コア/アグリゲーション/エッジスイッチを「HP IRF」で仮想化、SDN導入を視野にデータセンター全体の仮想化を推進

alt_text

「SDNを採用した仮想データセンターの基本モデルを構築し、複数のデータセンターやクラウドのリソースを自由に、かつシームレスに活用できるようにしたいと考えています」

− 東京海上日動システムズ株式会社
ITサービス本部 オープン基盤部 エキスパート
畠山 亮 氏

 

仮想データセンター実現に向けた大きな一歩

東京海上日動がデータセンターネットワークを刷新し、複数のデータセンターとのシームレスな接続、クラウドとの連携、SDN(Software Defined Networking)対応を推進している。
OpenFlowに対応したHPネットワーク製品を採用。コア/アグリゲーション/エッジの3階層でネットワーク仮想化技術を適用して耐障害性と管理性を強化するとともに、“SDN Ready”なデータセンターネットワークを構築した。その先に見据えているのは、データセンターレベルの仮想化である。

業界

保険業

目的

  • サーバー計2,800台を収容するデータセンター(2拠点)のネットワーク基盤刷新。複雑化したネットワークをシンプル化するとともに、将来の仮想データセンター化を見据えた対応を行う。

アプローチ

  • ITインフラ全体の仮想化を推進。ネットワークにおいては安定性・運用性・経済性を追求し、コア/アグリゲーション/エッジの3階層で仮想化技術を実装。耐障害性と管理性を強化しつつSDN対応を図る。

ITの効果

  • コア(HP 12500)/アグリゲーション(HP 5800)/エッジ(HP 5120)の3階層にネットワーク仮想化技術「HP IRF」を採用しActive-Active の冗長化を実現
  • スパニングツリー構成の冗長化よりも高速な50ミリ秒以内での切り替えを行い、障害時でもサービスを止めない運用を実現
  • ネットワーク機器台数を1/4 以下に削減し大幅なシンプル化を実現
  • OpenFlowに対応しSDN Ready なデータセンターネットワークを実現

ビジネスの効果

  • コストパフォーマンスの高い10GbEを活用することでストレージネットワークをIP 化
  • コ将来のトラフィック増大にも柔軟かつコストを抑制しながら対応可能に
  • コ複数のデータセンターでシームレスな分散処理とDR(災害対策)を可能にする“仮想データセンター”の実現へ大きく前進
 

チャレンジ

災害時にも業務を継続させるミッション

東京海上日動火災保険(以下、東京海上日動)は、日本初の保険会社として1879年(明治12年)に設立された東京海上保険会社にその起源を持つ。暮らしやビジネスにおけるリスクが高度化・複雑化する時代にあって、損害保険サービスへの期待はかつてないほど高まっている。東京海上日動では、国内239のサービス拠点において約9,800名のスタッフが保険事故の受付業務、保険金の支払業務、保険契約の締結業務に従事。従業員のおよそ半数が、46,000の代理店とともに顧客に高品質なサービスを提供する体制を整えている。

「地震や台風などの自然災害が発生したときこそ、損害保険サービスの業務を遂行しなければならない社会的責任があります。事業継続(BCP)を支えるのは、災害時でもサービスを継続できるデータセンター運用です」と東京海上日動システムズ ITサービス本部の畠山亮氏は説明する。

東京海上日動のデータセンターはメイン・サブの2拠点体制。両センターに設置されたサーバーは合わせて2,800台を超える。

「万一メインセンターでのサービス提供が困難になっても、サブセンターで迅速かつ確実にサービスを復旧できる体制を構築しています。現在、この体制をいっそう強化するために、複数のデータセンター間やクラウドとの間でサービスを自由に移動でき、どのセンターでも業務を継続できるシステムの構築に取り組んでいます。いわば“データセンターレベルでの仮想化”です」(畠山氏)

東京海上日動のデータセンターとITインフラ(サーバー、ストレージ、ネットワーク環境)は、いま大きく変わりつつある。

「10年後のデータセンター像を描き、ITインフラのあるべき姿とそれを構成するシステムの役割を定義しました。データセンターネットワークも抜本的に見直しました」(畠山氏)

本プロジェクトにおいて新たに構築されたデータセンターネットワークには、コア/アグリゲーション/エッジまでHPネットワーク製品が全面的に採用された。


東京海上日動システムズ株式会社
ITサービス本部
オープン基盤部
エキスパート
畠山亮氏

東京海上日動システムズ株式会社
ITサービス本部
オープン基盤部
エキスパート
畠山亮氏


東京海上日動システムズ株式会社
ITサービス本部
オープン基盤部
デザイナー
岡ア剛治氏

東京海上日動システムズ株式会社
ITサービス本部
オープン基盤部
デザイナー
岡ア剛治氏

 

ソリューション

データセンター仮想化を支える次世代ネットワーク

東京海上日動では、平時における「保険事故の受付業務」と「保険金の支払業務」が1日およそ1万件。「保険契約の締結業務」は1日で10 万件に達するという。お客様に最大のご満足を頂ける商品・サービスをお届けするため、この規模の業務を支えるシステムに対して数多くのシステム改修を行ってきたが、次第にITインフラは拡大・複雑化し、その復旧も難度を増していった。

“シンプル化”を目的にITインフラを全面的な見直すことを基本方針としたが、“仮想データセンター”への想いはこの見直しから始まった。

「2009年からサーバーとストレージ環境の標準化に着手し、仮想化された共通基盤として柔軟にITリソースを活用できるようにしまし た。この基盤上に、1990年代前半から目的ごとに構築されてきた様々なシステムの集約を進めていきます」とITサービス本部の岡ア剛治氏は話す。

データセンターネットワークも、システムの拡大とともに増強され拡張を続けてきた。複雑化したネットワーク環境は運用負荷が高く、変更も容易でないため新たなビジネス要求にタイムリーに応えられないという課題もあった。

「データセンターネットワークの刷新に着手したのは2012年からです。長年データサービスを支えてきたネットワーク構成を見直すことが第一義ですが、今回の重要な要件として @複数のデータセンターとのシームレスな接続、 Aクラウドサービスとの連携 B将来のSDN(Software Defined Networking)への発展が可能であることをRFPとして複数のITベンダーに提示しました」(畠山氏)

畠山氏らが重視したのは、特定の機能要件ではなくベンダーの“提案力と総合力”だった。

「仮想データセンターを実現するテクノロジーの選択肢はいくつかあります。ハイパーバイザーのレベルで実現する方法も検討しましたが、私たちが本命と考えたのはネットワークレベルでコントロールする『SDN』でした」と畠山氏は話す。

データセンター間を結ぶWANをSDNによって制御する方法は、現時点では完全に確立されているとは言えない。

「私たちは、2015年までにSDNを使える製品やソリューションが出揃うだろうと予測しています。つまり、今回の次世代データセンターネットワークの構築を、“SDN Ready”な環境を整えておくためのものと位置づけたのです」(畠山氏)

畠山氏は、ITベンダーの提案力とともに「SDN Readyなデータセンターネットワークを自社製品だけで構築できるポートフォリオの有無を注視しました。そして、単に優れたネットワーク製品を選んだのではなく、仮想データセンターの実現に向けて私たちと一緒に取り組んでくれるITパートナーを選定したつもりです」と話す。

選ばれたのは、三菱電機インフォメーションシステムズと日本ヒューレット・パッカードのチームである。

「パートナー選定に際しては3つのポイントを重視しました。まず、仮想化技術やSDNへの取り組み。次に、東京海上日動における構築・運用の実績。そして最も重視したのが、サーバーやストレージ、ネットワーク製品とその構築・運用までを含めたITインフラ全体のソリューション提供力でした」(畠山氏)

三菱電機インフォメーション
システムズ株式会社
金融事業本部
金融第三事業部
金融システム営業部 第二課
橋本直樹氏

三菱電機インフォメーション
システムズ株式会社
金融事業本部
金融第三事業部
金融システム営業部 第二課
橋本直樹氏



コア/アグリゲーション/エッジの3階層でHP IRFを採用

三菱電機インフォメーションシステムズ(MDIS)は、東京海上日動のデータセンターネットワークの構築・運用に長年にわたり携わってきた経験豊富なインテグレーターである。また、HP製L2スイッチの世界最大規模のディストリビューターとしての顔も持つ。MDIS金融事業本部 金融第三事業部の橋本直樹氏は、本プロジェクトに対する決意を次のように語る。

「私たちが蓄積してきたネットワーク構築と運用のノウハウ、HPの製品力・技術力を組み合わせることで、東京海上日動様の要求と期待にお応えできると確信しています。特にHPのネットワーク仮想化技術HP IRF(Intelligent Resilient Framework)は、仮想データセンターの実現に不可欠な広帯域と高信頼性を両立させます。目標の達成に向けて力を合わせていきたいと思っています」

2012年10月に次世代データセンターネットワークの設計を終え、翌月から構築がスタート。2013年2月には新しい環境での運用が始まった。

新たなデータセンターネットワークはシンプルな3層構造を採っている。コアスイッチに「HP 12500」、アグリゲーションスイッチに「HP 5800」、エッジスイッチには「HP 5120」と3階層すべてにHP 製品を採用した。「HPのスイッチ製品はコア/アグリゲーション/エッジまで単一のアーキテクチャ/ OSで統一でき、運用保守業務を効率化できるメリットが大きい」とMDISの橋本氏は評価する。

「本ネットワークの大きな特長は、3階層すべてにネットワーク仮想化技術『HP IRF』を適用していることにあります。機器と経路を冗長化するとともに、すべての機器をActiveで利用して帯域をムダにしません。また、スパニングツリー構成で冗長化すると切り替えにタイムラグが発生しますが、HP IRFでは瞬時に切り替えられますので、ネットワークの耐障害性・サービス継続性の観点でも非常に有効です」と岡ア氏が説明する。

HP IRFは、すでに10年以上の実績がある信頼性の高いネットワーク仮想化テクノロジーだ。最大9台のスイッチをリンクアグリゲーションにより接続して“1台の仮想スイッチ”として扱える。特定の機器に障害が発生しても、わずか“50ミリ秒”で通信経路を切り替えるためサービスを停止させることがない。

「データセンターネットワークはHP IRF仮想化による論理的な集約で物理機器の台数はおよそ1/4に削減され劇的にシンプル化されました」(岡ア氏)

 

ベネフィット

仮想データセンターを支えるネットワーク基盤

標準化を進めたサーバーとストレージ群は、新たなデータセンターネットワークに接続される。ここでも本プロジェクトにおける“シンプル化”という基本方針が貫かれている。

「サーバーラック単位で2台のエッジスイッチを導入し、Top-of-Rackとすることで管理性を向上させるとともに、システム環境構築の容易さを大きく前進させました」(岡ア氏)

仮想化によって、サーバーやストレージのリソースを用意する時間は大幅に短縮されたが、ネットワーク環境のセットアップもこれらのスピードに追従できるようにしたわけだ。

「また、ストレージはFC-SANを捨て10GbE対応のiSCSI製品に切り替えていく方針です。ストレージネットワークをイーサネットに統合することは、ITインフラ全体をシンプル化するという方針にも合致するものです。10GbEを高密度かつ高いコストパフォーマンスで集約できるHPネットワーク製品は、非常に魅力的です」(畠山氏)

「データセンターネットワークは、HP IRF仮想化による論理的な集約で物理機器の台数はおよそ1/4に削減され劇的にシンプル化されました」−岡ア氏

HPネットワーク製品は、10GbE対応製品において他社との比較で導入コストをおよそ1/2に削減可能だ。

すでに、HPからSDNコントローラー「HP Virtual Application Network SDN Controller」の出荷も始まった。この製品はOpenFlowスイッチをコントロールし、様々なインフラ機器やクラウドサービスとの連携を可能にするという。

畠山氏は、最後に次のように語って締めくくった。

「SDNを採用した仮想データセンターの基本モデルを構築し、将来的には複数のデータセンターやクラウドのリソースを自由に、かつシームレスに活用できるようにしたいと考えています。三菱電機インフォメーションシステムズとHPには、ITパートナーとしてこれまで以上の活躍を期待します」


詳しい情報
HPネットワークについてはこちら
www.hp.com/jp/hpn

 

会社概要

東京海上日動システムズ株式会社

所在地:東京都多摩市鶴牧2-1-1 多摩東京海上日動ビル

URL:http://www.tmn-systems.co.jp/ 


東京海上日動システムズ株式会社
本件でご紹介のHP製品・サービス

導入ハードウェア

  • HP 12500 Switch
  • HP 5800-48G Switch
  • HP 5120-24G Switch

本ページの導入事例は、PDFで閲覧頂けます。  PDF (1.83MB)

本ページに記載されている情報は取材時におけるものであり、閲覧される時点で変更されている可能性があります。予めご了承下さい。