HP World Tour 2015レポート関連リンク

HPの最新テクノロジーを紹介する国内最大のイベント「HP World Tour 2015」が、7月22日、東京・ANAインターコンチネンタルホテル東京で開催された。基調講演をはじめ、クラウド/モビリティ/ビッグデータ/セキュリティという4テーマのスポットライトセッション、23のブレイクアウトセッションに、多くのITプロフェッショナルとユーザーが参加し、会場は大きな盛り上がりを見せた。

日本ヒューレット・パッカード
代表取締役社長
吉田仁志

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ジム・メリット
シニア・バイスプレジデント
エンタープライズグループ&マネージングディレクター
HP Asia Pacific and Japan

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開会の挨拶に立った日本ヒューレット・パッカードの吉田は、HPが提唱する「New Style of Business」に触れ、2020年に向けてどのような変化が起こるのか説明した。

「人口は76億人となり、1,000億個の接続デバイス、1兆のアプリケーション、40ZB(ゼタバイト)ものデータが存在するようになります。そうして、多くの新しいビジネスが立ち上がり、めまぐるしく環境が変化する中で、今までの時間軸の5〜6倍のスピードでビジネスサイクルが回ることになります。誰よりも早く、ビジネスの成果を上げていけるかが重要になることは間違いありません」

そこで注目される技術がクラウドであり、それによってもたらされる「コストメリットとスピード」である。その一方で、これまでのIT環境と同様にガバナンスの問題、そしてセキュリティがよりクローズアップされる。

「そうした課題に対してHPは答えを用意しています。『HP on HP』という考え方に基づき、開発したテクノロジーをまず自ら試してみるという方法を採ります。HPは世界最大級のIT環境を持つ企業であり、30万人の社員、4万のサーバー、15万台以上モバイルデバイス、1日に25億件のセキュリティログがあります。また、企業買収を進める過程でシステム統合を進め、85のデータセンターを6カ所に集約、アプリケーションも4,000から1,600に削減しました。クラウドへの取り組みも同様です。自ら実践し変革を行ってきた経験とノウハウを、多様な製品やサービスに活かしています」と語った。そして、お客様の変革をご支援する4つのテーマ「Transform」「Protect」「Empower」「Enable」を示しました。



「HPは、お客様のNew Style of Business実現に向けて真剣に取り組んでいます。分社化は、イノベーションと市場フォーカスをより強化するためのもので、エンタープライズ事業を中心とする『Hewlett Packard Enterprise』と、PCやプリンティング事業中心の『HP Inc. 』が誕生します。日本は米国に先駆けて8月より分社化します。ビジネスには、これまでとまったく次元の異なるスピードが要求されるようになります。激変する環境においてNew Style of Businessによる利益を享受するためには、圧倒的な柔軟性と移動力を発揮するITインフラ、すなわちハイブリッドクラウドへの変革が鍵を握るでしょう」


「新しいビジネススタイルへのITソリューションとは」

基調講演に登壇したジム・メリットが強調したのは「Time to Value」――新しいアイデアが価値を生み出すまでの時間である。そして、ITはアイデアを市場展開する上でますます重要な役割を果たすとした。

「現在は『アイデアの経済』と言われます。過去と大きく違うのは、アイデアを新サービスに変換したり、新しい業界に展開することが非常に容易かつ低コストで可能なことです」と語り、その一例として、タクシー配車サービス「UBER(ウーバー)」を紹介した。

ウーバーは、スマートフォンの普及に着目し2009年にサービスを開始。現在では世界50カ国、250都市でサービスを展開、400億ドル規模の企業価値を持つまでに急成長した。しかし、1台のタクシーも所有していない。

「ITはアイデアを実現するための手段であり、ビジネスそのものです」とジム・メリットは言う。

「重要なのはアイデアが価値を生むまでの時間です。ウーバー自体は新しいテクノロジーを発明したわけではありませんが、無線通信に頼るタクシー産業のレガシーなITインフラでは、同様のことをしようと思ってもできませんでした。ウーバーのアイデアが価値を生むまでの状況、そしてタクシー業界がウーバーの脅威に対応できなかった状況、両者の共通項は『時間』です。新しいアイデアを速やかに売上につなげるためにも、誰よりも速くアイデアを展開することが重要なのです」と語った。

ITプロジェクトやアプリケーションの市場展開には、数年単位の時間を要していた。しかし、現在では数週間、数日、場合によっては数時間で対応しているケースもある。こうした状況の中で競合に勝利する企業は、ITの力を活用して、新しいアイデアを実現する役割を果たしていく必要がある。経済活動の全てにおいてITへの依存度が高まっているのである。

「そこで重要な設問が出てきます。それはIT部門が、アイデアやアプリケーションをいち早く市場展開できるのかという点です。これまでIT部門にはコスト抑制が求められていましたが、これからは『バリュークリエイター』となり、従来のサービスと新サービスをつなぐ存在へと変革することが求められています。その変革のパートナーとして、HPは、経験とノウハウ、ビジョンを備えており、お客様を成功に導く重要なパートナーになれます」と強調した。


「Transform」「Protect」「Empower」「Enable」4つの領域で変革をサポート

続けてジム・メリットは、先に紹介された変革をサポートする4つの領域――「Transform」「Protect」「Empower」「Enable」について解説。「この4つがHPの戦略の核を構成しています。ITはより大きな価値を創造しなければなりません。HPはこのすべての領域に対応する力、実装する力、管理する力を備え、全世界で提供可能です」と強調した。

「『Transform』における重要なテーマは、ハイブリッドインフラストラクチャへの変革です。ポイントは2点、効率性を改善してレガシーインフラのコストを抑制すること。さらに、クラウドベースのインフラを導入し、その上でより早くアプリケーションを展開することです」

具体的には、統合(コンバージョン)と仮想化、自動化とオーケストレーションによる継続的デリバリー、AP/サービスによるブローカーへの変革、ビジネスソリューション開発者への支援、という4つのステップを用意する。事例としてビデオで紹介したデルモンテ社では、1年半掛けても無理だと考えられていたハイブリッドインフラストラクチャを、わすが8カ月で実現したという。




「次のテーマは『Protect』です。脅威がますます深刻化する中での企業のデジタルデータの保護です。競合他社よりも速く動くには、リスクを取っていかなければなりません。だからこそ、エンタープライズクラスのセキュリティが重要になります。アプリケーションとデータを保護するだけでなく、あらゆる場所、あらゆるデバイスにおけるユーザーのデータのやり取りといったインタラクションの全てをプロアクティブに保護し、事業継続のためのバックアップを取得することが重要です」

ジム・メリットは、具体的なステップとして、リスクの把握、デジタルインタラクションの保護、セキュリティ侵害の検出/管理、継続性と可能性の確保を挙げた。さらに、日本の大手メーカーの事例として、HPが「ArcSight Enterprise Security Management (ESM)」を使った包括的かつリアルタイムのセキュリティを実現したことを紹介した。



「第3のテーマ『Empower』では、データ志向型組織への変革がポイントです。多くのお客様が、ビッグデータにどう取り組むべきか悩んでいます。HPは『ビッグデータワークショップ』を提供しており、お客様はこれを通じてデータアナリティクスのプラットフォームを利用することができます。そして社内外で、新しいアナリティクスツールがどれだけ効果的かを判断できます」

顧客がすでに利用している複数のデータウェアハウスを、1つのソースに統合させる必要がある。HPは、「HAVEn」と呼ばれるリファレンス・アーキテクチャーをもとに様々な課題に応えることができるという。また、データから洞察を得るためのツールとしては「HP Vertica」「HP Autonomy」を提供。事例として紹介されたDeNAは、HP Verticaによって顧客データのタイムリーな分析を実現しサービスの配備を迅速化させたという。




「最後のテーマは『Enable』――ワークプレイスの生産性向上の実現です。ITのインフラを改革し、エンタープライズを安心・安全なものに変えて、データをシングルビューで見ることができるようにしても、最後の一歩を成功させなければ、それまでの努力は水の泡になってしまいます。重要なことは、魅力的なアプリケーションを通じて社員とお客様とをつなぐことです。『アイデアの経済』は、一貫されたエクスペリエンスのうえに成立しているのです」

具体的には、「あらゆる場所、デバイス、時間への対応」、「シームレスなコミュニケーションとコラボレーション」、「ワークフローの自動化と変革」、「ユーザーエクスペリエンスの向上につながるアプリケーション」をロードマップとして示し、「HPはこれらすべての領域でソリューションを提供し、モノとヒトをつなぐことができます」と話した。紹介されたのは、秋田県湯沢市の事例である。



ジム・メリットは、「HPは、コスト削減からバリュークリエーションへの変革をご支援し、『Time to Value』の方程式の中でお客様を成功に導きます。ご紹介したポートフォリオの中から、お客様は自由に選択し、お客様に合ったやり方で変革に取り組むことができます」と強調して、基調講演を締めくくった。

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スポットライトセッション:

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