X線撮影・造影検査・CT・MRIなどの画像検査から診断までのスピードアップに貢献

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「診療や医療業務の大幅な効率化は、デジタル化がもたらす恩恵の最たるものです。4年間取り組んできたプロジェクトが、実際に医療サービスの質的向上につながったことで、私たちの使命を果たせたと思っています」

− 国立大学法人 山口大学医学部附属病院
放射線部 診療放射線技師長
上田 克彦 氏

 

大容量の医用画像を扱う高速な部内ネットワークを実現

山口大学医学部附属病院 放射線部がネットワーク刷新プロジェクトを完了させた。バックボーンを10ギガビットイーサネットに刷新し、医療機器単位で構成されてきたネットワーク環境を単一ネットワークアーキテクチャーのもと段階的に統合。統合医用画像サーバーと電子カルテシステムが連携し、高速なネットワーク基盤上での迅速なデータのやり取りが可能になった。

業界

医療

目的

  • 山口大学医学部附属病院 放射線部のネットワーク基盤を刷新し、大容量の医用画像(静止画/動画)を扱える高速な部内ネットワークを実現すること。
    各種医療機器の追加・連携を柔軟に行える環境を確立するとともに、放射線部の技師・看護師の業務効率向上を図る。

アプローチ

  • コンパクトなボックス型スイッチをコアに採用し10Gバックボーンを構築。静止画系の刷新、動画系の構築・増強を、4年をかけてネットワークを段階的に拡張していく。コアスイッチと同一アーキテクチャーに統一しネットワークのシンプル化を進める。

ITの効果

  • コアスイッチに「HP 5500 EI スイッチ」、フロアスイッチに「HP 5120 EI スイッチ」を採用し大容量の医用画像の高速伝送を実現
  • ネットワーク仮想化技術「HP IRF」を用いたActive-Active 冗長化により、広帯域と高可用性を実現
  • 単一アーキテクチャーの下でネットワークを統合し、管理と拡張が容易なシンプルなネットワークを実現

ビジネスの効果

  • 画像検査から診察までの時間を1分程度に短縮し、患者へのサービスレベルを向上させるとともに技師・看護師の業務効率を大幅に向上
  • ミッションクリティカルな医療業務の信頼性とサービス継続性を強化
  • HP製品で統一することにより、迅速な保守対応とサービス品質を向上させるとともにTCO削減にも貢献
 

チャレンジ

山口県の中核病院として先進医療を推進

山口大学医学部附属病院(以下、山口大学病院)は、ベッド数736床、27の診療科と23の診療部を擁する特定機能病院である。2000年、国立大学病院で先駆けとなる高度救命救急センターを設置して以来、県の中核病院として毎年約1,000例の高次救急患者の診療にあたっている。近年は救急医療体制をさらに強化し、宇部市との提携によるドクターカーの導入や、山口県ドクターヘリの基地病院として全県下・他県からの重症患者の治療にも対応している。

山口大学病院は、5件の先進医療に適合した医療機関として認定されるとともに、新しい医療技術の開発にも積極的に取り組んでいる。

「先進医療の推進において大きな役割を果たしているのが、最新の医用情報技術・設備を備えて各診療科・部と連携する放射線部です」と放射線部 診療放射線技師長の上田克彦氏は話す。

中央診療施設の1つとして1975年に設置された放射線部には、X線撮影・造影検査・CT・MRIなどの検査診断を行う最先端の放射線画像装置が設置され、日々の治療で利用されている。

「国立大学病院の機能として、教育・研究・診療の3本柱に加えて、グローバル化への対応も強く求められています。地域医療に密着しながらも先進医療への取り組み・成果を世界に発信していくというのが放射線部の大きな目標です」(上田氏)

放射線部のネットワーク基盤には、様々な医用診断機器が接続されている。最新機器を柔軟に追加し、他の診療科・部と緊密な連携を図るためにはネットワーク基盤の強化が欠かせない、と上田氏らは考えていた。


国立大学法人
山口大学医学部附属病院
放射線部
診療放射線技師長
上田克彦氏

医用画像のデジタル化に伴い、ネットワーク基盤の刷新が急務に

山口大学病院 放射線部では、放射線画像装置で扱うX線やCTなどの画像に加え、内視鏡、超音波、心電図を含む膨大かつ多様な医用画像を一元的に管理している。この管理システムは10年前に構築された。主導したのは、放射線部 副診療放射線技師長でありIT施策を統括する岩永秀幸氏である。

「以前の環境では、医用画像サーバーが画像の種類ごとに分散していました。これを1つに統合するとともに完全にデジタル化し、1つのビューアーから様々な種類の画像をすばやく検索・閲覧できるようにしたのです」と岩永氏は当時を振り返る。

これを担うのは、医用画像データを扱う際の業界標準規格である「DICOMフォーマット」を採用した統合医用画像サーバーである。統合医用画像サーバーは、医師や技師・看護師の要求に応じてネットワークを介して医用画像を配信する。現在では放射線部におよそ120台、全体では1,300台近く設置されている医療情報端末からの検索・閲覧を可能にしている。

「しかし当時は、放射線部のネットワークは医用情報システム単位で構築・運用されていたのです。まずネットワークを統合する必要がありました。また、大容量の画像データを快適に扱うためにコアスイッチの刷新も不可欠でした」(岩永氏)

さらに別の課題も加わった。医療情報部が推進する「電子カルテシステム」の導入計画である。

「電子カルテシステムに加え、超音波検査や心臓カテーテル検査などで撮影するマルチフレームの医用動画を配信したいという要求もありました。分断されたネットワークを統合するとともに、様々な要求に応えるネットワークの拡張性を確保することは喫緊の課題だったのです」(岩永氏)

2008年、次期ネットワーク基盤のあるべき姿の検討を開始。岩永氏らは、長年にわたり放射線部におけるITインフラ構築・運用を支援してきた株式会社エフテックとともに、ネットワーク統合の計画を練り上げていった。そして、HPネットワーク製品を全面的に採用したネットワークの刷新を決断した。

国立大学法人
山口大学医学部附属病院
放射線部
副診療放射線技師長
岩永秀幸氏


 

ソリューション

単一のアーキテクチャーでネットワークを統合

岩永氏とエフテックによるチームは、最初にバックボーンを10ギガビットイーサネット(GbE)に刷新し、単一のネットワークアーキテクチャーのもと既存環境を段階的に統合していく方針を確認した。構築開始は2009年。4年をかけて段階的に進められたプロジェクトの過程を追っていこう。最初に手がけたのがコアネットワーク(静止画系)の構築である。

「トラフィックの大半を占める静止画データを高速に転送でき、多数の医用診断機器や端末が接続されるフロアネットワークを統合するキャパシティを確保しました」(岩永氏)

コアスイッチには「HP 5500 EI スイッチ」を採用。コンパクトなボックス型ながら最大4ポートの10GbEポートを搭載可能で、中規模ネットワークのコアに最適なソリューションである。

エフテック 取締役 技術部 部長の藤本正登氏は、「豊富なレイヤー3機能をサポートするHP 5500 EI スイッチは、放射線部の求めるデータの高速転送を含め高パフォーマンスと信頼性、将来の拡張性に十分応えることができると判断しました」と話す。

採用の決め手になったのは、独自のネットワーク仮想化技術「HP IRF(Intelligent Resilient Framework)」である。2台の「HP 5500 EI スイッチ」を論理的に1台の論理的なスイッチとして見立て、Active ─ Activeで冗長化。これによりバックボーンに求められる広帯域を確保するとともに、障害時でもサービスを止めない運用を可能にしている。事実導入してから一度もネットワークが止まっていないとの評価を頂いている。

HP IRFは、すでに10年以上の実績がある信頼性の高いネットワーク仮想化テクノロジーだ。最大9台のスイッチを接続して“1台の仮想スイッチ”として扱える。特定の機器に障害が発生しても“50ミリ秒以内”で通信経路を切り替えるため、サービスを停止させることがない。

「ネットワーク機器の可用性、サービスの信頼性確保を特に重視しました。すべてのスイッチに非常用電源を用意し、予期しない停電でもネットワークサービスを停止させないよう備えています」(藤本氏)

コアネットワーク(画像系)を刷新した放射線部は、2010年に動画系ネットワークの構築に着手した。翌年にはフロアスイッチを「HP 5120 EI スイッチ」にリプレース。これによりコアスイッチからフロアスイッチまでが広帯域で結ばれ、単一アーキテクチャーによるネットワークの統合と高速化および高可用性を実現した。

ネットワーク統合を段階的に進めていく過程で、岩永氏らが細心の注意を払ったのは、膨大かつ多様なデータを効率よく流すためのトラフィックフローの最適化だった。放射線部のネットワーク基盤上でやりとりされるデータは、CT画像が最も大きな容量を占めるが、その他にもマルチフレームの動画や各種アプリケーションで扱うファイルなど実に多様だ。

「静止画系と動画系それぞれのトラフィックフローが“一方通行”になるように整流化し、ネットワークの転送効率を高める工夫を施しました」(岩永氏)

株式会社エフテック
代表取締役
吉長敏朗氏


株式会社エフテック
取締役
技術部 部長
藤本正登氏



ベネフィット

ネットワークフローに着目し、効率の高いネットワーク基盤を完成

山口大学病院 放射線部では、2013年にもネットワーク機器の増強を図りプロジェクトの計画を完了させた。稼働初期より安定したネットワークサービスを提供し、無停止運用を続けている。ユーザーからの評価も高まっているという。

エフテック 代表取締役の吉長敏朗氏は、「実際にHPスイッチは壊れにくい。ライフタイム保証を提供できるのも機器の信頼性があってこそ、と考えています」とハードウェアの信頼性を高く評価する。HPネットワーク製品の「ライフタイム保証」は、製品を使い続ける限り故障時の無償交換サービスを提供するものだ。

また「HPのエンジニアによる決め細やかな対応は素晴らしかった」と同氏は語る。

基幹ネットワークの刷新は、放射線部の技師・看護師の業務効率に目に見える改善をもたらしている。

「統合医用画像サーバーと電子カルテシステムが連携し、高速なネットワーク基盤上でデータをやり取りできるようになったことで、現在では撮影から約1分後には医師が画像を参照できるようになりました」−岩永氏

「かつては、X線の撮影から画像の物理搬送、診察という一連のプロセスには20〜30分を要していました。統合医用画像サーバーと電子カルテシステムが連携し、高速なネットワーク基盤上でデータをやり取りできるようになったことで、現在では撮影から約1分後には医師が画像を参照できるようになりました」(岩永氏)

業務効率を向上させただけでなく、患者が来院してから診察を受けるまでの待ち時間の短縮にもつながっているわけだ。

現在、放射線部では、無線LAN環境の構築やシンクライアントの導入を視野に検証を進めている。新たな基幹ネットワークのポテンシャルがここでも発揮されることになる。

最後に上田氏が次のように語って締めくくった。

「診療や医療業務の大幅な効率化は、デジタル化がもたらす恩恵の最たるものです。4年間取り組んできたプロジェクトが、実際に医療サービスの質的向上につながったことで、私たちの使命を果たせたと思っています」


詳しい情報
HPネットワークについてはこちら
www.hp.com/jp/hpn

会社概要

国立大学法人 山口大学医学部附属病院

所在地:山口県宇部市南小串1-1-1

URL:http://www.hosp.yamaguchi-u.ac.jp/ 


本件でご紹介のHP製品・サービス

導入ハードウェア

  • HP 5120 EISwitch
  • HP 5500 EISwitch

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