2016年、HPE Moonshot Systemが新たなステージに駆け上がろうとしている。このチャレンジを「再定義」という言葉で表現したのは、米ヒューレット・パッカード エンタープライズ サーバー&IoTシステム部門 バイスプレジデント&ゼネラルマネージャーのトム・ブラディシッチである。Tech Power Club 2016基調講演のために来日したブラディシッチに聞いた。


HPE Moonshot Systemビジネスについて、最新動向をお聞かせください。

HPE Moonshot Systemのビジネスは絶好調といえるでしょう。HPEが、持てるテクノロジーとノウハウを注ぎ込んだHPE Moonshot Systemは、期待通り広くお客様に受け入れられています。2013年に最初の製品を投入し、2014年はサーバーカートリッジを拡充し、そして2015年にその価値を「再定義」しました。再定義とは、具体的には次の3つのチャレンジです。

1)インテル® Xeon® プロセッサー搭載サーバーカートリッジのラインアップを強化
2)HPE独自の高度なシステム管理技術をHPE Moonshot Systemで利用可能に
3)業界を代表するリーダー企業とのグローバルなパートナーシップを持続的に強化

現在、最も大きな伸びを示しているのは「モバイル・ワークプレイス」の領域で、リモートデスクトップのサービス基盤としての導入です。HPE Moonshot System全体の売上構成で、この分野が最も大きな比率を占めています。リモートデスクトップでエンドユーザーの使い勝手を大きく左右するのが、グラフィックスの性能ですが、HPE Moonshot Systemは、Webブラウジング、ファイルのスクロール、ビデオ再生、プレゼンテーションなどに快適なレスポンスを提供します。投資に見合った性能がきちんと出る、そうしたコストパフォーマンスの高さがお客様からの支持を集めている理由です。

「メディアプロセッシング」と「ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)」といった分野も伸びています。HPE Moonshot Systemは、お客様が求める新しいワークロード、新しいアプリケーションに対して適用できる幅を大きく広げました。インテル® Xeon® プロセッサーを採用して処理性能を高めたことで、超省電力・超省スペースというHPE Moonshot Systemの特長がより大きな価値を生んでいます。また、導入のしやすさ、使いやすさ、管理のしやすさも大きく進化しました。

もうひとつ重要なことに、私が「コラボレーティブイノベーション」と呼ぶ取り組みが非常にうまくいっていることがあります。お客様が求めるより良いソリューションを提供するには、多様なテクノロジーやサービスが必要です。インテル、マイクロソフト、シトリックスなど、業界を代表するリーダー企業とHPEとの協業があって初めてこれを実現できるのです。HPE Moonshot Systemのエコシステムは非常に上手くいっています。「コラボレーティブイノベーション」はさらに発展していくでしょう。


モバイル・ワークプレイス分野における、HPE Moonshot Systemの強みを教えてください。

リモートデスクトップを実現する技術には、HDI(Hosted Desktop Infrastructure)、VDI(Virtual Desktop Infrastructure)、アプリケーション配信の3つがあります。HPEはそのすべてを提供し、お客様の多様なニーズにお応えしています。

HPE Moonshot Systemが実現したHDIは、エンドユーザーごとにCPUとメモリ、ディスクなどのハードウェアリソースを占有できるため、VDIのようなリソースの取り合いが起こらず、常に安定的な性能を維持できます。パフォーマンス、セキュリティ、アプリケーション互換性、そのすべてにおいてお客様に最高のメリットを提供できるのはHDIだけです。HDIと同様にハードウェアリソースを占有する「リモートワークステーション」としても、HPE Moonshot Systemは最適なプラットフォームとなります。


では、HPE Moonshot Systemによる
「リモートワークステーション」についてお聞かせください。

HPE Moonshot Systemによる「リモートワークステーション」には、大きなビジネスチャンスがあると考えています。優れたパフォーマンス、強固なクライアントセキュリティ、一元的な管理を提供できるからです。そして、一般的なブレードワークステーションよりもはるかに省スペースかつ低消費電力の環境を実現します。

中でも「金融トレーダー向けワークステーション」は、HPE Moonshot Systemの重要なターゲットのひとつです。非常に要求レベルの高い領域であることはご想像いただけるでしょう。市場が秒単位で変化する環境下では、証券トレーダーの業務はわずかな遅延や停滞も許されません。高いレスポンスと信頼性が最重視され、しかもセキュアでなければなりません。ミッションクリティカルな要求に応えるとともに、コンプライアンスにも対応する必要があります。

HPE Moonshot Systemによる「トレーダーワークステーション」において、たとえばトレーダーはロンドンにいてシステム環境はニューヨークに置く、あるいはシンガポールのトレーダーが香港にあるシステムを使う、といった使い方が実現されています。システムリソースとアプリケーション、データをデータセンターで一元的に管理し、ユーザーは世界中のどこにいてもいいわけです。トレーダーワークステーションは非常にハイレベルなソリューションですから、HPE Moonshot Systemによるリモートワークステーションは、他のあらゆる用途に適用できることを示しています。





HPE Moonshot Systemによるトレーダーワークステーションのシステム環境は、実にシンプルかつ省スペースです。HPE Blade Workstationとの比較では1/6以下のスペースに収容可能です。また、同じ環境をVDIベースで構築するにはリソースに余裕をもった初期投資が必要ですが、HPE Moonshot Systemであれば、サーバーカートリッジをトレーダーの数だけ導入すればいいので合理的です。

私たちは、HPE Moonshot Systemの価値を再定義したとお話しましたが、モバイルワークステーション、トレーダーワークステーションはその成果と言えます。



HPE Moonshot Systemの今後の戦略についてお聞かせください。

私は、HPEがMoonshot Systemという製品を持っていることが、HPE自身の優位性につながっていることを実感しています。省スペース、低消費電力、高性能への要求は高まるばかりで、特長がそのまま生かせる領域は実に広範です。

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https://youtu.be/S4PrG2ANK_g
IoT(Internet of Things)領域の事例になりますが、フォーミュラEのDSヴァージン・レーシングは、HPE Moonshot Systemをサーキットに持ち込んで、エッジサーバーとしてレーシングマシンのリアルタイムデータ分析に活用しています。まさにレースの最前線でチームの勝利に貢献しているのです。

HPE Moonshot Systemにはすでに豊富な稼動実績があり、プラットフォームとしての信頼性が立証されていることは、お客様にとって大きな安心材料です。他の汎用的な製品をインテグレーションするリスクをとる必要はないのです。

HPE Moonshot Systemは、いわばシンフォニーホールのようなものだと私は考えています。この筐体内に様々なコンポーネントをオーケストレートして、あらゆるワークロード、アプリケーションを最適に稼動させることができるのですから。

私は、IT業界でのキャリアは20年以上になります。その中で、様々なトレンドや変化を目の当たりにしてきました。優れたプレイヤーはトレンドを上手に追いかけます。もっと優れたプレイヤーはトレンドを創造するのです。HPEは、まさに新しいトレンドを創造するイノベーターです。お客様がアイデアエコノミーの時代を勝ち抜くための変革をご支援し、New Style of Businessをリードしていきます。