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株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント

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3台のAlphaServerのOpenVMS Cluster構成と工程管理パッケージ「PPROMIS」の活用で、「グラフィックス・シンセサイザ」の生産システムをわずか4ヶ月で稼動

株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント(以下:SCEI)の『プレイステーション 2』(以下:PS2)」は、その驚異的な画像表現能力と「プレイステーション」ソフトとの下位互換性、DVDビデオの再生機能などが高く評価され、2000年3月4日の発売以来、大変な人気を博しています。 PS2の世界展開を推進するSCEIでは、優れた画像処理能力でPS2の優位性を支える描画プロセッサ「グラフィックス・シンセサイザ」の生産拠点として、1999年11月に長崎県諫早市に新工場(Fab1)を開設。わずか4カ月という短期間で生産システムを立ち上げた秘密の背景には、OpenVMS Clusterによって統合された3台のAlphaServerと工程管理パッケージ『PROMIS』の貢献がありました。
ビジネスの背景
システムの課題
システムの構築
システムの効果
会社概要
諫早市にあるFab1の外観
諫早市にあるFab1の外観

事例キーワード

製品: AlphaServer / OpenVMS
業種: 製造業:電機・半導体
ソリューション: CIM・MES

ビジネスの背景

グラフィックスの新世界を切り拓く「グラフィックス・シンセサイザ」

現在、グラフィックスの世界では、従来のCGの限界を超えたより活き活きとした「肌触り感」のある世界が求められています。また、ビジネスや家庭でも、インターネットの普及やデジタルTVなどの登場を目前にして、文字情報や音声、動画像などを複合的に活用したマルチメディア・コンテンツを楽々と処理できる情報プラットフォームが待望されています。
そのためには、グラフィックス処理のための膨大な演算を極めて高速に実行し、すべての画像データをリアルタイムに生成しながら、画像として可視化する必要があります。新世代コンピュータエンタテインメント・システムとして登場したPS2に搭載された「グラフィックス・シンセサイザ」は、そうした要求を満たした画像処理プロセッサです。


システムの課題

構築期間の圧縮と安定性、信頼性をキーワードにパートナーとしてHPを選定

SCEIは、PS2の導入に先駆け、PS2の優れた画像処理能力を支える描画プロセッサ「グラフィックス・シンセサイザ」生産のため、長崎県諫早市に0.18ミクロン世代のDRAM混載プロセス技術を実現した半導体生産拠点Fab1を新設しました。PS2向け「グラフィックス・シンセサイザ」の生産は、PS2導入当初は、ソニー・グループの半導体生産拠点であるソニー国分株式会社で行われましたが、2000年夏以降は全面的にFab1に移行する予定です。
 Fab1立ち上げを推進した三島統括課長は、「グラフィックス・シンセサイザ」の生産開始に至る過程を次のように語ります。
 「Fab1の立ち上げプロジェクトの目的は極めて明確でした。すなわち、99年11月1日までにラインを稼動させるということです。もちろん、ここは『グラフィックス・シンセサイザ』を中心とした少品種の最先端半導体の生産に特化した工場ですので、高頻度な規格変更の下で多品種小ロット生産への対応を迫られる一般の半導体工場と比べれば、ライン構成は比較的シンプルなものとなります。

「グラフィックス・シンセサイザ」の回路写真
  「グラフィックス・シンセサイザ」の回路写真
しかし、半導体工場の製造工程管理システムは、通常構築から稼動までに1年〜1年半を要するというのが、業界の一般的な常識となっています。これに対して今回は、半年以内に工場を立ち上げるという非常に厳しいものでした」
 そこで、工程管理システムの構築に当たって、厳しいコンペティションによるパートナー選びを実施。数社からの提案を検討した結果、長年の歴史のなかで高い信頼性が実証されているHP OpenVMSと、64bit・コンピューティングならではのハイパフォーマンスを実現するHP AlphaServerのパワーを背景としながら、世界的に幅広い実績を誇る半導体の製造工程管理パッケージ『PROMIS』(米国PRI Automation社)をベースにしたシステム提案を行ったHPが選定されました。
 『PROMIS』は、生産環境のなかでリアルタイムなデータ運用を実行、極めてクリティカルな生産プロセスやワークフローを管理することによって、生産の最大化とコストの低減化、さらに設備の最大有効活用などを生みだす半導体製造に特化したMES(Manufacturing Execution System)パッケージです。
 「先ほど申し上げたように、Fab1のラインは『グラフィックス・シンセサイザ』を中心とした少品種の最先端半導体を製造するという比較的シンプルなものですが、それだけに生産管理システムは、安定した運用性はもちろん、各プロセスごとに適切な手順が遵守され、同時に歩留まりの向上などを保証してくれるものでなければなりません。

三島 一孝 氏
  Fab1管理部 システム課
統括課長
三島 一孝 氏
したがって、最新アーキテクチャを駆使したチャレンジャブルなものである必要はありませんが、何よりも安定性が約束された『枯れた存在のシステムでなければならない』と考えました。その意味では、世界の半導体製造現場で多くの実績を築いているAlphaServer+OpenVMSと『PROMIS』の組み合わせは最適な提案でした。また、導入に際しては二度にわたって、同様なシステムのユーザである台湾のメーカなどへの視察を図りましたが、そのおかげでこれから導入するシステムに対する確信を一層強めました」
 また、カスタマイズに伴うリードタイムの増加や無用のトラブルを避ける意味からも、極力パッケージに手を加えることなく、そのままの形で適応を図る「Copy Exactly」を方針化。各現場でも、まずシステムに準じた業務手順を築くことによって工場の早期立ち上げを行うために、一丸となった協力体制を確立しました。


システムの構築

AlphaServer3台によるクラスタ構成で、「グラフィックス・シンセサイザ」の安定生産を保証する万全の冗長性を確保

前工程・後工程用に設置された3台のAlphaServer 1200とストレージ群が、「グラフィックス・シンセサイザ」チップの 24時間×365日の安定生産を支えている
  前工程・後工程用に設置された3台のAlphaServer 1200とストレージ群が、「グラフィックス・シンセサイザ」チップの 24時間×365日の安定生産を支えている
今回構築された、工程管理システムの基本コンセプトは「後工程に不良を流さないこと」でした。つまり、各プロセスにおける装置制御を徹底させ、作業ミスを徹底して排除することを目指したのです。
 そこで、まずエンジニアの意図に従ってワークフローを築き、それに沿って『PROMIS』上で日々の管理を実行。同時に、各現場からの装置の情報を取り込む仕組みを築いたのです。
 ここでHPは、各プロセスにワークフローに従った作業手順を反映させるために、それぞれの製造条件やデータを記述するツール『Expeditor』を提案。『PROMIS』とのインターフェイスをとることによって、各プロセスの履歴を取り込み、製品評価に反映する仕組みを築きました。

「7月から『PROMIS』による工程管理システムの構築をスタートし、8月中旬から約1カ月間で『Expeditor』との連携を図りました。通常、システムの中間チェックは、クレームの洗い出しといった傾向が強いのですが、10月の中間評価では大きな問題点もなく、11月1日のカットオーバーに向かって予想以上の進捗が図られていたのには本当に驚かされました」
 また「グラフィックス・シンセサイザ」は、PS2の優位性を実現する心臓部ともいえる存在です。したがって、24時間×365日無停止で安定生産を続ける体制が重要なポイントとなります。万一システムにトラブルが発生した場合にも、生産ラインに影響を与えない冗長性が必須条件でした。

各工程の状況を監視する モニタリング・サーバのProLiant 1600
  各工程の状況を監視する モニタリング・サーバのProLiant 1600
半導体を製造する場合、前工程はロット単位、後工程ではチップ単位となり、生産管理の捉え方が大きく異なります。また、前/後工程間の生産スケジュール面でのタイムラグもあり、工場の立ち上げ時期にも相違がありました。
 そこで本システムでは、前工程と後工程のそれぞれに、専用サーバとして『PROMIS』を載せたAlphaServer 1200を2台、そしてそれらをバックアップするAlphaServer 1200をもう1台用意。さらに、万一トラブルが発生した時に備えて、残りの稼動しているサーバがタスクを即座に受け継いで、そのまま処理を継続することができるよう AlphaServer 1200×3台によるクラスタ構成を組みました。
 「実は、別のチップを生産しているソニーグループの米国における半導体工場でも、以前から『PROMIS』を載せた複数のAlphaServerで、OpenVMS Clusterによる冗長構成がとられており、高い実績を築いていました。

そのなかで、各種の工程情報をそのまま『PROMIS』から取り込み、リアルタイムな仕掛かり状況やラインの状態を、Web上で提供する『Real Time Reporter』というツールが活用されていることを知りました。このような、サード・パーティによる周辺システムが数多く用意されている点も、業界のデファクト・スタンダードを築いている『PROMIS』の魅力です。
 そこで、Fab1でも早速このツールの導入を図ろうと考えました。11月1日の本システムのカットオーバと同時に導入を進めましたが、わずか3日後には実稼動させることができました。これも今回のシステム構築での『Copy Exactly』というポリシーが功を奏した結果です」

システムの効果

さらに高い信頼性を背景として、システムのさらなるブラッシュアップを

こうして、同工場の工程管理システムは、わずか4カ月という驚異的なスピードで構築を完了しました。ちなみに、『PROMIS』との連携によって各工程の状況を監視するモニタリング・サーバ群には、HP ProLiant 1600、また各装置からのデータ収集用クライアントにはHP Deskpro EN SFが活用されています。
本システムは、現在までシステム的にも、また製品品質上でも完全なノートラブル運用を行っており、同工場の生産環境に大きく貢献しています。目下SCEIでは次の段階として、システムのさらなるブラッシュアップを進めている最中です。
「まず当面のミッションは、『PROMIS』を核としたこのシステムを、新規工場の垂直立ち上げや生産環境向上を支えるトータル・システムとして磨き上げることです。そして、先ほどもお話しした『Copy Exactly』を実現するものとして、他工場でも即座に活用できるよう本システムをパッケージ化していきたいと思っているのです」
当初はFab1の早期立ち上げが至上命令であったため、『PROMIS』をカスタマイズしないことを前提としてきました。しかし現在、次のステップとして歩留まり向上と生産のスピードアップを両立させるために、不足している機能は何かを洗い出す作業に入っています。
 そのために、各工程のキーマンへのヒアリングを行っていますが、よりユーザ・フレンドリな操作性などを求める声も多く、プロジェクトの立ち上げ以来システム構築を主管してきた管理部では、今後それらを反映したカスタマイズを進めていきたいとしています。

今後もより良いシステムづくりを目指すパートナーとして期待

三島統括課長は、短期間でシステムを立ち上げたHPに対する期待を次のように語ります。
「HPには、システム構築過程を通じて『単なるベンダとしてではなく、ともにより良いシステムづくりを目指すパートナーとして関わって欲しい』とお願いしてきました。例えば、『Expeditor』による各プロセス情報の『PROMIS』への取り込みなどは、私たちのシステムが初めての試みだったと聞いていますが、当社の要請に応えるソリューションとして高く評価しています。
また、今後システムのメンテナンスも必要になってきますが、3台のAlphaServerによるクラスタ構成のメリットを活かして、システム全体を止めることなく定期メンテナンスを図ることも可能です。これらに対するアドバイスも含めて、今後もHPが蓄積してきた技術や国際的な実績、さらに『PROMIS』を巡る周辺製品の情報などと私たちの業務知識やノウハウを結合し、ともに一つのビジネス・ゴールを目指す伴走者としてのスタンスを強化していきたいですね」
図1
  図1
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さらに、資産システムと材料仕掛かり情報との結合によって、倉庫を必要としないスムーズな物流制御を図るなど、SCEIの描くシステム構想は、ますます大きく広がり続けています。大きな市場性を有したメガヒット商品PS2の心臓部である「グラフィックス・シンセサイザ」の生産を支える工場として、高い生産性を安定して保持することが求められているFab1には、まさにHP NonStop™ eBusinessの実現が問われています。
 HPは、今後ともより良きパートナーとして、SCEIの生産性向上に貢献する提案を続けていきます。

株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント 概要

所在地: 東京都港区赤坂7-1-1
Fab1:長崎県諫早市津久葉町6-33(取材先)
代表取締役社長: 久夛良木 健
資本金: 19億3,300万円(2000年4月時点)
従業員数: 約1,050名(2000年4月時点)
設立: 1993年11月
事業内容: 家庭用ゲーム機およびソフトウェアの企画・開発・製造・販売
URL: http://www.scei.co.jp/

  本ページに記載されている情報は取材時におけるものであり閲覧される時点で、変更されている可能性があります。予めご了承下さい。  
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