空力性能を最適化するための重要な設計プロセスを加速して、F1サーキットにおけるパフォーマンスを向上

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「Moonshotの導入により、テラフロップあたりのスループットが以前のクラスターのほぼ2倍に向上しました。 同時にCFDジョブに伴う電力消費量が約33%減少したことで、経費の節減に加えて環境負荷の軽減も可能になりました。 私たちはMoonshotの優れたリソース効率とコスト効率を日々実感しています」

−ザウバーF1チーム、IT責任者、Magnus Frey氏

 

モータースポーツ業界のリーダー的存在であるザウバーF1チームは、コンピューティングパワーの利用を制限する厳しいレギュレーションを遵守しつつ、重要な数値流体力学 (CFD) 計算を行うために、より効率的なインフラストラクチャを必要としていました。 中心的なCFD機能をHP Moonshot Systemに移行することで、ザウバーチームは規制の範囲内でCFDスループットを倍増しつつ、電力消費量を33%減少することに成功しました。
この移行によりエンジニアは、より多くのCFDジョブを実行して設計を最適化し、レーストラックにおける車の性能を向上できるようになりました。
さらにザウバーチームは、IT運用費の低減に加えて、経費のかかる風洞試験に進む前に設計オプションの数を絞り込むことで、さらなるコスト削減を達成しています。

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ザウバーF1チーム 様 ― ハイパフォーマンス・コンピューティング・パートナー[2:06]

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業界

モータースポーツ


目的

  • コンピューティングパワーの利用を制限する厳しいレギュレーションの範囲内で、数値流体力学 (CFD) スループットを向上し、車の空力性能を最適化するための設計を加速

 

 


アプローチ

ITの効果

  • テラフロップあたりのスループットを倍増することで、レギュレーションの範囲内でCFD計算を最大化
  • エンジニアは空力性能を最適化するために、CFDを使用した設計ループを従来の2倍実行可能
  • CFDジョブに伴う電力消費量が約33%減少することで、経費の節減に加えて環境負荷も軽減

ビジネスの効果

  • レーストラックにおける車の性能を向上し、チームの競争力を強化
  • 成功する見込みが高い設計オプションに絞り込むことで、開発日数を短縮
  • 経費のかかる風洞試験に進む前に設計を最適化することで、コストを削減
 

スイスにおいて、Peter Sauber氏は自動車レース界の伝説的存在です。Sauber氏は1970年代にSauber Motorsportを設立し、同氏が率いるチームはそれ以来常にトップレベルのイベントで戦い続けてきました。23年前からザウバーチームはフォーミュラーワン (F1) レースに参戦し、モンテカルロ、バルセロナ、モンツァから、メルボルン、シンガポール、クアラルンプールまで、世界各地で開催されるグランプリ大会を転戦しています。

F1においてはパフォーマンスがすべてです。ただし馬力が高ければよいというものではなく、レースに勝つためには正確性と効率性が欠かせません。 この点に関してザウバーF1チームは、業界内で群を抜いています。ザウバーチームが擁する国際的なメカニカル/エンジニアリング専門家グループは、スイスならではの正確性を誇ります。 ザウバーチームは人的資源の効率的な活用を重視することで、独立系チームの1つとしてグリッド上でトップレベルの戦いを続けています。 そして今やHP Moonshot Systemを導入したことで、ザウバーF1チームは非常に効率的なITインフラストラクチャを活用して、レースカー性能を最適化するための非常に複雑な計算を実行できるようになりました。

空力特性はF1カーの性能を大きく左右する要素であり、ザウバーチームはその設計を重視しています。 車の空力性能を最適化するために、同チームは数値流体力学 (CFD) と風洞試験を通じて気流問題を解決し、空力特性の改善を図っています。 大手レーシングチームは、研究開発に数千万ドル規模の資金を投入することが可能です。 そこで競争力の不均衡を緩和するために、FIA (国際自動車連盟) は各チームがCFDジョブに使用可能なピークコンピューティングパワーを厳格に制限しており、上限値は (1秒間に1兆回の浮動小数点演算を実行できることを示す) テラフロップス単位で規定されています。

そのためテラフロップあたりのCFDスループットをいかに最大化するかが課題となります。 新たなFIA規制に対応するために、ザウバーチームはより効率的なソリューションの模索を開始し、 従来型の高性能コンピューティング (HPC) クラスターを含めてさまざまなオプションを検討しました。 さらに同チームでは、新しいコンピューティングシステムだけでなく、真のテクノロジーパートナーを必要としていました。

ザウバーチームのIT責任者であるMagnus Frey氏は、次のようにコメントしています。「私たちは多数のソリューション候補に加えて、それらのソリューションを提供している企業についても検討を重ねました。

HPとの話し合いを通じて、私たちは最高のパフォーマンスを実現するためには既成概念にとらわれない発想が大切であることに気付かされました。HPは当チームのニーズに最適な、真に革新的で効果的なソリューションを提案してくれました」。

 

CFDのための最適なパフォーマンスと効率性

従来ザウバーチームは、単一プラットフォーム上でCFDに関するあらゆる処理を実行してきましたが、HPソリューションはパフォーマンスと効率性を最適化するために、複数プラットフォームにわたってワークロードを分割します。HP MoonshotはCFDプロセスの「計算」部分を担当し、インテル® Atom®プロセッサーC2730搭載のHP ProLiant m350サーバーカートリッジ上で処理を実行します (各ProLiant m350サーバーカートリッジは4台のノードを搭載)。 HPが提供するCluster Management Utilityを使用することで、ザウバーチームはこれらの多数のノードをわずか15分で配備できました。

ザウバーF1チームのCFD責任者であるTomo Sato氏は、次のように述べています。「私たちは、HP Moonshot上でCFDジョブをシミュレートするために、当チームの実データを使用して大規模なベンチマークテストを実施しました。 その結果、FIAが定めるテラフロップ制限内でCFDスループットを最大化するために必要な高いパフォーマンスと効率性を、HP Moonshotが提供可能であることが明確に実証されました」。

HP Moonshotのパフォーマンスと効率性は日々のCFD計算に最適ですが、ザウバーチームではときおり緊急の処理要件が発生します。 たとえば数日間にわたるレースイベント中に、現場からのフィードバックに応じて、車の設計を1晩で変更する必要が生じたようなケースです。 テラフロップの制限を超えることなく、これらの短期的なCFD要件に高速で対応するために、ザウバーF1チームではインテル Xeon®プロセッサーE5-2660 v2搭載のHP ProLiant SL230sサーバーを使用しています。

これに加えて、CFD処理には報告と分析といったプリ/ポスト処理ワークロードも含まれます。 CFD処理のこの部分はFIAによる規制の対象外であるため、ザウバーチームはインテル XeonプロセッサーE5-2600搭載のHP ProLiant BL460c Gen9サーバーを使用して、処理性能を最大化しています。さらにザウバーチームでは、F1イベント中にレース戦略ソフトウェアを実行してラップタイムシミュレーションを行うといった、その他の用途にもProLiant BL460c Gen9サーバーを活用しています。

資金面では、HPファイナンシャルサービスが魅力的な融資パッケージをザウバーチームに提供しました。

「ザウバーにとってこれは大規模な投資でしたが、HPファイナンシャルサービスの融資パッケージにより、投資の決定が容易になりました」とFrey氏は振り返ります。「F1サーキットにおける競争力を強化するためのコンピューティングソリューションを構築するうえで、豊富なリソースを有するHPとのパートナーシップは実に有益です」。

 

CFDスループットを倍増して空力性能を最適化

CFD処理をHP Moonshotに移行することで、ザウバーチームは電力消費量とコストを削減しつつ、CFD計算性能を劇的に向上しました。

「Moonshotを導入したことで、テラフロップあたりのスループットは以前のクラスターのほぼ2倍に向上しました」とFrey氏は指摘します。「同時にCFDジョブに伴う電力消費量が約33%減少したことで、経費の節減に加えて環境負荷の軽減も可能になりました。 私たちはMoonshotの優れたリソース効率とコスト効率を日々実感しています」。

このスループットの向上により、ザウバーF1チームは経費のかかる風洞試験に入る前に、車の設計を最適化するための研究をより多く実行できるようになりました。

Tomo Sato氏は次のように説明します。「CFD計算は、私たちの設計ワークフローにおいて常に最大の難所でした。Moonshotによるスループットの倍増により、私たちはCFDジョブの反復を従来の2倍実行して、冷却設計やリアウィング設計などのさまざまな空力構成をテストできるようになりました。そのため今では経費をかけて部品を製造して車を風洞試験に送り出す前に、オプションを絞り込むことが可能です。このことは開発日数を大幅に短縮しつつ、レーストラックにおける車の性能を向上して競争力を高めるうえで大きな強みとなっています。」。

HP Moonshotの柔軟なアーキテクチャーはCFD環境の拡張を容易にし、またシステムを停止することなくパフォーマンスへの影響を最小限に抑えてノードを交換することも可能になります。

「サーバーが故障した場合、私たちには交換まで数日待つ余裕はありません」とFrey氏は指摘します。 「HP Moonshot環境では、新しいサーバーをわずか数分で追加できます。重要な開発期間中にシステムを最大限活用するうえで、この点は大きなメリットです」。

 

運用サポートサービスによりリソースを最大限に活用

HP Moonshotソリューションの継続的運用を管理するために、ザウバーチームは各種のデータセンターハウジング/運用サポートオプションを検討しました。HPテクノロジーサービスは、同チームの目的とサービス要件を分析したうえで、 両方の領域に対する独自のアプローチとして、HP Moonshot Systemの継続的運用についてはHPが責任を負う一方で、システムはヒンヴィールにあるザウバーF1チームの施設に配備する方法を提案しました。

その結果今では、HPデータセンターケアと運用サポートサービスにより、ザウバーチームの施設に配備されて重要なCFD環境を支えているHP Moonshotソリューションの運用がサポートされています。 全体的なソリューションは、ザウバーチームの技術、組織、および商業上の目的を満たすように設計されています。HPによるサービスの価値は運用開始後1ヶ月で既に明白になっており、HPテクノロジーサービスは1年365日動作するプラットフォームを95%以上のシステム稼働率で維持しています。

 

レース当日のシミュレーションによる競争力の強化

HP ProLiant BL460c Gen9サーバーがザウバーチームに提供しているメリットは、CFD処理だけにとどまりません。ProLiant BL460c Gen9サーバーを使用して、レース戦略の最適化とラップタイムのシミュレーションを行うことで、ザウバーF1チームはレース当日のパフォーマンスをより一層向上しています。

Frey氏は次のように述べています。「ProLiant BL460c Gen9サーバーを導入したことで、私たちはレース前およびレースの最中に、従来よりも少ないノードでより多くのシミュレーションを実行できるようになりました。高負荷演算を高速に実行できることは、レース中に発生する事案に対して、よりインテリジェントに対応できることを意味します。 この点もレーストラックにおける競争力強化に役立っています」。

ザウバーチームはHPソリューションによるCFDおよびその他の処理に非常に満足しており、HPテクノロジーをより広範に活用することを検討しています。その一例としてザウバーチームでは、レースクルーをサポートするためにあらゆるF1トラックに搬送される2台の大型サーバーラックを、HP Moonshotソリューションに置き換えることを検討しています。高密度で効率的なHP Moonshot Systemは、貴重なスペースを浪費することなく迅速にセットアップでき、運用コストの低減にも貢献します。

「HPとのパートナーシップの価値は増大する一方です」とFrey氏は総括します。「HPは常にこの業界独自のニーズを丁寧に把握したうえで、革新的なソリューションを提供してくれます。 これは長期的な成功のために重要な姿勢です」。

 

会社概要

ザウバーF1チーム

本件でご紹介のHP製品・サービス

導入ハードウェア

導入ソフトウェア

  • CentOS Linuxオペレーティング環境
  • 数値流体力学 (CFD) ソフトウェアパッケージ
  • レース戦略ソフトウェア
  • ラップタイムシミュレーション

本ページの導入事例は、PDFで閲覧頂けます。  PDF (1.42MB)

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