは技術市場向けに特化したワークステーションビジネスやサーバ・ビジネスを展開していました。当時、HP-UX対応のワークステーション製品は、CAD/CAMや計測機器制御といった汎用の科学計算市場をターゲットとしていたのです。またそのころ、HPのサーバ・ビジネスはリアルタイム制御や製造、地震解析、通信分野に重点を置いていました。実際に通信分野では、電話交換機網のアラームを監視するために、初期の段階からHP-UXベースのソリューションが導入されていました。このように、HP-UXの誕生当初は技術計算分野が導入事例の大半を占めていました。

編集部: その後のHP-UXの進化にともない、その優れたスケーラビリティや可用性、信頼性といったユニークな能力はどのように培われていったのでしょうか?
ヘイズ氏: HP-UXの初期の時代からすでに、OLTPのような基幹業務にUNIXを導入したいというお客様のニーズが出始めていました。こうした業務分野におけるHP-UXの巨大なポテンシャルが明らかになりつつあるのと合わせて、スケーラビリティや高可用性へのさらなるフォーカスを強めていきました。これらHP-UXの主要な能力は、その後の長年にわたって進化を続けており、HPではその価値を高める努力を今でも続けています。

80年代後半には、何社かの主要なお客様との密接な連携を通じて、HP最初のHA(高可用性)クラスタ製品であるSwitchOver UXを開発しました。その後登場するHAクラスタ製品であるHP Serviceguard と比べればごくベーシックなものでしたが、ミッションクリティカル分野でのUNIX導入を当初から進めてきた通信分野では、非常にポピュラーな製品として普及しました。HPがミッションクリティカル分野へ参入した要因のひとつとしては、こうした通信分野でのビジネスの実績があります。この分野のお客様は、アプリケーションをUNIX上で運用することに大変興味を持ち、高レベルのミッションクリティカルプラットフォームを求めていたのです。その後、1995年には、新しいバージョンのHA製品としてHP Serviceguardをリリースしました。HP Serviceguardには、第一世代のHA製品であるSwitchOver UXの市場展開で得られた多数のノウハウが組み込まれました。その後HP Serviceguardは市場で広く受け入れられ、今では業界をリードするUNIX HAクラスタソリューションに成長しています。

編集部: HP-UXは、他社UNIX製品に対してどのような点で差別化を図っていたのでしょうか?HP-UXにとってのコアコンピテンスは何だったのでしょうか?
ヘイズ氏: その当時、IBMは彼らの独自OS環境を脅かす存在としてUNIXをとらえていたため、商用UNIXビジネスに本格的に参入していませんでした。またSUNはおもにワークステーションに特化した企業であり、ローコストなワークステーションの開発にフォーカスしていました。一方HPは、グラフィクス性能の高さを武器にハイエンド市場にフォーカスしていました。

この時代のHPおよびHP-UXのアドバンテージは、メインストリームである商用分野でのUNIX導入のトレンドをすばやく取り込み、OLTPやERPアプリケーションのより積極的なサポートをUNIX上で実施したことです。HPは、商用分野にUNIXを展開した最初のベンダーの1社であり、その結果、高可用性やスケーラビリティ、コア・プラットフォームの信頼性といった商用分野で重要となるエリアで、より迅速な開発と市場投入を実現できました。とりわけ、通信分野向けにUNIXベースのHP-UXミッションクリティカル・ソリューションを提供していた実績が強みとなり、OLTPやERPなどの商用アプリケーションにもきわめてスムーズに対応できました。このようにHPとHP-UXは、UNIXの持つポテンシャルを引き出し、エンタープライズ・コンピューティング市場で重要な役割を演じることができました。

編集部: HP1000 RTEシステム(CISCベースの独自OSシステム)からRISCベースのUNIXシステムへの移行に際して、どのような意気込みを感じていましたか?
ヘイズ氏: 私は大学在学中にUNIXについてさまざまな研究を行っていたこともあり、UNIXベース・システムの開発に携われることに非常に意気込みを感じていました。当時のHP1000システムのおもな市場であった技術分野や製造分野だけでなく、基幹業務を支えるガラス張りのコンピュータ・ルームへとUNIXが踏み込んでいくという、大きな変革の最前線に立つ機会が得られました。HPは、それまでメインフレームや独自OSで占められていた分野にUNIXを持ち込むことに成功したのです。

その当時の我々の課題は、HP社内の各コンピュータグループがそれぞれに持っていた16ビットアーキテクチャを、Spectrumと呼ばれるひとつの32ビット・アーキテクチャに統合することでした。このSpectrumが、その後のPA-RISCアーキテクチャです。全社レベルで足並みをそろえることにとても苦労しましたが、結果的にこの統合によってきわめて強力なメリットが得られました。ワークステーションから商用UNIXサーバまで、HPのすべてのコンピュータ製品がPA-RISCへの投資を有効活用することで、長期にわたってその恩恵を享受できました。これは、HP社内のさまざまなグループをひとつの共有アーキテクチャへと束ねる原動力となった当時のCEOであるジョン・ヤング氏の功績と言えるでしょう。このアーキテクチャ統合によって、コンパイラやI/Oサブシステムも共通化が可能になりました。また複数の市場セグメントやビジネスにわたって単一のアーキテクチャを投入することで、計り知れないメリットが得られたのです。
 
初の商用RISC CPU
初代PA-RISC
  またSpectrumアーキテクチャの開発では、HPラボが重要な役目を担いました。さまざまな関係者をひとつ屋根の下に集め、RISCの原則に基づいて、どのようなアーキテクチャにすべきか徹底した議論を行いました。

編集部: 80年代当時の市場において、HP-UXの魅力とはどのようなものだったのでしょうか?
ヘイズ氏: HP-UXは、確たる信念を持ったとても強力なマーケティングチームと開発チームが生み出した製品でした。その信念とは、メインフレームやベンダー独自OSが占拠してきた商用分野にHP-UXを位置付かせることです。HP-UXとHPが商用UNIX市場における真のリーダーとしての地位を築く上で、このチームはとても効果的な働きをしました。

90年代初め、ヘイズ氏はHPを退社してネクストコンピュータに入社する。同社ではNeXTSTEPオペレーティング・システム開発グループのシニア・アーキテクトとして、次世代ソフトウェア開発に携わった。

90年代初め――ネクストとエコシステムズから学んだこと

編集部: 90年代にはネクストコンピュータに入社し、NeXTSTEP OSのアーキテクトとして開発に従事されました。NeXTSTEPの魅力とはどのようなものだったのでしょうか?
ヘイズ氏: ネクストコンピュータは、世界トップクラスのオブジェクト指向開発環境であるNeXTSTEPを構築したパイオニア的存在でした。NeXTSTEPは、カーネギーメロン大学が開発したMach OSと、Objective-C言語をベースとしたオペレーティング・システムです。そのすべてを統合したきわめて強力な開発環境によって、オブジェクト指向プログラミングのパワーを実証したのです。もしWindowsの登場以前にネクストのソフトウェア技術がx86プロセッサーに移植されていたとしたら、コンピューティングの世界は今とはまったく異なるものとなっていたでしょう。NeXTSTEPはその後アップルコンピュータに買収され、現在のMac OS Xの基礎となった技術のひとつとなりました。

そして90年代前半、ヘイズ氏はネクストコンピュータを離れ、エコシステムズの共同設立者となった。同社は分散管理システム構築の先駆けであり、UNIXシステムやネットワーク、リレーショナルデータベース、セキュリティなどのプロアクティブ管理をいち早く実現していた。

編集部: その後あなたは、エコシステムの設立に参加しました。エコシステムのビジョンとはどのようなものだったのでしょうか? 
また、HPから離れることでどのようなことを学ばれたでしょうか?
ヘイズ氏: その当時、ネットワークとデータベース、OSを統合管理し、さまざまなイベントや情報を関連づけるための製品が存在しませんでした。エコシステムズのプラットフォームは、これらすべての情報をひとつの管理コンソールに統合し、情報どうしの関係や関連づけを理解しやすく表示するというもので、その当時は斬新で非常にパワフルなツールでした。

より重要な点は、HPから離れることでさまざまな事柄を学ぶことができたということです。複数のベンダーを相手にする小規模なISVパートナーにとっては何が課題なのかを理解できました。エコシステムズでは、HP-UXをはじめ、AIX、Solaris、Dynix、SCO UNIX、そしてアムダールのメインフレーム版UNIXに至るまで、多数のUNIX製品をサポートしていました。そのおかげで、UNIX OSのさまざまなバージョンやリリース、パッチレベルを管理することの複雑さ、そして多数の異なるUNIX OS環境に対応したソフトウェアをリリースするためにISVがなすべきことを習得できました。ISVが何を求めているか知ることは、私にとっては目が覚める思いでした。それ以来、HPに戻った後でも、ISVの視点をより意識するようになりました。

私が学んだもうひとつの点は、エンド・トゥ・エンドのバリューチェーン全体の重要性、つまりパズルの個々のピースをいかにして組み上げていくかということです。エコシステムズは小さな会社だったので、製品開発からデモ実演、販売、サポートまで、たくさんの役割をそれぞれの社員が演じる必要がありました。私自身も、製品ライフサイクルのすべてのフェーズに関わっていました。その経験から、ビジネスのバリューチェーンを構成する多彩な要素、つまり成功する製品を生み出すために欠かせないすべての事柄について、理解を深めることができました。

そして私が学んだもっとも価値のあることは、HPという企業と、そこで働く人々のすばらしさです。ネクストコンピュータとエコシステムズに在籍している間、私はHPを外側から見る立場にありました。そのため、企業としてのHPの優れている点、とりわけHPが抱える人材の優秀さについて、以前より正しく評価できるようになりました。私がHPに戻った理由は、まさしくそこに集まる人々にあったのです。私にとってHPを離れていた時間はとても有意義で、ものの見方を広げるのに役立ちましたが、同時に組織としてのHPの強さも実感させられました。

その後ヘイズ氏は再びHPに戻り、インテル®Itanium®プロセッサのシステム・アーキテクチャ開発そしてシングル・システム高可用性プログラムをリードすることとなる。後半では、HPに復帰したヘイズ氏の足跡をたどる。
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