超高密度サーバー「HP Moonshot System」を2シャーシ導入し 仮想化しないリモートデスクトップ環境を構築

「従来型PCで不可能だったことが可能になる――ここにHDIの本質的な価値があります。たとえば、仕事をする場所をデスクから解放する、タブレットPCから社内システムにアクセスして商談をスムーズに進めるなど、企業に様々な変革をもたらします。“働き方を変えるための戦略投資”としてHDIを捉えるべきではないでしょうか」

パナソニック インフォメーションシステムズ株式会社
執行役員 酒井 智幸 氏

 

新たなトレンド「HDI」をビジネスチャンスに

パナソニック インフォメーションシステムズ(以下、パナソニックIS)が、自社170ユーザーが利用する仮想デスクトップ環境を“仮想化しないリモートデスクトップ環境”に移行した。「HDI(Hosted Desktop Infrastructure)」と呼ばれるこのソリューションは、新世代の超高密度・超省電力サーバー「HP Moonshot System」による“1ユーザーが占有する物理環境”から提供される。パナソニックISはいち早く「HDI」に着目し、自社環境での検証を経てソリューションビジネスへの展開を決断した。

業界

IT

目的

  • 2010年に導入した仮想デスクトップ(VDI)環境のリプレース。より高いパフォーマンスを確保してリモートデスクトップユーザーを拡大するとともに、スマートデバイスを活用したワークスタイル変革を推進する。

アプローチ

  • リモートデスクトップを実現するための複数のテクノロジーを検討。優れたクライアントセキュリティ、一元的な管理というVDIのメリットをそのままに、従来型PC環境と遜色ない高パフォーマンスを実現することを目指す。

ITの効果

  • HP ConvergedSystem 100 for HDI (HP Moonshot System/HP ProLiant m700サーバーカートリッジ)を導入しHDI(Hosted Desktop Infrastructure)環境を構築
  • 物理環境による高性能なリモートデスクトップ/シンクライアントを実現
  • 仮想化レイヤーを排しシンプルで運用しやすいシステムを実現
  • クライアントOS/アプリケーション/ストレージ/シンクライアント端末など既存のVDI資産を継承
  • VDIと同等以上のクライアント管理の容易さ/優れたクライアントセキュリティを確保

ビジネスの効果

  • 高性能PCを使うセクションまでシンクライアントのユーザー範囲を拡大
  • スマートデバイスを活用したワークスタイル変革をさらに推進
  • 自社でのシステム構築・運用を経て“HDIソリューションビジネス”への進出を決定
  • より自由度の高いDaaSモデルでのクラウドサービス化も視野に
 

VDIのパフォーマンス課題を解決する「HDI」

仮想デスクトップ環境(VDI:Virtual Desktop Infrastructure)がトレンドとなって、多くの企業で導入が進んでいる。VDI環境では、サーバー側でデータとITリソースの一元管理により、長年IT管理者を悩ませてきたクライアント管理の負荷を大きく軽減できる。シンクライアントを利用した情報セキュリティの強化という観点からも、有効なソリューションであることは周知のとおりだ。

「VDIは、既存のIT環境や情報資産を活かしながら、タブレットPCやスマートフォンを利用するための“橋渡し”的な役割を果たします。VDIは、より効率的なワークスタイルを追求するためのインフラとしても注目すべきでしょう」と、パナソニックISの執行役員でありサービスビジネス本部 副本部長を務める酒井智幸氏は指摘する。

パナソニックISでは、2010年に社内170ユーザー向けのVDI環境を構築した。以後4年近くの運用の中で、Windows XPからWindows 7へ移行も経験したという。同社 サービスビジネス本部 インフラ基盤サービスグループ グループリーダーの高垣義男氏は、次のように語る。

「セキュリティ、運用管理性、コスト、ユーザーの利便性や生産性など、様々な検証を含めてVDI環境の自社運用と活用を行ってきました。VDIのメリットを改めて認識しつつ、一方で課題に直面したこともあります。中でも、VDIを導入して利用し続ける4〜5年の間、常に十分なパフォーマンスを維持し続けることの難しさを実感させられました」

VDIの導入に際しては、サーバーや共有ストレージの性能見積が重要であることはよく知られている。これを見誤ると、期待したレスポンスが得られなかったり、それを解消するために機器の変更や追加導入が必要になるようなケースもある。

「もちろん導入時点では何ら問題はありませんでした。しかし、クライアントOSの更新によって、パフォーマンスの悪化、サーバーのリソース不足という想定外の状況に陥ったことは事実です。次期VDI環境では、この課題を何としても解決したいと考えていました」と高垣氏は振り返る。

より高速なストレージの導入やサーバーのサイジングの見直しを含め、次期VDI環境のシステム基盤を模索する中、高垣氏らの元に“あるソリューション”の情報が届いた。

「それは“仮想化しないリモートデスクトップ環境”でした。そのアーキテクチャーを見て、従来型のデスクトップPCと遜色のないパフォーマンスを発揮し、長期にわたって維持し続けることが可能と直感しました」(高垣氏)

高垣氏らが注目したソリューションは「HDI(Hosted Desktop Infrastructure)」と呼ばれるものだった。実現するのは、新世代の超高密度+超低消費電力サーバー「HP Moonshot System」で構成される「HP ConvergedSystem 100 for HDI」である。


パナソニック インフォメーションシステムズ株式会社
酒井智幸氏

パナソニック インフォメーション
システムズ株式会社
執行役員
サービスビジネス本部
副本部長(IDCサービス担当)
(兼)IDCサービス事業部長
酒井 智幸 氏


パナソニック インフォメーションシステムズ株式会社
高垣義男氏

パナソニック インフォメーション
システムズ株式会社
サービスビジネス本部
IDCサービス事業部
インフラ基盤サービスグループ
西部VDIサービス担当G
グループリーダー
高垣 義男 氏


 

HDIを実現する超高密度サーバー「HP Moonshot System」

高垣氏らが注目した「HDI(Hosted Desktop Infrastructure)」は、1ユーザーが物理リソース/OS/アプリケーションを“占有”できるリモートデスクトップ環境だ。複数ユーザーがリソースを共有するVDIとは、この点において根本的に異なる。

「HDIを実現するプラットフォーム『HP Moonshot System』は、従来の常識を超えた超高密度のサーバー製品でした。物理環境によるリモートデスクトップ自体は決して目新しいソリューションではありませんが、HP Moonshot Systemによって革新的なソリューションに生まれ変わりました」(高垣氏)

HP Moonshot Systemは、新世代の超高密度+超低消費電力サーバーとして2013年4月に鮮烈なデビューを果たした。手のひらに載るほど小さな“物理サーバーカートリッジ”45枚を4.3Uのシャーシに収容して、超高密度のハイパースケールシステムを実現する。内蔵するサーバーカートリッジによって様々なシステムへと役割を変えることが、HP Moonshot Systemの他にない特徴だ。

HDI環境を実現するのは、2014年初頭に発表されたリモートデスクトップ専用の「HP ProLiant m700サーバーカートリッジ」である。CPUとGPUを統合した「AMD Opteron™ X2150 APU」、8GBメモリ、64GBのSSDをそれぞれ4基搭載し、1カートリッジで相互に独立した4ユーザー分の環境を提供する。

「HP Moonshot System実機による稼働検証・パフォーマンス検証を慎重に行いましたが、表計算ソフトのスクロールも動画再生も、従来型PCと区別がつかないほど快適に動作することが確認できました。自社環境では、高速なSSD上でOSとアプリケーションを稼働させ、データ管理用のユーザー領域は外部のファイルサーバーを使用する構成を採用しました。これなら4〜5年後でも十分なパフォーマンスを発揮してくれるはずです」と期待を語るのは、構築を担当したインフラ基盤サービスグループの越智崇雄氏である。

HP Moonshot SystemによるHDI環境は、Citrix XenDesktop/Windows 7と組み合わせた「HP HDIリファレンスアーキテクチャー」として提供されるためサービス基盤の構築も容易だ。パナソニックISでは、HP Moonshot Systemを2シャーシ/60サーバーカートリッジ(1シャーシあたり最大45サーバーカートリッジまで収容可能)導入し、240ユーザーを集約する自社環境を整えた。

「導入に際して、VDIのような緻密なサイジングが一切必要ないこと、システム構成がシンプルなため構築時間が短くて済むことが大きなメリットと感じました。また、最新のCitrix XenDesktop 7.5に移行しましたが、ストレージやシンクライアント端末はVDIで使っていた機器をそのまま引き継いでいます。既存資産を有効利用できることも、HDIへの移行を強く後押ししたと言えるでしょう」(越智氏)

2014年9月、パナソニックISはVDI方式に変わるリモートデスクトップ環境として、約2週間の短期間でHDI環境を整えた。


■デスクトップ環境ポートフォリオ

デスクトップ環境ポートフォリオ

■パフォーマンス

パフォーマンス

パナソニック インフォメーションシステムズ株式会社
越智崇雄氏

パナソニック インフォメーション
システムズ株式会社
サービスビジネス本部
IDCサービス事業部
インフラ基盤サービスグループ
西部VDIサービス担当G
エキスパート
越智 崇雄 氏


HDIソリューションは中堅・中小企業でも導入が容易

HP Moonshot Systemが実現するHDI環境によって、パナソニックISはどれだけのメリットを享受できたのだろうか。

「HDIのレスポンスは期待通りでした。リモートデスクトップとは思えないほど軽快に動作します。第1フェーズとして従来のVDIユーザーをHDIに移行しましたが、第2フェーズでは、高性能なPCを使っている開発系のパワーユーザーも移行対象に加えていく考えです」と高垣氏はパフォーマンス向上の成果を語る。

サーバー機器群の収容スペースは半分以下に削減できたという。仮想化されたVDI環境よりもHP Moonshot Systemによる物理環境の方が省スペース、というのは注目すべき事実だ。では、消費電力の観点ではどうだろうか。

「VDI環境では常にサーバーの電源が入っている状態でした。新しいHDI環境では、1ノードごとに電源ON-OFFを自動制御する仕組みを用意して全体の消費電力を抑制しています」(越智氏)

HDI環境は、一般のデスクトップPCとの比較で、消費電力を約50%削減※できるという試算もある。(※日本ヒューレット・パッカード調べ:900ユーザーを想定した試算)

今回、パナソニックISでは1ユーザーとHP ProLiant m700サーバーカートリッジを固定的に割り当てる「非プロビジョニング方式」を採用した。より物理PC環境に近い構成と言える。1ユーザーとサーバーカートリッジを動的に割り当てる「プロビジョニング方式」も選べるので、自社の運用ポリシーに照らした導入が可能だ。

「非プロビジョニング方式では、運用がよりシンプルになるメリットがあります。SSDの障害に際しても、コンポーネント単位で交換可能なので従来型PCのメンテナンスとさほど変わらない感覚で対応できるでしょう」(越智氏)

高垣氏は、この“従来のPC環境の延長線上で運用できる”というメリットに着目した。

「VDIは、サーバーとストレージ、仮想化ハイパーバイザーなど様々なテクノロジーの集合体です。これに対してHDIは、仮想化レイヤーを持たず構成がシンプルなため非常に運用が容易です。HDIなら、仮想サーバー環境の運用ノウハウのない中堅・中小のお客様にもお勧めできると考えました」(高垣氏)

2014年4月のWindows XPサポート終了を見据えてVDIを検討した企業は多い。しかし、実際の商談では、「仮想化環境を運用できる社員がいないから諦めた」というケースが目立ったという。「HDIはVDIよりも導入ハードルが低い」という着眼点が、SIerとしてのパナソニックISに新たな商機をもたらすかもしれない。


■運用

運用

 

HDIは“働き方を変えるための戦略投資”

パナソニックISは、松下電工(現パナソニック)のシステム部門として基幹業務システムを中心に数々の開発・運用を手がけ1999年に独立した。

「お客様にソリューションをご提供するにあたって、重要なテクノロジーは“自ら使って検証する”ことを基本としている」と酒井氏が言う通り、パナソニックIS のSIerとしてのアプローチは、常に実践経験に基づいている。自ら蓄積したノウハウを活かした構築・運用プロセス、現場で検証されたテクノロジー、ユーザー視点から厳選したソリューション群がその強みだ。

「導入したHDI環境の運用・活用を通じて新たなノウハウを蓄積していく考えです。強固なクライアントセキュリティ、運用負荷の軽減というVDIで実証されたメリットをさらに高めて、HDIならではの高パフォーマンスを利用できる価値を広くご紹介していきたいと思っています」(高垣氏)

パナソニックISは、Citrix製品による仮想化ソリューションにおいて豊富な実績を誇る。そのポートフォリオに、新たに「HDIソリューション」が加わることになる。

「オンプレミスでのHDIシステム構築、DaaSによるオンラインサービス、その両面からHDIビジネスを組み立てていきます。すでにHP Moonshot Systemに特化したHDI専任エンジニアの育成にも着手しました」(高垣氏)

酒井氏は、「HDIは、単に既存のPCを置き換える手段ではない」と指摘して次のように締めくくった。


「従来型PCで不可能だったことが可能になる――ここにHDIの本質的な価値があります。たとえば、仕事をする場所をデスクから解放する、タブレットPCから社内システムにアクセスして商談をスムーズに進めるなど、企業に様々な変革をもたらします。“働き方を変えるための戦略投資”としてHDIを捉えるべきではないでしょうか。私たちは自ら実践してお客様へのご提案に活かしてまいります」


 

会社概要

パナソニック インフォメーションシステムズ株式会社

所在地:〒530-0013 大阪府大阪市北区茶屋町19番19号

URL:http://service.is-c.panasonic.co.jp/ 


パナソニック インフォメーションシステムズ株式会社

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