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カブドットコム証券の“1秒保証”を支える低遅延システム

カブドットコム証券株式会社

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システム基盤「インメモリデータグリッド」とパフォーマンスを
最大限に引き出すITインフラ技術による高速化

ディスクI/Oのボトルネックを完全に解消するシステム基盤「インメモリデータグリッド」の採用と共に、最短距離で高速に結ばれたサーバー群、最適化された通信経路など、様々な条件をギリギリまで詰めることによりパフォーマンスを最大に引き出せる。

「HPは、コストを最適化する機器構成の精査など、ITインフラ領域のプロフェッショナルとして設計・実装のノウハウを提供してくれました。ネット証券会社間におけるサービス競争で更なる優位をめざす、私たちはその大きな一歩を踏み出すことができました」

カブドットコム証券株式会社
執行役
事務・システム本部長 兼 システム部長
阿部吉伸氏
お客様背景
ソリューション
効果と今後の展望
会社概要
PDF(2.76MB)

目的

アプローチ

東証・アローヘッド稼働に合わせた「株式売買システム」の強化
個人投資家向け売買サービスの飛躍的な高速化
自社開発システムに基づく革新的なサービスの提供
ディスクI/Oのボトルネックを完全に解消するシステム基盤「インメモリデータグリッド」を採用
すべてのサーバーをHP BladeSystem c7000エンクロージャーに集約し、一括管理
インメモリデータグリッドサーバーを20ギガビット/秒のInfiniBandで接続しメモリ空間上で高速処理
耐障害性とサービス継続を強化し単一障害点を完全に排除
予備機への切り替え迅速化、データ整合性・保護を確実にする仕組みを構築

導入効果

ビジネスへの効果

板乗りまでの処理時間を平均330ミリ秒に短縮
板乗り「1秒保証」を国内証券で初めて導入
低遅延と高い耐障害性を備えたシステム基盤の実現
ネット証券会社間におけるサービス競争で優位に
PTSを含む取引所間連携、アルゴリズム取引への対応
来るべき“最良執行時代”へいち早く対応


お客様背景

株式売買注文の所要時間を表示し“1秒を超えたら手数料を無料”に
カブドットコム証券株式会社 執行役 事務・システム本部長 兼 システム部長 阿部吉伸氏
カブドットコム証券株式会社
執行役
事務・システム本部長
兼 システム部長
阿部吉伸氏
カブドットコム証券株式会社 事務・システム本部 システム部 ITプロフェッショナル・ エバンジェリスト 谷口有近氏
カブドットコム証券株式会社
事務・システム本部 システム部
ITプロフェッショナル・
エバンジェリスト
谷口有近氏

三菱UFJフィナンシャル・グループのネット証券会社であるカブドットコム証券が、「株式売買システム」を刷新した。東京証券取引所の次世代売買システム「アローヘッド」の稼働に合わせ、個人投資家へのサービスを拡充させるのがその最大の狙いだ。投資家から株式売買の指示を受け付け取引所に送信するまでの処理時間を、従来の1/4以下にまで短縮させたという。

「株式売買の注文に対する所要時間をお客様に提示し、“1秒を超えたら手数料を無料”にするサービスを2010年8月から始めました。私たちは新システムの稼働を機に、個人投資家向け売買システムにおいて“板乗り最速”を目指すことを宣言しました」(執行役 阿部吉伸氏)

“板乗り”とは、証券会社の株式売買システムで注文を受けてから、様々な照合処理を経て取引所に送信されるまでのプロセスを指す。東証・アローヘッドが達成した世界最高水準の売買スピードによる恩恵を個人投資家が享受するには、取引を仲介する証券会社の板乗り速度が重要になる。

「お客様から求められたわけではありません。私たちが株式売買システムの開発に独自に取り組み、いかに高速処理を実現するか突き詰めていく過程で“1秒保証”という新しいアイディアが生まれたのです。そして、その実現に向けて全社で取り組み、技術的な確証を得たうえで“1秒保証”を大きく打ち出しました」(阿部氏)

カブドットコム証券は、ネット証券大手5社の中で唯一バックエンドシステムを自社開発していることでも知られる。多彩な自動売買対応サービス、PTS(私設取引システム)への参入、24時間オンライン勘定系自社システムの導入など、革新的なサービスはすべて独自開発のシステムによって支えられている。

「付加価値の高いサービスを提供することと、ITを使いこなすノウハウを持っていることがより緊密に結びつく時代になりました。ITに精通しているからこそ実現できるサービスがある、その確信を具現化することこそ私たちの使命と考えています」(システム部 ITプロフェッショナル・エバンジェリスト 谷口有近氏)

世の中の誰も考えつかなかったことを、ITを使ってサービス提供する――これがカブドットコム証券のアイデンティティであり、彼らの強さを支える不変の戦略とも言えるものだ。



ソリューション

インメモリデータグリッドにより“平均330ミリ秒”を実現

東証・アローヘッドの稼働によって投資家の環境は大きく様変わりした。

「売買の条件が整えば瞬時に約定しますので、取引を有利に成立させるためには発注の処理スピードが極めて重要になります。“カルタ取り”のように一瞬で物事が決まる状況、と言えばわかりやすいでしょうか。証券会社にとっても、新たな売買執行能力の競争が始まったと言えます」(阿部氏)

カブドットコム証券が新たに構築した「株式売買システム」の処理スピードは、平均330ミリ秒(最短100ミリ秒)。従来は平均2秒を要していたので、最大で20倍高速化されたことになる。

「2秒の処理を1秒に高速化するのは、既存の技術だけでも可能だったかもしれません。しかし、2秒の処理を500ミリ秒に、さらに100ミリ秒まで高速化するにはまったく別の技術やノウハウが必要でした」(谷口氏)

遅延を極限まで削減したシステムをいかに構築するか――この課題を解決するために、処理プロセス上のボトルネックが徹底的に洗い出された。

「預かり資産や与信など顧客情報を照会し、銘柄属性や注文明細などと突き合わせる注文処理のプロセスは非常に重い。まず、RDBMSへの問合せ処理に着目しました」(谷口氏)

株式売買システムのアプリケーションは、一度の注文に対して数十回にわたって顧客データベース・注文データベースにアクセスする。他の処理と比較して相対的に低速な磁気ディスク装置へのアクセスが、遅延に影響していることは明らかだった。

「このボトルネックを解消するために、RDBMSへの問合せ処理をサーバーメモリ上にキャッシュする方式を採用しました。『インメモリデータグリッド』と呼ばれる技術です」(谷口氏)

カブドットコム証券が採用したのは、VMware社が提供するインメモリデータグリッド製品「GemFire」である。複数のx86サーバーを結び、仮想化された共有メモリ空間内にデータを展開することで高速なデータアクセスを実現する。この仕組みをアプリケーションサーバーとデータベースサーバーの間に配置することで、磁気ディスク装置へのアクセスを最小限にするのだ。しかし、「インメモリデータグリッドだけで500ミリ秒以下を達成できるわけではない」と谷口氏は釘を刺す。

「GemFireのサーバーノードを同一のブレードエンクロージャ内に収容し、20ギガビット/秒のInfiniBandで結びました。さらに、ネットワークI/Oを合理的に集約し、パケットのコンフリクトを起こさないよう経路設計を最適化するなど、遅延を解消する方策を隅々まで施しています」

インメモリデータグリッドを採用すれば一定の高速化が可能だ。しかし、谷口氏が指摘するように「それだけで夢のように速くなるわけではない」ことも事実。最短距離で高速に結ばれたサーバー群、最適化された通信経路など、様々な条件がギリギリまで詰められてインメモリデータグリッドによるパフォーマンスが最大まで引き出されるのである。

「インメモリデータグリッドによる高速化」

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“ 速いだけのシステム” ではなくデータ整合性や耐障害性も確保

株式売買システムを支えるサーバー構成を概観してみよう。サーバーシステムの中核を成すのは「HP BladeSystem」である。HP BladeSystem c7000エンクロージャー内に複数台のGemFireサーバーを収容し、20ギガビット/秒のInfiniBandで接続。ここに仮想メモリ空間を構築している。同様にアプリケーション、データベースなどを含む計20数台のサーバー群、各種スイッチ群も同様のエンクロージャーに収容している。

カブドットコム証券株式会社 事務・システム本部 システム部 運用課 高橋佑太氏
カブドットコム証券株式会社
事務・システム本部
システム部 運用課
高橋佑太氏

「GemFireでは、注文データ、時価データ、勘定系データ、顧客データの4つのデータグリッドを構成して、メモリ空間上でそれぞれが高速に処理を実行します。複数の物理サーバーで処理されたデータの整合性を担保する仕組み、そのデータをRDBMSに非同期で書き込む仕組みを新たに構築しています」(システム部 運用課 高橋佑太氏)

可用性・耐障害性の面では、ネット証券システムならではの厳しい要件をどのようにクリアしているのか。

「GemFireは、複数の物理サーバー間でレプリケーションを実行しデータを冗長化して保持します。1台の物理サーバーに障害があってもサービスが継続する仕組みです。また、アプリケーション、データベースを含むすべてのサーバー群を『HP Virtual Connect』で結び、予備機への切り替えを極めて迅速に行えるようにしました」(高橋氏)

「HP Virtual Connect」は、I/O仮想化テクノロジーとして注目されている製品だ。ネットワークアダプターのID(MACアドレス、World Wide Name)を書き換え、HP Virtual Connect内に作成した仮想ネットワークで接続先の外部ポートを指定できる。サーバーの接続経路を自由に変更できるので、サーバー予備機への切り替えが最短時間で可能だ。

「どんなシステムも“壊れる”ということを前提に、システムの機能と人的な対処を組み合せて合理的に耐障害性を高めています。壊れたときの切り替えをいかに短時間で行うか、と発想を転換することで工数も時間もコストも節減できました」(高橋氏)

本プロジェクトの基本方針のひとつに、「ビジネスロジックは変更しない。既存のアプリケーション資産を有効活用しつつインフラ領域の大幅な強化を図る」(阿部氏)というものがあった。パフォーマンス、データ整合性、耐障害性、開発生産性――全ての要件に高い目標を掲げながら、ムダなコストは一切かけない方針である。限られた投資枠の中で最大の成果を生み出すために、インフラ構築は日本ヒューレット・パッカードとの緊密な協業のもと推進された。

「HPは、コストを最適化する機器構成の精査など、ITインフラ領域のプロフェッショナルとして設計・実装のノウハウを提供してくれました。メモリ上にデータをキャッシュする技術だけを見れば、東証・アローヘッドでも採用されていることは周知の通りです。私たちは、全員の知恵を出し合って数百億円かけたと言われる東証システムの1/100以下の投資で、本システムの構築をめざしたのです」(阿部氏)

「東証・アローヘッドに対応した「株式売買システム」」

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効果と今後の展望

ネット証券会社間におけるサービス競争で更なる優位を獲得

カブドットコム証券の“板乗り1秒保証”は、個人投資家をはじめ業界内に大きなインパクトをもたらした。新売買システムは稼働後もチューニングを繰り返し、現在では板乗りまでの処理時間を100〜200ミリ秒で実行するまでに高められているという。

「条件注文に関する価格情報の受信は、情報ベンダーを経由せず『アローネット(証券相場報道システム)』」への直接接続に切り替わりました。きわめて低遅延でデータを受信できますので、たとえば自動発注においても安全性の高い取引が可能になります」

東証・アローヘッドの高速化は、成行注文を行っているような場合に想定外の価格で約定する可能性をも生み出した。カブドットコム証券の“低遅延システム”は、リスク低減のためにも不可欠だったと言える。

「2010年12月より、新しいトレーディングツール『kabuステーション™』の提供を開始しました。取引所に直結させて飛躍的な高速化を実現したことが最大のポイントです。フル板、リスト発注、クイック注文など豊富な発注方法に対応し、リアルタイム情報サービスも格段に充実させました」(阿部氏)」

日本ヒューレット・パッカード株式会社 テクノロジーコンサルティング 統括本部 コンサルタント 古橋勇作氏
日本ヒューレット・パッカード株式会社
テクノロジーコンサルティング
統括本部 コンサルタント
古橋勇作氏

kabuステーション™は、kabuマシーンを継いで次期主力となる戦略ツールだ。自動発注機能の強化やアルゴリズム取引への対応も予定されている。

アーキテクトとしてITインフラの設計や最適化をリードしてきた谷口氏は、本プロジェクトに置けるHPの役割を次のように評価する。

「HPのコンサルタント 古橋氏には、インメモリデータグリッドを複数のハードウェア上に実装するために多くのノウハウを提供してもらいました。特に、分散処理と耐障害性を両立させるハードウェア構成は高い技術力が求められた部分です」

谷口氏は、最新の設計・思想・アーキテクチャ・プログラミングを共有できるパートナーの重要性を強調する。

「システムの中核部分だけでなく、災害対策サイトとの連携やバックアップを含め、インフラ領域の設計・構築を全面的に支援してもらいました。また何よりも、私たちのお客様やサービスまでを含むビジネス課題を正しく理解し、それを乗り越えるためにどんなテクノロジーが必要なのか、どう使うべきなのかを真摯に提案してくれたことが大きいと思います。HPは私たちのチームに欠かせない存在です」(谷口氏)

最後に阿部氏が次のように語って締めくくった。

「株式売買システムの刷新により、PTS(私設取引システム)を含む取引所間で連携するアルゴリズム取引への対応を含め、間もなくやって来る“最良執行時代”へいち早く適応する条件を整えたことになります。ネット証券会社間におけるサービス競争で更なる優位をめざす、私たちはその大きな一歩を踏み出すことができました」



会社概要

カブドットコム証券株式会社
所在地: 〒100-0004 東京都千代田区大手町1-3-2 経団連会館6F
代表者: 齋藤 正勝
資本金: 71.96億円 (資本準備金 119.13億円)
従業員数: 94名
創業: 1999年(平成11年)11月19日
事業内容: ネット証券
URL: http://kabu.com/このリンクをクリックすると、HP社外へリンクします。

事例キーワード

業種: 金融
  HP BladeSystem, HP ProLiant BL460c, HP Storage Works XP,
HP Virtual Connect, InfiniBand, GemFire


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