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ヤマハモーターソリューション、ヤマハ発動機グループの
業務基盤を全面オープンソース化へ

ヤマハモーターソリューション株式会社

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ヤマハモーター
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HPEの標準化コンサルティングを利用して、グローバルなIT競争力を持つオープンソース基盤を構築。

「拠点ごと、または業務領域ごとにバラバラに構築されたITシステムを、いかに標準化し、統合していくかが、長年の課題でした」

ヤマハモーターソリューション株式会社
代表取締役社長
鈴木満義 氏
お客様背景
ソリューション
効果と今後の展望
会社概要

目的

アプローチ

世界各地における拠点のシステム群の標準化、統合化を推し進めるため、移植性、保守性、信頼性に優れた基幹業務システムを新規開発する。
HPEのオープンソース導入支援サービスを最大限に活用することで、基幹業務基盤としての信頼性を確保しながら、費用対効果の高いオープンソース基盤の構築をはかった。

導入効果

ビジネスの成果

商用アプリケーションの保守切れの問題からの脱却
オープンソース全面採用によるライセンス費用の削減
HPE技術支援による信頼性の確保
拠点展開を容易にする移植性の向上
拠点導入時の工数を削減する保守性の向上
システムライフサイクルを通じた信頼性の向上


お客様背景

グローバル経営を支える標準システムを
ヤマハモーター ソリューション株式会社 代表取締役社長 鈴木満義 氏
ヤマハモーター
ソリューション株式会社
代表取締役社長
鈴木満義 氏

ヤマハ発動機グループは、日本を代表するグローバル企業の一つである。約140社のグループ会社のうち海外企業は80社以上、グループ全体の海外売上比率も9割近い。このグローバル活動を支えているのが、ヤマハ発動機のシステム子会社であるヤマハモーターソリューションだ。ヤマハ発動機のプロセス・IT部が立案するIT戦略をシステム構築、運用によって実践するITソリューションカンパニーである。

今回、ヤマハ発動機は、全世界のグループ企業の基幹業務システムを全面刷新するという。新たな標準システムの開発を担当するヤマハモーターソリューションの鈴木満義社長に、基幹業務システム刷新の背景を伺おう。なお、鈴木社長は、社長就任前はヤマハ発動機本社のプロセス・IT部の部長として、このプロジェクトを推進してきた方である。

「拠点ごと、または業務領域ごとにバラバラに構築されたITシステムを、いかに標準化し、統合していくかが、長年の課題でした」

海外子会社の中には、独自の情報システムを使っているところも多い。データの構造や定義が異なるシステムが混在するため、グループ全体の経営データが必ずしもリアルに、かつ詳細に得られなかったという。拠点独自の情報システムが、グローバル経営の障害になっていたのである。

「この状況を打破するために、各拠点が利用する標準的なシステムを新たに開発することにしたのです」

目指すのは、業務の壁を超えてデータを一元管理し、グループ全体の業務プロセスや情報の流れを最適化するシステムである。まさに「ヤマハERP」というべきこの標準システムを市販のERPパッケージではなく、Javaを用いて自社開発する。長年にわたって内製主義を貫き通してきたヤマハ発動機にとっては、蓄積した業務ノウハウを最大限に生かせる内製システムの方が、効率的で低コストの開発が可能だという。

「開発のポイントは、移植性と保守性です」

まず、移植性。標準システムは、どのような条件の拠点にもスムーズに導入できなければならない。従来の業務システムは、ハードウェアやOS、ミドルウェアなどへの依存性が高く、異なる環境の拠点に移植しようとすると多大な手間と人員が必要だったという。アプリケーションフレームワークなど、環境の変化を吸収するしくみが必須だった。

そして、保守性。標準システムの導入拠点が増えれば、その保守コストも増大する。“痒いところに手が届くサービス“のために複雑なアプリケーションを構築していた従来の開発スタイルを改め、保守性を重視することで、保守コストを削減しなければならなかった。

「もちろん、基幹業務システ ムとしては、高い信頼性が大前提でした」

移植性、保守性、信頼性を備えた標準システムの構築に向けて、当時本社プロセス・IT部長だった鈴木社長を中心としたイニシアチブがスタートした。2007年のことだった。


オープンソースという選択
ヤマハモーター ソリューション株式会社 事業マネジメントセクタ アーキテクチャ統括部 統括部長 古嵜智志 氏
ヤマハモーター
ソリューション株式会社
事業マネジメントセクタ
アーキテクチャ統括部
統括部長
古嵜智志 氏

作業は、アプリケーションフレームワークの検討、構築から始まった。2008年には、その上で稼働するアプリケーションの開発がスタート。この時点では稼働環境は商用製品を想定していたが、2009年に当初の目的に照らして稼働環境の再検討を行なったという。その結果、システム基盤として、オープンソースソフトウェアを全面採用するという方針が打ち出された。ヤマハモーターソリューション事業マネジメントセクタアーキテクチャ統括部部長古嵜智志氏に、オープンソース採用の目的をお聞きしよう。

「第一に自由度の確保です。商用製品の保守切れという問題から脱却したかったのです」

標準システムを展開しようとしても、保守期限が来ればその前にバージョンアップ作業をせざるを得ない。結果として計画は遅れ、グローバル展開は阻害される。このような状況は極力避けたかったと、古嵜部長は語る。

「もう一つは、ライセンス費用の削減です」

小さな拠点でも使えるためには、システムコストは極力抑える必要がある。さらに、リーマン・ショック以降は、ITシステムにはさらなるコスト削減が求められていた。ライセンス費用の削減は大きなテーマだったのである。

検討の結果、OSはRed Hat Enterprise Linux (RHEL) 、データベース管理システムはPostgreSQL、さらにJ2EEベースのアプリケーションサーバーとして実績のあるJBossの採用が決まった。

基幹業務に適用する上で、信頼性はどのように確保していったのだろうか。

「開発・検証過程で、ヤマハ発動機の実際の利用状況に基づいて問題を洗い出し、潰し込んでいきました。さらに、導入時の設定や運用時の対応において実績とノウハウを持ったパートナーの協力を仰いだのです」

選ばれたのは、HPEのテクノロジーコンサルティングチームだった。ミッションクリティカルな企業システムにおけるオープンソース導入の実績とグローバルな技術展開が評価されたという。

HPEのコンサルティングチームは、まずオープンソース標準化コンサルティングサービスを提供した。とくに重要なのはソフトウェア設定である。HPEは、豊富な経験に基づき、安定性と性能を両立させる最適な設定を提示した。これにより、各拠点に標準システムを展開するときも、高信頼の環境を構築できるようになったという。

運用時の技術支援も頼りになった。通常時は、新しいリリースやセキュリティアラート、バグの報告などをきめ細かにチェックして、適応のための助言をする。万一の障害時には、様々な要因を分析し、スピーディーで適切な技術支援でサービス復旧を強力にサポートするのである。

2009年11月からのHPEの参加によってWebサーバー、アプリケーションサーバーのソフトウェア標準構成が決定され、標準システムへの移行が始まった。全世界に広がる拠点の中で、最初に標準システムが適応されたのは、東南アジア各国の拠点業務システムだった。

次世代アーキテクチャーのねらい

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ソリューション

システムの信頼性を支えたHPEの技術支援
ヤマハモーター ソリューション株式会社 事業マネジメントセクタ アーキテクチャ統括部 アーキテクチャグループ 坪井健太 氏
ヤマハモーター
ソリューション株式会社
事業マネジメントセクタ
アーキテクチャ統括部
アーキテクチャグループ
坪井健太 氏

東南アジア各国の拠点業務システムでは、販売物流系のシステム、サプライヤーやディーラー向けシステムが、JBossを中心とした標準システムに順次置き換えられていった。

これらのシステムが実際に置かれているのは、シンガポールデータセンターである。オープンソースによるインフラ環境構築のため、現地に赴いた事業マネジメントセクタアーキテクチャ統括部アーキテクチャグループ坪井健太氏は、いざというときにHPEのコンサルティングチームに助けられたという。

「トラブルが出てしまったのですが、HPEの迅速な対応によって無事解決できました。アプリケーションの稼働予定が迫っていたのですが、お陰様で間に合いました」

その早いレスポンスの背景には、オープンソースに限らずハードウェアやOS、ミドルウェアなどの豊富な技術経験があるのではないかと、坪井氏は推測する。通り一遍のQ&Aレベルの対応ではなくて、ソースコードにも踏み込んだピンポイントで的確なアドバイスが、時間のない中では非常に有効だったとのことである。

古嵜部長は、さらにHPEの技術支援の他社にないメリットを語る。

「パフォーマンス改良のためにJBossにパッチを当ててもらったのですが、HPEはコミュニティーに働きかけJBossの最新版にそのパッチを取り込んでくれたのです」

オープンソースの改良を自社版だけに留めず、オープンソース自体に反映させることで、ユーザーは改良箇所を気にすることなく、利用を継続することができる。オープンソースのコミュニティーに強い影響力を持つグローバル企業HPEならではのメリットだと、古嵜部長は語る。

現在、シンガポールでは、100近いサーバー上で、標準システムが稼働している。それらは、インドの拠点から遠隔監視されているが、従来のシステムと比較して非常に安定して稼働しているという。

「我々は伝統的にUNIXの上で商用データベースを使って品質を担保してきたわけですが、実際にオープンソースを導入してみるとその信頼性は、商用製品と比べても遜色がない。運用負荷も減っています。オープンソースを使っても、信頼性は作りこんでいけることを証明できたといえるでしょう」(鈴木社長)

今後、東南アジア各国の拠点業務システムでは、サービスパーツ系のシステム、生産系システムが順次標準システムに移行するという。日本国内では、製品開発系システムの移行が予定されているとのことである。




効果と今後の展望

HPEをパートナーに全世界展開へ
日本ヒューレット・パッカード株式会社 テクノロジーコンサル ティング統括本部 シニアコンサルタント 水野浩典 氏
日本ヒューレット・
パッカード株式会社
テクノロジーコンサル
ティング統括本部
シニアコンサルタント
水野浩典 氏

標準システム構築プロジェクトは、まだその端緒についたばかりである。今後、地域的にはアジア各地を経て、アジア、中国、ヨーロッパ、アメリカなどへ順次拡大し、利用するオープンソースもESB (Enterprise Service Bus) 領域やメッセージング領域、認証系、シングル関係などに広げていくという。2020年頃を目標に、グローバル経営を支える標準システムの完成めざすと、鈴木社長は語る。

最後に、皆さんから一言ずつ頂戴しよう。まず、古嵜部長から。

「HPEの知見をいただきながら、移植性と保守性をさらに高めていきたいと思います。今後グローバルに展開していくときには、HPEのグローバルなサービス提供力に期待したいですね。また、他のユーザー企業とオープンソースについての知見を共有する上でのコーディネートもお願いしたいと思います」

坪井氏は、オープンソース環境での現象の再現性についての悩みを打ち明けた。

「本番環境で何かしらの現象が発生しても、それを再現するのが難しいのです。本番環境で再現するわけにはいかないし、それと同じセットの環境を用意するのもコスト的に大変です。これを何とか解決する方法を提示していただけたらありがたいですね」

日本ヒューレット・パッカードテクノロジーコンサルティング統括本部データセンターソリューション第一本部 コアテクノロジー部シニアコンサルタントの水野浩典氏は、HPEに寄せられる期待に全力で応えていくと語る。

「私たちHPEのコンサルティングチームは、開発者出身のメンバーが自らの経験を生かしながら、お客様の課題にきめ細かくお応えしてきました。今後、さらに多くのお客様の元で得たノウハウをフィードバックすることで、我々自身のサービスレベルを向上させ、より幅広い問題に対応していきます。もちろん、アジア、パシフィックをはじめ、ワールドワイドのサポートについてもお力になりたいですね」

最後に、鈴木社長。

「最初に標準システムを提唱したときは、具体的な技術イメージは持っていませんでした。ヤマハモーターソリューションやHPEのメンバーと出会い、検証していく中で、オープンソースをベースに移植性、保守性を備えた次世代の標準システムへの確信が持てたのです」



ソリューション概略

HPEサービス
・ JBossAS標準化コンサルティング
・ RHEL/CentOS標準化コンサルティング
・ PostgreSQL標準化コンサルティング
・ オープンソースソフトウェア製品に関するテスト・運用技術支援

会社概要

ヤマハモーターソリューション株式会社
所在地: 静岡県磐田市岩井2000-1
代表取締役社長: 鈴木 満義
URL: http://www.ymsl.jp/このリンクをクリックすると、HP社外へリンクします。

事例キーワード

業種: 基幹業務システム
  JBoss Red Hat Enterprise Linux


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