8ソケットサーバー「HP ProLiant DL980 G7」およびSSD搭載「HP 3PAR StoreServ」を採用し、
秒間2,000トランザクション超という圧倒的な処理性能を実現

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「RAIDEN™が提供するネット証券としての基本サービス機能を、三菱UFJフィナンシャル・グループ内外の証券会社・金融機関に提供していく計画です。RAIDEN™は私たちのビジネスの中核を支える基盤であるとともに、新しい成長のステージに向けた戦略基盤でもあるのです」

−カブドットコム証券株式会社
常務執行役 事務・システム本部副本部長 兼 システム部長
阿部 吉伸 氏

 

ミッションクリティカルな発注基盤システムを全面刷新

カブドットコム証券が『RAIDEN™』と名付けた新たな発注基盤システムを構築し、2014 年11月4日から運用を開始した。従来のシステムアーキテクチャー/アプリケーションプロセスを全面的に見直し、板乗り速度を10 倍高速化。1秒あたりの約定処理件数を2,000 件超に引き上げ12.6 倍を達成した。システム基盤を構成するサーバー/ストレージ機器群にはHP製品が全面的に採用された。そして、最適なインフラ設計と構築をサポートしたのはHPのテクノロジーコンサルタントである。

業界

金融


目的

  • 株式(国内現物株式・信用取引)および先物・オプション を扱う「発注基盤システム」の刷新。株式市場の活性 化に伴う取引の増大に応え、顧客の利便性・サービス 品質を大幅に向上させる。また、2015年に運用が始 まる東京証券取引所・アローヘッド2に対応する高速 な受発注処理を実現する。

業種

証券


アプローチ

  • システムアーキテクチャー/アプリケーションを全面 的に見直し、単位時間あたりの約定処理件数を従来 の10倍以上に引き上げる。基盤となるハードウェア 設計においては、高速化に寄与する最新鋭のテクノロ ジーを全面的に採用。発注機能・勘定系機能をひとつ のメインプロセスに収容し大容量メモリ上で高速に処 理する。

ITの効果

  • アプリケーションサーバーに「HP BladeSystem」を採用し仮想化によるスケールアウト環境を構築
  • データベースサーバーに「HP ProLiant DL980 G7」を採用し4CPU/40 コア/256GB メモリによる優れたスケールアップ性能を実現
  • 複数のデータベースサーバー間をInfiniBandで高速に接続しOracle DB 11g RACによるリニアな拡張を実現
  • アプリケーションサーバー/データベースサーバーともスケールアウトによる拡張性を実現しつつ、サーバー内でのスケールアップの余力も確保
  • SSD 搭載「HP 3PAR StoreServ 7400」を採用し高速かつ高信頼なストレージ環境を構築

ビジネスの効果

  • 板乗り速度を10 倍高速化し33ミリ秒を達成
  • 1秒あたりの約定処理件数を従来の166件から2,000件超に引き上げ、顧客の体感速度を大幅に向上
  • 今後10 年の利用を見据えた超高速の発注基盤システムを実現
  • ネット証券としての基本サービス機能の外部提供を可能に
 

チャレンジ

今後10年を見据えた新発注基盤システム「RAIDEN™」

2014年11月、カブドットコム証券の株式発注基盤システムが「RAIDEN™」として生まれ変わった。この新たな基盤システムは、発注取次速度を従来比で10倍高速化し、1秒あたりの約定処理件数では実に12.6倍という処理能力向上を達成した。CIOとして情報テクノロジー分野の指揮を執る常務執行役 阿部吉伸氏は、次のように説明する。

「株取引のグローバル化、アベノミクス以降の小口取引の急増、2015年半ばに迫る東証・アローヘッド2の本稼働―こうした要因のすべてが取引処理の更なる“高速化”を迫っています。私たちは、開業当初から13年間運用してきた発注基盤システムのアプリケーション/アーキテクチャーを抜本的に見直し、今後10年を見据えた一大プロジェクトとして新発注基盤システム『RAIDEN™』を開発しました」

カブドットコム証券は、創業以来システムの独自開発・運用にこだわっていることで知られる。「特色あるサービスモデルを独自のシステムでいち早く実現する」(阿部常務)という戦略のもと、逆指値などの自動売買サービスや、取次処理の「1秒保証」を業界に先駆けて投入してきた。

「1秒保証」は、株(現物・信用取引)、先物・オプション取引を対象に、“板乗り”速度が1秒(1,000ミリ秒)を超過した場合の手数料を無料にする制度である。証券会社のシステムが顧客からの注文を受け、顧客の買付余力や証券残高などの照合を経て、取引所に送信されるまでの発注取次プロセスを“板乗り”と呼ぶ。

「オンラインでの株取引において、お客様が取引を有利に成立させるためには板乗り速度が最も重要になります。『RAIDEN™』では、上り(板乗り=発注取次)速度をこれまでの約10倍の33ミリ秒に高速化しました。さらに、下り(約定処理)の処理性能にも徹底的にこだわっています。1秒あたり約166件だった約定処理能力を1秒あたり2,000件超に引き上げて、ピークタイムでもストレスを感じることなくお取引いただけるようにしました」と阿部常務は自信を示す。

高速化と同時処理能力の劇的な向上―これを実現した新発注基盤システム「RAIDEN™」には、HPのサーバー/ストレージ製品が全面的に採用された。アプリケーションサーバー群に世界トップシェアを誇るブレードサーバー「HP BladeSystem」、データベースサーバーには8ソケットサーバー「HP ProLiant DL980 G7」をそれぞれ選定。また、統合ストレージ環境には大容量SSDを搭載した「HP 3PAR StoreServ 7400」が選ばれた。

カブドットコム証券株式会社
常務執行役
事務・システム本部副本部長
兼 システム部長
阿部 吉伸 氏


カブドットコム証券株式会社
事務・システム本部
システム部 基盤技術課 課長代理
池浦 將登 氏


カブドットコム証券株式会社
事務・システム本部
システム部 基盤技術課
阿部 浩二 氏

 

ソリューション

「高速化」と「同時処理能力の向上」をいかに実現するか

カブドットコム証券の新発注基盤システム「RAIDEN™」は、いかにして劇的な高速化・同時処理能力の向上を成し遂げたのか。開発を担当したキーパーソンに詳しく聞いていこう。事務・システム本部 システム部 基盤技術課 課長代理の池浦將登氏は次のように話す。

「データベースへのアクセスに大きく依存する業務ロジックを、可能な限りコンパクト化してメモリ上で高速処理する――システム基盤の観点ではこれが最大のポイントと言えるでしょう。今回の刷新では、アプリケーションコードを全面的に書き直してコード量を1/5に削減するとともに、大容量メモリ上で高速処理できるようプロセスを最適化しています」

オンライン取引処理において、発注系システムと勘定系システムの連携は不可欠だ。中でも約定処理は、顧客の買付余力や証券残高、注文履歴など、勘定系データベースの“更新”を伴うため、高負荷時にボトルネックになる可能性が高い。

「新たに開発したアプリケーションは、発注機能と勘定系機能をひとつのメインプロセスに収容して、プロセス間・システム間の通信を徹底的に削減しています。これにより、参照・発注・約定すべての処理において競合を回避し、大容量メモリとハードウェアの能力を活かした超高速処理を実現しました」(池浦氏)

プロジェクトでは、当初の性能の目標値を「上り(発注取次)速度を100ミリ秒以下」、「下り(約定処理)の同時処理能力500件以上」と設定した。

「約定処理に必要となるデータをすべてメインプロセスのメモリ空間に保持するとともに、メモリ内のデータはストレージ(HP 3PAR/Oracle DB)に記録して永続化しています。SSDへ高速にデータを書き出すことで、インメモリ側の処理に影響を与えない構成としました。また、チューニングを進めた結果、テストの最終段階では約定の同時処理2,000件超というところまで性能を伸ばすことができました。最新のハードウェアの能力を引き出せたことが、性能向上に大きく寄与していると考えています」と池浦氏は振り返る。

日本ヒューレット・パッカード株式会社
エンタープライズグループ事業統括
HPサーバー事業統括本部
HPC営業本部
濱出 憲一郎 氏


日本ヒューレット・パッカード株式会社
テクノロジーサービス事業統括
テクノロジーコンサルティング統括本部
金融・公共サービス事業本部
第一サービス本部
樋口 健太郎 氏

 

ベネフィット

変化する要求に応えるHPのサーバー/ストレージ製品群

実運用をスタートさせたRAIDEN™は、2014年12月3日に驚くべきパフォーマンスを発揮して見せた。実測値として「秒間3,297件」という記録を叩き出したのである。

「システム基盤には、現在考え得る最新の高性能機器を採用しています。アプリケーションサーバーおよびサブシステム、東証・アローヘッドとの通信を担う基盤には、運用実績の豊富なHP BladeSystemを導入しました。アプリケーションサーバーは仮想マシン数10台によるスケールアウト構成とし、ここに大容量のメモリ空間を構築しています。複数サーバーによる負荷分散と高速フェイルオーバーの仕組みは、アプリケーション側で作り込みました」(池浦氏)

サーバーブレードには、インテル® Xeon® プロセッサー 搭載「HP ProLiant BL460c Gen8(2CPU/16コア/64GBメモリ)」が採用されている。従来の環境ではすべて物理サーバーを割り当ててきたが、RAIDEN™のアプリケーションサーバー群にはVMware vSphereによる仮想サーバー環境を適用した。

「50台以上の物理サーバーが、1シャーシ16本のサーバーブレードと2台の8ソケットサーバーに集約されました。システム規模は大幅に縮小されましたが、処理性能は10倍を超えています」(池浦氏)

一方、データベースサーバーにはインテル® Xeon® プロセッサー 搭載「HP ProLiant DL980 G7(4CPU/40コア/256GBメモリ)」を3台(うち1台はスタンバイ機)導入している。

「HP ProLiant DL980 G7は、CPUとメモリの拡張に余力を持たせてスケールアップ要求にも応えられるよう工夫するとともに、Oracle 11g RACによるデータベースサーバーのスケールアウトも実現しました。サーバーノード間を高速なInfinibandで接続し、キャッシュフュージョンによるオーバーヘッドを解消しています。変化する処理要求に柔軟に応えられるよう、アプリケーションサーバーとデータベースサーバーをそれぞれスケールアウト可能にしていることが、システム設計上の大きなポイントと言えます」と事務・システム本部 システム部 基盤技術課 阿部浩二氏は説明する。

RAIDEN™には、HP ProLiant DL980 G7がスタンバイ機として1台用意されており、データベース環境の拡張が求められた際、「朝要求があれば、夕方までには無停止で拡張できる」(阿部浩二氏)準備が整えられているという。

「また、約10TBのSSDを搭載したHP 3PAR StoreServ 7400を採用してストレージ環境も大幅に高速化しました。トランザクションデータを高速なSSD領域で処理することで、参照・更新処理ともにストレージのI/Oがボトルネックにならない性能を実現しています」(阿部浩二氏)

さらに、HP 3PAR StoreServ 7400のスナップショット機能を活用することで、バックアップ/リストアに要する時間もそれぞれ1/3、1/4まで大幅に短縮されたという。

ビジネスの中核を支え、成長を支える戦略基盤として

RAIDEN™は、発注取次・約定処理ともに従来の10倍以上という高い性能を実証した。しかも、過負荷の状況でのCPU利用率は20%程度とリソースに大きな余力を残しているという。

「高速性と安定性、そして拡張性―そのどれが欠けてもダメなのですが、RAIDEN™では、すべてがバランスよく飛躍的にレベルアップできたと思っています。全社を挙げてのプロジェクトを、HPのコンサルタントと技術者が力強く支えてくれました。中でも私たちの目標と課題に対して共通認識を持ち、新しいシステムアーキテクチャーを深く理解した上で、合理性の高いシステム機器と構成、サイジングのノウハウを提供してもらえたことに感謝しています」(池浦氏)

「RAIDEN™のシステムアーキテクチャーは、アプリケーションをブレードサーバーと仮想化、データベースをクラスター構成によって、事実上制約のない拡張を可能にしました。いかなるビジネス要求にも、柔軟かつ迅速に適応できる体制が整えられました」ー阿部浩二氏

2015年、カブドットコム証券は創業15周年、初上場から10年という節目を迎える。人気グループのタレントを起用してTVCMを展開するなどプロモーションにも積極的だ。三菱UFJフィナンシャル・グループの一員として、大手ネット証券で唯一のメガバンクグループ会社という強みを発揮しながら、その視野には次の成長シナリオが見据えられている。阿部常務が次のように語って締めくくった。

「RAIDEN™が提供するネット証券としての基本サービス機能を、三菱UFJフィナンシャル・グループ内外の証券会社・金融機関に提供していく計画です。RAIDEN™は私たちのビジネスの中核を支える基盤であるとともに、新しい成長のステージに向けた戦略基盤でもあるのです」

 

カブドットコム証券株式会社

〒100-0004 東京都千代田区大手町1-3-2 経団連会館6F

URL:http://kabu.com/ 

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本件でご紹介のHP製品・サービス

導入ハードウェア
HP BladeSystem HP ProLiant BL460c Gen8 HP 3PAR StoreServ 7400

導入ソフトウェア
VMware vSphere Oracle DB 11g Oracle 11g RAC

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