開催概要


Discover は、年2回アメリカとヨーロッパにてヒューレット・ パッカード エンタープライズ(以下、HPE)が開催する、世界最大級のIT総合イベントです。今回はそのヨーロッパ開催にあたり、英国ロンドンのエクセル展示会センターにおいて12月1日より3日まで開催されました。「New Style of Business」の実現に向けたHPEの戦略をはじめ、最新テクノロジーを活用した製品・ソリューションなど、世界の最先端事例やイノベーションを製品開発者・責任者より紹介しました。

本年はHPEとなってから初めてにして過去最大の開催となり、全世界から13000人以上の来場者を集めました。2カ所の大型シアター会場、10以上のシアターブース、100社以上のスポンサーブースで数々のセッションが実施され、ジェネラルセッション(基調講演)も2日間にわたり開催されました。

今回のハイライト


HPEのCEO であるメグ・ホイットマンを初め、多くのHPE経営陣が強調していたキーワードは「スピード」です。我々を取り巻く世界は、新しいアイデアが速やかに製品、アプリケーションそしてビジネスになる「アイデア・エコノミー」に変化していること。また、ITはそのような時代の原動力となる新しいビジネスの形、「New Style of Business」に対応していく必要があること。そして、そのために最重要な4つのソリューション領域が「4つのトランスフォーメーションエリア」であること。そして何よりも、HPEは引き続きお客様、パートナー様との「パートナーシップ」を大切にする、という宣言がなされました。

4つのトランスフォーメーションエリアとは、「ハイブリッド・インフラへの変革(Transform)」、「デジタル・エンタープライズの保護(Protect)」、「データ指向経営の推進(Empower)」、「ワークプレイスの生産性向上(Enable)」です。



Discoverで発表される内容はすべてこの4つのトランスフォーメーションエリアに結びつけられており、その中で「ハイブリッド・インフラへの変革」をお手伝いする新製品としてHPE Synergy(*)が、また新たにMicrosoft社との提携が今回発表されました。また、「ワークプレイスの生産性向上」への取り組みとして、IoT関連の新製品HPE Edgelineシステムも発表されました。


ヨーロッパ開催のDiscoverは事例紹介に特に力を入れており、今回はジェネラルセッションにおいてもお客様の講演が行われました。 また、ミニシアターではお客様を交えたパネルディスカッションも実施されました。


(*) HPE Synergyについては日本での発表は1/27を予定しております。


<参考リンク>

Discover 2015 London ハイライト(英語):www.hpe.com/events/discover

ZDNet Japanによる現地レポート特集記事(外部リンク):

HPE Discover:http://japan.zdnet.com/keyword/HPE Discover/

「The Machine」最新情報 -ジェネラルセッションより抜粋


本イベント2日目のジェネラルセッションにおいて、HPEが現在最も大きな投資をしているR&Dプロジェクト「The Machine」について、HPEの最高技術責任者(CTO)兼Hewlett Packard Labsのディレクターを務めるMartin Finkが講演しました。ここでは、その内容を抜粋してご紹介します。

The Machineを中心とするHPEの研究開発の紹介の冒頭、Martinは、4つのトランスフォーメーションエリアは決して留まり続ける存在ではなく、テクノロジーの世界と同様発展し続けるものであり、我々はそのための取り組みを既に始めている、と語り始めました。

「『ハイブリッド・インフラへの変革』の例としてHPE Synergyを発表しましたが、我々はさらにその先を見ています。コンポーザブル・インフラストラクチャにおいては、インフラストラクチャだけが組み立て可能なだけでは足りず、アプリケーションもまた組み立て可能でなくてはなりません。それにはコンテナが最適だと考えています。ITインフラストラクチャはベアメタルから始まり、仮想化が登場してより効率的に使えるようになったものの、仮想化とは本質的には非効率的なのです。」



このようにMartinは説き、その後コンテナが出てきて開発者が非常に好んでいることを明かします。しかし、コンテナにはセキュリティと隔離、そして拡張の管理に問題があると説明しました。そこでHPEは社内でContainerOSと呼んでいる、LinuxのカーネルをベースとしたOSに関する研究について紹介しました。万単位のコンテナに対して単一のネームスペースを提供するグローバルファイルシステムや管理機能の強化についての研究も行っていることを明かしました。



「データ指向経営の推進」に関しては、Superdome X上で動作するSparkを紹介しました。オープンソースのデータ分析基盤を小規模なサーバーのクラスターで実現するSparkを、広大なメモリ空間を持つ巨大なサーバー上で動作させたこの取り組みは、驚くべき結果をもたらしたようです。既存のSparkクラスターの15倍高速かつ、現在のクラスターでは解けなかった問題を解くことができた、とMartinは続けました。なおこのSparkに対する拡張の成果はオープンソースコミュニティに還元されると付け加えることも忘れませんでした。

また、「ワークプレイスの生産性向上」の本質は、特別な顧客体験(カスタマー・エクスペリエンス)の提供を社員が行えるようにすることだと言いました。それにはIoTからもたらされる情報が適切に処理され、どこにいても最適な情報が提供できる状態にしておくことが重要で、そのために求められるエッジでのコンピューティングを実現するためにEdgeline製品を投入したことを説明し、そしてこの考えをさらに先に進めることを示唆しました。

ここまで説明した後、Martinはそれぞれの先にあるものこそが、18ヶ月前に発表したThe Machineだと言いました。The MachineはHewlett Packard Labのもっとも重要な研究であり、それがもたらすものを4つの大きな柱で説明しました。

1つ目は「Powerful」。 コンピューターのアーキテクチャを根本的に見直し、パフォーマンスの飛躍的な進歩と劇的なコスト削減と効率をもたらします。2つ目は「Open」。オープンソースに言及したとおり、この革新に柔軟性をもたらすため、アーキテクチャを含め、すべてオープンにしていきます。3つ目は「Trust」。 The Machineの開発は根本からセキュリティを見直す最良の機会で、後付けではなく、組み込まれたセキュリティ機能を提供することで、パフォーマンスを犠牲にすることなく常に安全かつ復旧可能な信頼できる(Trusted)ものになります。広大なメモリ空間に展開されたデータはすべて暗号化され、フォトニクス上を流れるデータも暗号化されます。そしてContainerOSで分離されます。最後に4つ目は「Simple」。単純であることです。簡単に管理でき、自動化され、容易にプログラミングでき、あっという間に動かすことができる、そのような技術であることを目指しています。



Martinはこの後The Machineのアーキテクチャについて解説しました。今日のコンピューターのアーキテクチャは、皆さんの持つデータ、つまり情報を、ゲートキーパーとなっているCPUがその制限に従って細切れにしています。CPUはメモリの量を決めています。もっとメモリが欲しければCPUを追加する、あるいはサーバーを追加することになります。

The Machineではこの考え方をひっくり返し、データを中心に据えます。中心となったデータに対してどのような処理をしたいかによってその都度コンピュートリソースを組み合わせます。これをメモリ主導型コンピューティングと呼び、Martinはまさに究極のコンポーザブルだと言いました。ユニバーサルメモリ、フォトニクス、SoCと言った技術がこれを実現するための重要な要素となります。これにより非常に巨大なメモリ空間を非常に小さな電力で処理することが出来るのです。




The Machineではこの考え方をひっくり返し、データを中心に据えます。中心となったデータに対してどのような処理をしたいかによってその都度コンピュートリソースを組み合わせます。これをメモリ主導型コンピューティングと呼び、Martinはまさに究極のコンポーザブルだと言いました。ユニバーサルメモリ、フォトニクス、SoCと言った技術がこれを実現するための重要な要素となります。これにより非常に巨大なメモリ空間を非常に小さな電力で処理することが出来るのです。



これに対してHPEは二つの側面から開発を行っています。一つはそれぞれの部品としての技術の開発で、現在のコンピューティング環境でも使用することが出来ます。もう一つはアーキテクチャを根本から見直すことです。 ハードウェアは回路基板、FPGA、フォトニクスを実現するシリコンチップも出来てきています。 The Machineはソフトウェアにも及びます。Linuxが広大なメモリ空間を扱えるようにする為、Linux for the Machineに取り組んでいますし、その永続性を持ったメモリ上でのプログラミングモデルの研究も進んでいます。その成果が先ほど紹介したSparkの結果であり、これはSuperdome X上のシミュレーターで動作させたものです。

The Machineの最初の成果として、DNS解析の結果を出したいとMartinは述べました。The Machineにより、これまで5分しか保持できなかったイベントを14日保持させ、またイベント処理件数を秒間5万件から1千万件にまで増やすことができます。

ラフ解析では航空機を例にとりました。せっかくフライトが順調で速く到着したのにゲートが開いていないため空港で待たされた経験はないでしょうか。窓から見るとゲートは開いているのにもかかわらず、です。これは現在の技術では統合するのが非常に難しい問題なのです。しかし、The Machineではすべてのパイロット、すべてのキャビンアテンダント、すべての航空機、荷物係、ゲート係、そしてすべての空港のゲートの情報を一つのグラフに入れてリアルタイムに処理することが出来るようになります。



何か酷い事件・事故が起こった時、そこから復旧するには非常に時間がかかります。あらかじめ予測された結果があれば迅速に対応出来ます。例えば過去のすべてのデータから特定の空港に雪や突発的な天候変化が起こった時どうなるか、すべてのシナリオをあらかじめ試すことができます。そうすれば実際に事が起ったとき、あらかじめ得られた解決方法を微調整するだけですむのです。



最後に、このファブリックで接続された広大なメモリ空間でどのようなことが起るかシミュレートできる環境をオープンソースで提供(*)し始めたことを明かしました。

(*)下記の図、右側のQRコードからgithubの当該サイトでそのシミュレーターをダウンロードすることが出来ます。



展示コーナー


Transformation Zone では、4つのトランスフォーメーションエリアに沿って展示がありました。また、新製品やLABコーナー、Industry Showcaseの展示などもあり、HPEの新技術が体験できる展示として、お客様に大変好評でした。