12TB という巨大なシングルメモリプールを活用できる「HP Integrity Superdome X」の登場は、“インメモリによるビッグデータのリアルタイム処理”という未踏の領域に明確な道筋を示した。「クラウドも結局はハードウェアでできている」と語るHP サーバー製品のエバンジェリストの山中伸吾氏は、「これからのクラウドでできることの差は、使われているハードウェアに強く依存していく。だからこそHPはハードウェアに徹底的にこだわっている」と力を込める。HP Integrity Superdome X 誕生の背景から、この前代未聞のサーバーが担うミッション、次世代サーバー「The Machine」の最新動向までを山中氏が熱く語った。


『システムの信頼性を突き詰めると、ハードウェアの重要性がわかります』

  ――まず、今日ミッションクリティカルシステムに求められている要件をお聞かせいただけますか。
     
  私は、2008 年にHPのミッションクリティカルサーバーの代表製品であるHP Superdomeの国内プロダクトマネージャーに着任し、現在はアジアパシフィック地区のプロダクトマネージャーを担当しています。ミッションクリティカルシステムを利用されている国内外のお客様から直接様々なお話をお聞きする中で、今日のミッションクリティカルシステムに求められる要件というものは何かということを多く学ばせていただきました。その一つが“ハードウェアの差”です。
今日、クラウドが着目を浴びていますが、クラウド自体は“雲”でできているわけではなく、ハードウェアでできています。クラウドが様々な用途で利用されていくにつれて、クラウドの「質」や「出来ること」は、それを構成しているハードウェアによって決まっていってしまうのです。クラウドの信頼性もその一つであり、その基盤であるハードウェアの重要性が増しています。この“ハードウェアの差”が、今日のミッションクリティカルシステムなのです。


  ――“ハードウェアの差”とは、具体的はどのようなものでしょう。
     
  単に「動くサーバー」を作るだけなら高度な技術は必要ありません。しかし、いかに故障なく動かし続けるか、万一の際にダウンタイムをどれだけ最小化できるか、問題発生の原因をきちんと把握できるか。ミッションクリティカルシステムを使う環境を深く理解し、安心して使っていただくための特長や機能を実装できているかが”ハードウェアの差”と言えます。
インテル® Xeon® プロセッサー E7 ファミリーには、インテル® Run Sure テクノロジーというRAS 機能があります。DDDC (Double Device Data Correction) +1というメモリRAS 機能やCPU、Linux OS、Superdome X のファームウェアが連携し詳細なエラーログデータを収集する機能など、万全な障害対策が施されています。
HP Superdome X は12TB という大量のメモリを搭載できるシステムですが、それを長期的に安心して利用していただくための様々な機能を備えています。そこにHPの数十年の知識と経験が凝縮されています。たとえば、12TBメモリ搭載時にはDIMMが実に384 枚も並び、その熱量と電力は非常に大きいものとなります。故障の原因となる熱を適切に処理しなければなりません。また、メモリ障害が発生した時にはそのモジュールを安全に切り離す必要があります。こういった仕組みひとつひとつが“ハードウェアの差”となるわけです。





山中 伸吾 氏(Shingo Yamanaka)
テクノロジーエバンジェリスト
ヒューレット・パッカード・カンパニー
アジアパシフィック & ジャパンリージョン
ミッションクリティカルサーバー
プロダクトマネージャー

2001年、コンパックコンピュータ株式会社(現日本ヒューレット・パッカード)入社。金融プリセールスエンジニアを務めた後、2003年よりブレード型サーバー製品の日本でのプロダクトマネージャーに就任し、国内シェアNo.1を達成。2008年より、HPのフラッグシップサーバーであるHP Superdomeのプロダクトマネージャーに就任。ミッションクリティカルシステムの改革を提唱し、年率200%超の売上を達成。2012年より日本を含めたアジア地区全体のプロダクトマネージャーに就任。日本国外のお客様との交流を通して、日本のお客様のミッションクリティカルシステムの方向性を提言する活動を実施中。



『数時間の処理が数秒に。インメモリ処理のインパクトは絶大です』

  ――最新のHP Superdome Xは、どういったミッションクリティカルシステムなのでしょうか?
     
  まず、この60年間でサーバーが抱えて続けている問題があります。HPでは「データヒエラルキー」という言葉を使っていますが、それはデータをどのように配置するかということです。サーバーにはCPU上のキャッシュからはじまり、メモリ、ディスク等、様々なデータの「置き場」が存在しています。それに合わせ、頻繁に使うデータ、保存しなければいけないデータなど、データの特性を考慮し優劣をつけて配置しているわけです(図1)。
CPUに近い場所に配置されたキャッシュやメモリ上にデータを置くことで、高速にデータをやりとりできますが、容量には限りがあって全てのデータを置くのは困難です。一方SSDやハードディスクは、アクセス速度は相対的に遅いですが大量のデータを置くことができます。また、電源が切れてもデータは維持される「不揮発性」という特長があります。システムの性能を最大限引き出すために、システム全体の利用状況を理解し、多様なデータを正しい位置に置くことが、多くのお客様の課題でした。データを置く位置によってアクセスの速度が異なるため、これを「データヒエラルキー(データ階層)が存在している状態」と呼んでいます。
データベースのチューニングは、まさにこの例です。頻繁にアクセスする可能性があるデータをキャッシュやメモリ上に置く。そうでない残りのデータはハードディスクに置くといった方法です。
ところが、クラウド時代になってデータ量が急速に拡大し続け、これまでの仕方では対応しきれいない事態が起こり始めています。データ増大のスピードがあまりにも速すぎて、チューニングが追いつかない状況になっているのです(図2)。
こうした問題の解決方法が「データ階層のない構造」であり、HP研究所が提唱する「データヒエラルキーの排除」なのです。データ配置を何も考える必要がない、高性能かつ大容量で消費電力も下げられるシステムさえあれば、どんどんデータを置いてもチューニングは不要なのです。HP Superdome Xは、その“夢のようなシステム”を具現化した最初のサーバー製品であり、全てのデータがメモリ上に置かれている「データヒエラルキー」のないシステムが構築でき、インメモリ処理によって圧倒的なパフォーマンスを実現しています。




図1
ストレージアクセス速度(上)
データヒエラルキー(下)




図2
増え続けるデータ量予測(HP研究所予測)



『データヒエラルキーを打ち壊す、 最強のデータベースマシンの登場です』

  ――HP Superdome Xは、“夢のようなシステム”をどう具現化しているのでしょうか?
     
  これまでのデータベース環境では、全データをハードディスク上に置き、頻繁に利用するデータのみ高速なメモリ上に置くことが一般的でした。これは利用可能なメモリ領域が小さかったからです。しかし、HP Superdome Xでは最大で12TBのメモリを搭載することが可能ですので、全データをメモリ上に置くことが現実のものとなりました。
例えば、多くのお客様で問題となっている「バッチ処理時間」を桁違いに短縮することが可能なのです。データヒエラルキーがある従来のシステムでは、バッチ処理に数時間から、場合によっては数日かかることもあります。
HP Superdome Xでは、全データを高速なメモリ上に均等に配置することができデータヒエラルキーが解消されます。データの最適配置など何も考えなくても、簡単に高速化できるのです。どれくらい速くなるかというと、HP社内のサプライチェーンシステムで適用したところ、これまで2時間以上かかっていたバッチ処理が、1分22秒にまで短縮されました。実に80倍以上の高速化です(図3)。
もはや、バッチ処理ではなく、リアルタイム処理とでも言えるレベルにまで近づいています。例えば、製造業での毎日の在庫管理を行うシステムのバッチを数時間のレベルから数分のレベルにまで高速化できれば、1日分の在庫を減らすことも可能となります。

図3
インメモリデータベースの構造





インテル® Xeon® プロセッサー E7 v2 ファミリー搭載

HP Integrity Superdome X

  • インテル® Xeon® プロセッサーE7-2890 v2(2.8GHz/15コア)
  • 16ソケット(計240コア)
  • 12TBメモリ(DDR3)
  • Redhat Enterprise Linux 6.5
製品詳細はこちら

データヒエラルキーを解消するHP Superdome Xは、チューニング不要な超高速データベースマシンなのです。
様々な用途で“不可能を可能に”します。

  ――メモリに全てのデータを置くとなると、データが消えてしまう危険性はないのでしょうか?
     
  確かに、ハードディスクとメモリではアクセス速度が大きく異なりますが、“揮発性か不揮発性か”という大きな違いがあります。ハードディスク上に書き込まれたデータはシステムの電源を落としても消えませんが、メモリは揮発性のため、電源を落とすとデータは消えてしまいます。そこで現在主流のインメモリデータベース製品では、メモリに全データを置き、更新と同時にSSDにバックアップ用にログを書き込む仕組みを取っています。ログのような小さなデータであれば、SSDに書き込んだとしても、インメモリの速度に影響を与えずにデータを安全に守ることが可能なのです。


  ――HP Superdome Xの先の“夢のようなシステム”を教えていただけますか?
     
  現在HP研究所では、メモリとハードディスクの両方の長所を兼ね揃えた「メモリスター」という新素子を開発中です(図4)。これは、メモリと同等のアクセス速度を実現するとともに、電源が消えてもデータを維持する不揮発性という特長を持つ全く新しい素子です。メモリスターが実用化されれば、現在のインメモリデータベースでデータの安全性を確保するためのSSDも不要となり、さらに高速な処理が可能となります。また、コンピューターの消費電力の多くをデータ移動のため占められていますが、メモリスタ―によりシステム全体の消費電力も激減します。2020年ぐらいにはご提供できる予定で開発を進めています。
また、「メモリスター」と同時に「フォトニクス」という技術も開発しています。「メモリスター」は単一筐体内の「データヒエラルキー」を完全になくし、「フォトニクス」は複数筐体間の「データヒエラルキー」をなくす光ファイバーのアクセス技術です。HPでは、これらを実装した次世代のシステムを「The Machine」と呼んでいます(図5)。「The Machine」の開発はHP Superdome X上で進められており、16PBものデータを数百ナノ秒で均等にアクセスできるようにするという開発目標を掲げています。「The Machine=巨大なSuperdome X」と考えれば、お分かりいただけるでしょうか。




図4
メモリスターと消費電力





図5
The Machine



『未踏のビジネス領域へのチャレンジ。着眼点と実行力が問われる時代です』

  ――「データヒエラルキー」がなくなると、どのようなことが可能になるでしょうか?
     
  様々なシステムのリアルタイム化が実現されます。今日、私たちの日常生活の中でも、コンピューターを使ったサービスが、“ちょっと不便だな”とか“今すぐできないのかな”と感じることはたくさんあると思うのです。しかし、その原因を“これまでのコンピューターの常識”から考えれば、“リアルタイム処理なんてまず不可能”とあきらめざるを得ませんでした。
しかし、数時間もかかっていたバッチ処理が、2倍や3倍ではなく“80倍”早くなったらどうでしょうか。これまで不可能と思われていたことが可能になるのです。例えば、携帯電話の利用料金。多くの会社では、まだ前日までの料金しか確認できません。サラリーマンの方であれば、経費や残業代の精算が翌月末であることに不満もおありでしょう。そうした当たり前だったことが変わる可能性があるのです。身近なところでは、クレジットカードの不正利用の早期発見、リアルタイムなゲリラ豪雨の予想、未知の病気に対抗する新薬開発時間の短縮など、多くの社会システムを変革する可能性があるのです。そこには、ありとあらゆる変革のチャンスが存在しています。
近年では、Internet of Things (IoT) の世界がどんどんと広がっています。小さなサービスでも端末側でなく、ネットワークを経由してサーバー側で処理するものが増えています。HP Superdome Xがこれまでの様々な常識を覆した変化の先に、どのようなビジネスモデルや新しい価値を創造するか、その着眼点と実行力が問われる時代と言えるでしょう。これまでの常識にとらわれずに、まったく新しいシステム、やりたくてもできなかったビジネス、理想的なライフスタイル描いていただければと思います。

    HP Integrity Superdome Xについてはこちら
http://www.hp.com/jp/sdx



インテル® Xeon® プロセッサー E7 v2 ファミリー

99.999%というハードウェアレベルの可用性を実現



*1 すべての(4-wayで96、8-wayで192)DIMMと64GB DDR3 LR-DIMMを取り付けることで可能なメモリ容量です。
*2 絶対的な信頼性、可用性、または保守性を提供できるコンピューターシステムはありません。インテルR Run Sure テクノロジー対応システム(対応するインテルR プロセッサーおよび対応テクノロジーを含む)が必要です。一部のインテルR プロセッサーで利用できる内蔵信頼性機能を使用するには、別途ソフトウェア、ハードウェア、サービスまたはインターネットへの接続、あるいはその両方が必要となる場合があります。結果はシステム構成によって異なります。各システムメーカーにお問い合わせください。

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