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航空機の安全を守る整備業務の品質を確保するため
SAP ERPのアップグレードを実現

全日本空輸株式会社

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システムのダウンタイムを6時間以内に抑える

2010年に予定される首都圏空港の拡張や本格的な国際化に向け、グループ一丸となってコスト構造改革を加速する全日本空輸株式会社(以下、ANA)。同社では、収益性の高い経営戦略を支える「安心と信頼」、「コスト競争力向上」を重視したIT戦略を推進している。その方針に基づき、HPはSAP ERPをベースとしたANAの航空機整備システム「MERS」のアップグレードとサーバー統合を支援し、ダウンタイム6時間以内という厳しい制約の中で実現した。
お客様背景
ソリューション
効果と今後の展望
会社概要
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全日本空輸株式会社

目的

アプローチ

将来的な業務拡張に向けた航空機整備業務システムの強化
関連会社を含め約3,800ユーザーを対象にした整備業務品質の確保
サーバー統合と同時にERPアップグレードを実現し、ITコストを抑制
ハードウェアの更新とERPアップグレードの同時実施によるコストの最小化
安全と確実性を重視し、アップグレード時のダウンタイムを6時間以内に抑えるための綿密な計画策定
HPの提案に基づく、ハードウェアの移行を活用した独自アップグレード方式の採用
さまざまなベンダーが参集した中での緊密な協力体制

システムの効果

ビジネスへの効果

迅速に安定稼働を実現し、整備業務品質を確保
パフォーマンスに関わる課題の回避
首都圏空港拡張(2010年)に備えた整備業務拡大への柔軟な対応
厳しさを増す整備業務の規制への迅速な対応

お客様背景

継続的に整備業務を効率化しANAの航空機運用を支える大規模システム

全日空システム企画株式会社 貨物・整備システム部 第三チームリーダー 白土 和彦 氏
全日空システム企画株式会社
貨物・整備システム部
第三チームリーダー
白土 和彦 氏
「クオリティ&顧客満足と価値創造」でアジアナンバーワンを目指すANAでは、航空機整備システム「MERS(Maintenance and Engineering Resource System)」を2003年から運用している。同社の整備部門とANAグループの整備関連5社を対象に、約3,800ユーザーに対して24時間365日のサービス提供を行っている大規模なシステムであり、使用機数215機(2008年12月26日現在)による、国内線51都市・776便/日、国際線26都市・730便/週(いずれも2009年1月のダイヤ)の運航に対応した数十万件に及ぶ整備タスクの管理が行われている。

ANAでは現在、2010年3月の成田空港発着枠拡大、同年10月の羽田空港発着枠拡大と本格的な国際化に備え、「業務構造」、「旅客サービス」、「空港オペレーション」のコスト構造改革を加速する経営戦略を推進している。背景には、消費低迷や規制の厳格化といった経営環境の激変があるが、「安全」を経営の基盤と位置付け、高い顧客満足度を競争力あるコストで実現するための構造改革は90年代から進められてきた。MERSは、現在も一貫するその経営方針に基づき、航空整備プロセス改革を主眼に構築された。
MERSの構築にあたってANAが採用したのが、航空業界で導入実績の高いSAP ERPだ。導入モジュールは、PM(プラント保全)、IS-A&D(航空業界向けソリューション)、PS(プロジェクト管理)、CA(共通コンポーネント)、HR(人事管理)、MM(在庫/購買管理)、QM(品質管理)と広範囲に及ぶ。これらの標準機能をベースに、本稼働後は、航空機の発着時刻に合わせて整備要員配置を調整する機能など、アドオン開発によるさまざまな機能を追加しながら、安定稼働を維持してきた。ANAグループのIT構築・運用を担う全日空システム企画株式会社(以下、ASP)の貨物・整備システム部 第三チームリーダーを務める白土和彦氏は、「MERSによりすべての整備作業が可視化されたことで、期限内に漏れなく作業を実施し、業務品質の確保を図ってきました」と語る。

ソリューション

「ダウンタイム6時間以内」の実現に向けHPの提案に基づく独自方式を採用

全日空システム企画株式会社 貨物・整備システム部 第三チーム エキスパート 長谷川 敬芳 氏
全日空システム企画株式会社
貨物・整備システム部
第三チーム エキスパート
長谷川 敬芳 氏
MERSの機能追加や運用保守と並行し、ASPでは2005年からSAP ERPのアップグレードに向けた準備を開始した。まず、ERPの最新バージョンに追加された標準機能を、ANAグループの業務に照らし合わせて詳細に検証。その上でコストの最小化と確実性を重視し、新機能を追加しないテクニカルアップグレードの方針を決定した。
一方2006年には、運航・運送系システムや客室乗務員系システムといった基幹系システムのサーバー更新・統合プロジェクトが発足。運用保守コストの削減を目的としたこのプロジェクトでは、高い性能と可用性、信頼性を備え、柔軟な構成が可能なハードウェアが求められていた。この要件を満たしたのが、HP Integrity Superdomeだ。15システム・約100サーバーが統合されることになったこのプロジェクトの対象にMERSも含まれていたため、SAP ERPのアップグレードは、サーバー統合とあわせて進められることになる。HP Integrity SuperdomeはSAP環境とも親和性が高く、多くのSAPシステムでの安定稼働実績を有している。そこでASPはハードウェアとソフトウェアの同時更新によって共通化できるテストなどを精査した試算を行い、個別の更新に比べてコストメリットが大きいとの判断から同時更新を実施することに決定した。

こうしてプロジェクト計画を具体化する中、当初から最重要リスクに位置付けられていたのが業務停止を伴うダウンタイムである。ANAの整備担当者の試算によれば、業務停止の許容時間は1回あたり6時間以内。そこでHPはASPからの依頼を受け、ダウンタイムを6時間以内に抑えるというミッションの実現に向けて検討を開始した。

最初に、SAP ERPアップグレードでよく使われるリソースミニマイズ方式とダウンタイムミニマイズ方式の検証を実施。具体的には、リソースミニマイズ方式でできるだけフェーズを細分化する、ダウンタイムミニマイズ方式で専門スタッフを大量に投入するといったシミュレーションだ。ASPの貨物・整備システム部 第三チーム エキスパートの長谷川敬芳氏は、「たとえばリソースミニマイズ方式でフェーズを細分化しても、不具合が生じた場合のリカバリーまで含めて6時間以内という条件をクリアするのは困難でした」と、ミッションの厳しさを強調する。
そこでHPは、これまで数多くアップグレードを手がけてきたノウハウに基づき、リソースミニマイズ方式をベースに、最終フェーズで旧サーバーから差分データを移行するという方式を提案した。大きな特徴は、「サーバー同時更新のメリットを活かす考え方に基づく方式で、仮に問題が発生した場合は旧サーバーで業務を継続することでリスクを回避できる」(日本ヒューレット・パッカード テクノロジーサービス統括本部 インフラストラクチャソリューション本部 SAPインフラソリューション本部第一部 梅田博文)ことにある。

ただし、ダウンタイム6時間以内という条件はHPにとっても大きな課題であり、この時点で実現を保証できたわけではない。白土氏は、「業務リスクを回避できる点を評価するとともに、これまでのミッションクリティカルなシステム構築の支援を通じたHPに対する信頼から、採用を決断しました」と語る。

本番移行フェーズ
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本番移行フェーズ

事前の入念な準備作業が円滑なプロジェクト推進の原動力

約2年に及ぶHPとの検証作業を経て、MERSアップグレードプロジェクトは2007年10月に発足。ANAのIT推進室が全体を統括し、ASPが開発全体の管理を担当する体制で活動を開始した。開発対象は次の通りである。

■アップグレード
SAP :SAP R/3 4.6C2→SAP ERP 6.0
OS :HP-UX 11.11→HP-UX 11.23
DBMS :Oracle 8.1.7.2→Oracle 10.2.0.2
■サーバー統合
現行サーバー→HP Integrity Superdomeによる統合環境

開発体制としては、アプリケーション開発、Basis(HP)、アーカイブ開発・構築、インフラ(HP)という4チーム構成を採用。2008年8月までに移行完了というスケジュールを策定し、HPとSAPに加え、開発ツールベンダーの担当者も数多く参画するマルチベンダー体制で作業を推進していった。

ダウンタイム6時間以内というミッションの実現、移行後の品質確保でカギを握る要素は、全体のテスト計画にあった。「一般的には単体テスト、総合テストという手順を踏みますが、我々はその間に、業務上特に重要な機能を深いレベルでチェックする品質保証テストの工程を設定しました。また、プロジェクトの約半年前から、ユーザー部門と協力して業務シナリオとテストシナリオを作り込み、総合テストではそれを3回実施することにしました。いずれも、業務の品質を最重要視するという考え方に基づくものです」(長谷川氏)

MERSアップグレードプロジェクトで行われた事前の入念な準備作業は、Basisバージョンアップの影響による構文エラー修正の作業にも表れている。具体的には、プロジェクト開始前に評価ツールを導入してSyntaxエラーを見積もったほか、ツールで把握できない部分はASPが調査して、3,000以上に上る修正箇所を抽出。プロジェクトのスタート後は、ベンダーに対する指示と確認に注力することで、円滑な作業を実現した。「自らアドオン開発を手がけたASPからの具体的な指示やチェックを通じて、非常にレベルが高いプロジェクト進行だと実感しました」(日本ヒューレット・パッカード 梅田)

ただし、独自のアップグレード方式により生じた差分データの移行作業は大きな負担となった。「移行作業はOracleのデータが中心ですが、内部テーブルをすべて把握しているわけではないので、試行錯誤の繰り返しでした。特にダウンタイム6時間以内という条件を守るためには、旧サーバーに対して膨大な容量のテーブルを再編成する必要があり、急遽ハードディスクを追加するといった事態にも直面しました。しかしHPを中心に迅速に対応してくれたため、結果的にスケジュールどおりに完了させることができました」(白土氏)

統合サーバー環境下のMERSシステム
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統合サーバー環境下のMERSシステム
 

効果と今後の展望

ASPの技術力とマルチベンダーの協力体制がプロジェクトを効果的に推進

日本ヒューレット・パッカード株式会社 テクノロジーサービス統括本部 インフラストラクチャソリューション本部 SAPインフラソリューション 本部 第一部 梅田 博文
日本ヒューレット・
パッカード株式会社
テクノロジーサービス統括本部
インフラストラクチャ
ソリューション本部
SAPインフラソリューション
本部第一部
梅田 博文
ダウンタイム6時間以内を実現したMERSアップグレードプロジェクトは、2008年7月に作業を完了した。白土氏は、「各ベンダーの担当者に恵まれました。自らの役割に対して責任を持ち、最後まで我々のチャレンジに協力的に取り組んでくれました」と語るが、ASPの高い技術力と、プロジェクトメンバーに一体感を醸成したマネジメントも大きい。「HPとしても経験に基づいてさまざまな提案を行いましたが、それらを検討した上でASPの方々がANAグループにとって最適な判断を的確に行われたことが、何よりもメンバーのモチベーションを高めたと思います」(日本ヒューレット・パッカード 梅田)

プロジェクト全体を通じたHPの貢献について、白土氏は「今回は特に、導入プロジェクトよりもインフラ部分、さらにはプロジェクト内容に深く踏み込んでマネジメントを行ってくれたことを評価しています」と語る。また長谷川氏は「HPはシステム導入時からの取り組みを通じて、航空機整備業務はもちろん、ANAグループ独自の考え方なども深く理解しているため、円滑なコミュニケーションを図ることができました」と評価する。
運用効率とともに大きくパフォーマンスが強化されたHP Integrity Superdome環境に移行したMERSは、本稼働後約1カ月で安定稼働を実現。白土氏は「整備業務の品質を維持しながら移行を実現できたことが収穫です。システム運用保守の立場からは、HP Integrity Superdomeによる統合環境に移行したことで、今後パフォーマンス上の課題を回避できることも大きな効果です」とプロジェクトの成果について語る。

今後ANAとASPは、2010年の首都圏空港拡張に伴って変化する整備業務にMERSを対応させながら、年々厳しさを増す規制要件に合わせた機能追加を実施していく計画だ。MERSは、ANAグループの経営戦略を品質、コスト競争力という面から支える中核システムの1つとして、重要な役割を担っていくことになる。

会社概要

全日本空輸株式会社
所在地: 港区東新橋1-5-2 汐留シティセンター
代表取締役社長: 山元 峯生
資本金: 160,001,284,228円
従業員数: 13,120人
設立: 1952年(昭和27年)12月27日
事業内容: 1. 定期航空運送事業
2. 不定期航空運送事業
3. 航空機使用事業
4. その他附帯事業
URL: http://www.ana.co.jp/このリンクをクリックすると、HP社外へリンクします。

事例キーワード

業種: 運輸・流通
  ERP、アップグレード
  HP Integrity SuperdomeHP-UX

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