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グローバル安全性データ管理システム構築事例

武田薬品工業株式会社

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武田薬品工業株式会社
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安全性データ管理システムをグローバル化
世界企業として飛躍するための基盤を築く

医薬品メーカとして国内トップのポジションにある武田薬品工業。ここではグローバル化への取り組みの一環として、医薬品の安全性データを管理するシステムが再構築されている。以前は各国で独自に構築していたシステムを、米国ARISグローバル社のパッケージ「ARIS」によって統合することで、日米欧の三極をカバーするグローバル・システムを作り上げたのだ。システム・インフラとしては、1992年から社内標準UNIXになっているHP-UXを採用。停止することが許されないシステムを、高い信頼性によって支え続けている。

事例キーワード

製品: HP 9000サーバHP ProLiant
業種: 製造業/医薬品
ソリューション: 企業情報インフラ
ビジネスの背景
システムの課題
システムの構築
システムの効果
会社概要
PDF(143KB)
武田薬品工業株式会社

ビジネスの背景

グローバル化を加速する国内トップの医薬品メーカ

櫻井靖郎氏
  医薬開発本部
国際医薬情報室
主席部員
櫻井靖郎氏
グローバル化への動きが、今あらゆる業界で進みつつある。すでに市場はひとつの国や地域に閉ざされたものではなくなり、世界中のあらゆる市場に、あらゆる国から商品が流れ込んでくるようになってきた。世界を相手にした商品を開発できなければ、市場での競争に勝ち抜くことができない時代に突入しているのだ。

その動きが特に顕著なのが医薬品業界だろう。その背景には新薬開発に必要な投資額の急増がある。ひとつの新薬を市場に送り出すためには、以前は10年程度の期間と100〜200億の投資を費やすのが一般的だったと言われているが、最近ではこれが大きく跳ね上がっているのだ。例えば国内トップの医薬品メーカとして知られている武田薬品工業では、年間約1300億円の研究開発費を投じるようになっている。これだけ莫大な投資を国内市場だけで回収することは難しい。はじめから世界市場を意識したビジネスを展開しなければ、新薬を開発することすらできなくなっているのである。

このような観点から、武田薬品工業では積極的なグローバル化戦略が進められてきた。同社は以前からも海外展開を行っていたが、1990年代になってからその取り組みを本格化。さらに1995年からは全社を挙げてグローバル化を推進している。売上比率も10年前は国内市場向けがほとんどだったが、2000年は7割近くが海外市場向けになっている。

ビジネスのグローバル化を進めていくには、ビジネスを支える情報基盤もグローバル化していく必要がある。そのひとつが製品に関する安全性データの収集である。

「安全性データとは医薬品の安全性を確認するためのデータで、薬を使用した際に起こった望ましくない症状(有害事象)のデータを広く収集することが重要です」と、武田薬品工業株式会社医薬開発本部国際医薬情報室で主席部員を務める櫻井氏は説明する。個々のケースでは該当医薬品との関連性がないと判断された症状でも、データの積み重ねによって薬の副作用を疑う必要が生じる場合もある。医薬品メーカとしては早期に副作用の可能性を見出して、対処する責任があるのだ。医薬品を市販するにあたっては、事前の試験で安全性に関する十分な調査が行われている。これに加えて市販後の「安全性データ」に関しても、メーカが企画する調査や医師からの報告によって収集が行われているのである。

発売後の安全性データをきちんと収集・レポートできる体制を整えることは、医薬品メーカとしての社会的責任を果たす上で不可欠であることは言うまでもない。もちろんこれは行政上のルールとしても定められている。たとえば日本では医薬品メーカが日本国内で副作用の情報を入手してから、15日以内に厚生労働省に報告しなければならないケースがある。また米国でも15日以内の報告義務があるが、こちらは情報を入手した場所は問われないため、日本以上に厳しい規定になっているといえる。

医薬品を世界市場で販売するには、このような安全性データを世界中から収集し、万一副作用が見つかった場合には、それが世界のどこで発生したかに関わらず、対応や報告を迅速に行える仕組みが求められるのだ。

システムの課題

世界からの迅速な情報収集のため安全性データ管理システムをグローバル化

矢野寿氏
  医薬開発本部
国際医薬情報室
課長代理
矢野寿氏
武田薬品工業ではすでに1980年代から、メインフレームをベースにした医薬品再審査システム「MEDIS」を利用しており、1992年には安全性データの収集・蓄積を行う「TRAC」というシステムを構築している。さらに1994年にはこの両システムを統合した「MEDIS-TRAC」も立ち上げており、安全性データ収集のIT化に積極的に取り組んできた。このように武田薬品工業では、以前から安全性の管理に力を入れてきたのである。しかしこれらのシステムは基本的に国内での利用を前提としたもので、グローバル化への対応は十分ではなかった。もともとMEDISは国内向けのシステム。またTRACは海外の安全性データも蓄積できるようになっていたが、オンラインで入力できるのは日本国内に限られていた。そのため海外での安全性データ管理は、各国の現地法人が個別に構築していたのである。
 「このままではグローバルな安全性データ収集を迅速に行うことは困難です」というのは、武田薬品工業株式会社医薬開発本部国際医薬情報室で課長代理を務める矢野氏だ。たとえば海外からの安全性データをMEDIS-TRACに蓄積する場合、海外からFAXで情報を送ってもらい、日本側でオンライン入力を行う必要があった。情報伝達に時間がかかる上、入力時の疑問点などをクリアするための海外とのやりとりにも手間がかかっていたという。

 もちろん海外のシステムで入力されたデータを転送し、データ変換してMEDIS-TRACに格納するという方法も実施されたが、この方法にも限界があった。海外のシステムとMEDIS-TRACではデータ入力の項目や入力ルールに違いがあり、この違いをカバーするにはどうしても人手によるデータ修正や項目の追加が必要だったからだ。そのため海外で情報を入手してからシステムに反映されるまで、1〜2日のタイムラグが生じていたのである。「世界中どこで情報を入手した場合でも、副作用に関する報告を15日以内に行うというルールに対応するには、海外とのデータのやりとりやデータ再入力に時間をかけている余裕はありません。世界中からオンラインで情報を集め、リアルタイムに活用できる情報基盤が必要なのです」

 そこで武田薬品工業が着手したのが、グローバル化を目指したMEDIS-TRACの再構築だった。本格的にプロジェクトがスタートしたのは1997年。世界各国のキー・パーソンと国際ミーティングを行うことでグローバルなコンセンサスを作り上げていきながら、システムに対する要件を明確化していった。システム構築の前提条件としてはパッケージの利用を掲げ、グローバルに活用できるパッケージ製品を選定。最終的に米国ARISグローバル社の「ARIS」の採用を決定する。

図:武田薬品工業における医薬品安全性データ管理システムの変遷
  図1:武田薬品工業における医薬品
安全性データ管理システムの変遷
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まずは1999年中に、日米欧それぞれで今まで利用していた独自システムをARISをベースにしたものに切り換えた。この時点で日本と欧州の関係会社が、ARISをベースにしたグローバル・システム「T-GAEA」の利用を開始している。さらに2001年3月には米国の2社のシステムも統合し、日米欧グローバルなオンライン接続が実現された。これによって現在では、欧米から報告されるデータを日本の武田薬品本社においてリアルタイムで把握でき、欧米の各拠点にも必要な情報が最速で伝達されるようになっている。



システムの構築

グローバル・パッケージとしてARISを選択サーバは社内標準UNIXであるHP-UXを採用

石倉淳史氏
  情報システムセンター
情報技術グループ
課長代理
石倉淳史氏
ARISを採用した最大の理由は、日本・米国・欧州の三極体制に対応できる唯一のパッケージだと判断したからだ。この製品は元々は日本語に対応していなかったが、ARISグローバル社は武田薬品工業と共に日本語化を実施し、日本語化パッケージ「ARISj」を開発する。武田薬品工業ではこのARISjと、グローバル向けパッケージである「ARISg」の両方を導入。ARISをベースに日米欧すべてに対応したグローバルシステムを作り上げたのは、武田薬品工業が世界でも初めてだという。

システム・インフラについては、当初からHP-UXServerの採用が決まっていたという。武田薬品工業ではTRACを構築する際に複数のUNIXサーバを比較検討し、この時にHP-UX Serverを採用して以来、これを社内標準UNIXにしているからである。これまでにもSAP R/3を利用した基幹系システム、臨床データ管理システム、MR(営業担当者)支援システム、人事システム、メール・システム、分析系システムといった主要なシステムにHP-UX Serverを採用。現在までのHP-UX Serverの導入総数はすでに40〜50台に上っている。

武田薬品工業株式会社情報システムセンターで情報技術グループの課長代理を務める石倉氏は「HP-UX Serverはきわめて信頼性が高く、安心して使うことができます」という。TRACの構築から約10年間、様々なシステムで活用してきたが、業務に支障を来すようなトラブルはほとんど発生していない。「以前はメインフレームで行っていた処理も、現在ではかなりの部分をHP-UXに移行しています。特にデータベース・サーバはほとんどがHP-UXですね。今回のシステムではWindowsNTも検討対象になりましたが、可用性の高さが必要なシステムということでHP-UXの採用を決定しました」

図2:T-GATEシステム概要
  図2:T-GATEシステム概要
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システム概要は図に示す通り。複数のデータベース・サーバとアプリケーション・サーバによって構成されているが、これらの中でも最も高い信頼性が要求される「Global AE Database」(AEとは“Adverse Event”の略で有害事象を意味する)と、日本国内の「AE Database」にはOracle8iとHP-UX Serverが利用されている。日本国内の「AE Database」に使用されているモデルはrp7400である。パッケージとアドオンシステムのインテグレーションは新日鉄ソリューションズが担当。HPとも強いリレーションシップを持ち、数多くのOracle/HP-UXシステム構築に携わっている。またARISの導入・カスタマイズに関しては、ARISの日本代理店であるCTCラボラトリーシステムズが実施している。



システムの効果

国際的な安全性データ収集を迅速化、海外とのディスカッションも深まる

HP Server rp7400
  HP Server rp7400
T-GAEAによって安全性データの収集・活用のスピードは飛躍的に高まっている。FAXによるデータのやりとりや日本での再入力といった作業が不要になり、海外からの情報がリアルタイムでシステムに反映されるようになっているからだ。しかしT-GAEAの効果はこれだけにとどまらない。社員の意識やコミュニケーションのあり方、さらに仕事のやり方そのものを、これまで以上にグローバル化するというメリットももたらしているのである。

「安全性データの収集はレギュレーション(規制)への対応という意味もありますが、それ以上に重要なのは安全対策を的確かつ迅速に行うことで、医薬品メーカとしての責任を果たしていくことです」と櫻井氏。「世界中が同じシステムを使うことでグローバルな議論が深まり、安全性データの本質も見えやすくなった。これによってこれまで以上にきめ細かい対策が可能になっています」

情報システムのグローバル化は、グローバルなビジネス展開の必須条件だ。T-GAEAは武田薬品工業が世界企業として活躍するためのインフラとして、極めて重要な役割を担っているのである。


武田薬品工業株式会社 会社概要

所在地: 大阪府大阪市中央区道修町4-1-1
代表取締役社長: 武田國男
資本金: 635億4097万円
設立: 1925年(大正14年)
事業内容: 医薬品、食品、農薬、生活環境製品等の製造・販売。
URL: http://www.takeda.co.jp/

  本ページに記載されている情報は2003年1月時点のものになります。
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